飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

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年末ですね・・・クリプトコックス髄膜炎のリスク

スタッフTKです。
少し滞ってましたブログ更新です。といっても、内容は、先々週の抄読会のネタからですが。
テーマはクリプトコックスです。

IDSAの2010年のガイドラインでは、その治療は、まず大きく4つに分類するところから始まります。
①HIV感染患者におけるクリプトコックス髄膜炎
②臓器移植患者におけるクリプトコックス髄膜炎
③臓器移植患者以外の非HIV感染患者における髄膜炎
④クリプトコックス髄膜炎以外のクリプトコックス症

この分類に応じて、具体的な治療方針が示されています。

さて、ここで自分の日常臨床を考えた場合に(臓器移植患者さんの担当はあまりないので、それを除くと)、クリプトコックスに遭遇した場合に問題となるのは、HIV感染がないか、髄膜炎を来たしていないか、という点になります。

まさに、つい先日この状況に遭遇したわけで、特に髄膜炎をどこまで疑って腰椎穿刺(ルンバール)を考えるべきか、だってルンバールって患者さんにとっては決して楽な検査じゃないですよね・・・という点で悩むことがあったのです。

ほぼ無症候性のクリプトコックス髄膜炎もあるようですし、無症状だからルンバールまでしなくてよい、というわけではなさそうです。
先のIDSAのガイドラインでは、中枢神経症状がなく、血清クリプトコックス抗原が陰性もしくは極めて低値の健常者は、腰椎穿刺は実施しなくてもよい、という見解のようです(エビデンス推奨度B:中等度、レベルII:RCTではないが、1個以上の臨床試験あり)。

当の患者さんはというと、、、、
他疾患でPSL内服中(最近は10mg/日で維持されている)、血清抗原陽性、ただ無症状で元気、という方でした。果たして、ルンバールは~~??
というところで行きついたのが、この論文です。臨床の疑問にのっとた素敵な研究だなぁと思いました。

Eur J Clin Microbiol Infect Dis (2008) 27:937–943

非HIV感染患者でクリプトコックス症を患った166名を対象としたレトロスペクティブなコホート研究です。診断後、12ヶ月フォローアップしているようです。
166名のうち、122名が肺病変のみの方(PD)、残りの44名が髄膜炎など播種病変をもつ方(DD)となっています。

さっそく結論からいくと、播種病変のリスクとして、多変量解析の結果からは、
●肝硬変
●PSL 20mg/day以上を60日間以上

が挙げられます。やはり、PSLはくせものです。

ほか、発熱(38.6度以上)、体重減少(3ヶ月で5%以上の減少)、頭痛、精神状態の変化、皮膚病変なども挙げられていますが、クリプトコックスを疑う患者さんで、こういう症状があれば、普通に考えてもルンバールはしておくべき所見かと思われますので、それはそうだよなぁという感じです。

加えて、血清抗原価陽性(1:64以上)も挙げられます。特に、播種症例では、抗原陰性が有意に少なかったようです。

また、画像的には、播種症例のほうが、胸水がたまっている症例が多い傾向にあったようです。

先日の抄読会でも実際に意見としてでましたが、「迷うようならルンバールすればいいじゃん」という意見もたしかにその通りなのですが、外来の合間に普段慣れない処置を行なうのはやや敷居が高く、また、出血傾向など患者さん側の問題で施行しづらい状況もあるため、なにか少しでも手がかりが分かればいいなぁとは思います。さすがにルンバール目的だけで、すぐ神経内科に送るのもどうかと思いますし・・・

さらに、もう一点、話題となったのが、抗原価の意味合いについてです。
ひとくちに抗原陽性といっても抗原価は異なるわけですが、日本ではクリプトコックス抗原検査は定量ではなく定性なので、具体的な抗原価は分からず、つまり陽性か陰性かしか分からないのです。
陰性ならいいのですが、陽性の場合は、果たしてどの程度の抗原価かは分からないため、抗原陽性で、でも無症状で元気な方は、、、、やはりルンバールするかは悩ましいです。

クリプトコックスも奥が深いです。

さて、そんなこんなで、2012年も終わりを迎えようとしています。
毎年思いますが、働きだして、本当に1年1年が早いです。こうやって歳をとっていくのでしょうね(笑)。
今年も、スタッフはもちろん患者さんとも、貴重な出会いと別れがありました。
また来年も楽しみです。みなさん、来年もどうぞよろしくお願いします。
あ、明日当直だ・・・(泣)
みなさん、よいお年を~
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by res81 | 2012-12-31 14:15 | 真菌症 | Comments(0)
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