飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

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妊娠と喘息

こんばんは!!
みなさんの更新に続いて、私スタッフAjがお送りします☆

妊娠と喘息

~喘息予防と管理ガイドライン2012より抜粋~

☆小児から成人まで喘息患者は増加しているといわれており、これに伴って、妊娠・出産に直面する女性喘息患者も増加しつつある。

正常妊娠においても妊婦の呼吸機能には変化が生じ、機能的残気量(FRC)が減少し、妊婦は無意識のうちに過呼吸を行って血中の酸素濃度を高めようとしている

ゆえに閉塞性障害を伴う喘息発作は胎児に低酸素血症をもたらしやすく流産や胎児発育不全、脳障害のリスクファクターとなる。

☆実際喘息患者では、正常妊娠に比較して早産や低体重出産、先天異常の頻度が高いことが報告されている。CritCare Med1998:158:1091-5

しかし、この中にはコントロール不良例が含まれており、かなり重症の喘息を合併していても、適切にコントロールされていれば、児や母親の死亡率のにはつながらないとされている。 J Allergy Clin Immunol 1986 :78:349-53


【妊娠と喘息薬】

☆多くの喘息薬は催奇性についてはほとんど問題ないとされている

☆動物実験では、全身性ステロイド薬の大量投与によって、口蓋裂の発生が報告されているが、人においては、その危険性を積極的に裏付ける報告はない。

☆また、ステロイド(特にPSL、mPSL)は胎盤をあまり通過せず、胎児における血中濃度は母体の血中濃度よりもかなり低いことが知られている。

☆胎児ではステロイドの代謝が成人と異なり、副腎抑制がおこりにくい。

胎児を低酸素状態に陥らせることの方が問題。ステロイドは躊躇するべきでない。


薬剤の注意点


◎吸入ステロイド

ブデソニド(パルミコート)がカテゴリーB 他の吸入ステロイドはカテゴリーC

※発作が起こることの方が問題!ブデゾニドでダメ場合は、その他の吸入薬をためらいなく使いましょう。

◎吸入β2刺激薬(ICS/LABA)を含む

LABASABAよりエビデンスは少ないが、SABAと同等の安全性あり。

◎クロモグリク酸ナトリウム(インタール)

安全性確立。

△吸入抗コリン薬

使用するなら発作時のみ

○全身ステロイド

PSL、mPSLは胎盤通過性低い。必要な場合は、躊躇せず使用を。

○テオフィリン

催奇性の報告はなく、コントロール薬として用いても可。ただし、悪阻の影響などで患者が継続できなくなるケースあり。また、乳汁中に分泌されるため乳汁中は中止を。

△ロイコトリエン拮抗薬

動物実験の結果からは催奇性に関してほぼ問題ないとされているあ、人におけるエビデンスはまだ十分に蓄積されていない。

抗ヒスタミン薬

有益が上回る時のみ使用


☆薬使用のまとめ☆

吸入ステロイド、吸入β2刺激薬、ICS/LABAを中心に用いてコントロールを行い、コントロール不良な場合に、ステロイド全身投与、テオフィリンなどを用いるべきと思います。


?妊娠中って喘息は増悪するの?

妊娠中の喘息:悪化、改善、不変がそれぞれ1/3ずつという報告がよく知られているが、報告によってバラバラ。

○悪化例のなかでは妊娠中の薬物使用に対する不安から、患者自身、あるいは医療従業者が必要な抗喘息薬の使用を中止・制限してしまっている例が少なからずあり、適切な完治が行われれば、妊娠そのものによって喘息が悪化する症例はあまり多くない。

○妊娠後期 37-40週目には喘息症状、気道過敏性の改善が認められる。

              J Allergy Clin Immunol 1988:81:509-17、Am Rev Respir Dis1989;140:924-31


最後に妊娠と喘息に関する論文を読んだので、簡単に紹介します。

CHEST / 145 / 5 / MAY 2014より

Multidisciplinary Approach to Management of Maternal Asthma (MAMMA )
A Randomized Controlled Trial


【背景】
・喘息は妊婦に影響を及ぶす最もcommonな疾患。 妊娠中のコントロール不良な喘息、喘息の増悪は、早産や低出生体重児と子癇前症を増加させると報告されており、妊娠中のコントロール不良の喘息は、母体や周産期の危険因子である。喘息をコントロールすることは、これらの有害事象を減らすことができる。

ゆえに、喘息をコントロールするために適切なマネージメントをするべきである。

母体の喘息コントロールの改善にむけての薬剤の介入、多方面からのケア、教育、定期的 なモニタリングはが評価された。


【方法】
・ランダム化比較試験
・オーストラリアの2つのmajorな産婦人科で行った。
・喘息治療がされていた20週以下の60人の妊婦が対象
・参加者は介入する群と普通のケアをする群に分けて、妊娠後の経過を追った
Primary outcomeACQスコア
ベースラインからのACQのスコア平均を3カ月、6カ月で比較した。


【結果】
介入群(29人)のACQスコアは、3カ月で0.46±1.056カ月で0.89±0.98のスコアが改善し,コントロール群(29人)のACQスコアは、3カ月で0.15±0.636カ月で0.18±0.73のスコアが改善した。
・3カ月間では有意差なし
・6カ月では有意差あり、臨床的に重要


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【議論】
・教育や監視、多方面からの管理は、妊娠の喘息マネージメントを成功させ、コントロールすることができる。

・この介入は単純なもので、今回は薬剤師が主導となって行ったが、訓練を行えば、誰でも行うことができ、さらに最小限の資源を加えることで行うことができる。

・妊娠中に喘息の治療、コントロールには、大きな2つの障害がある:①女性の70%は、コントロール不良の喘息のリスクを知らない②32%は勝手に中止するか、薬を変更する(相談なしに) →妊婦への教育が大切!意識を高めてもらうこと。また、医療者サイド(医師だけでなくコメディカルに協力をしてもらう!)への教育も大切。

【結論】
・喘息のマネージメントや教育のための多方面からのケアや定期モニタリングは、妊婦の喘息を潜在的に改善することができ、これらは臨床的にも広く利用することができる。
喘息のコントロールをすることやよりよいサポートを提供する権限を妊婦に与えることが、妊娠中の喘息患者の負担を減らし、増悪による悪い結果を減らすことになる。


まとまりがなくてすみません。
また更新します!
私は、7月から3カ月間国内留学に行ってきます。飯塚病院に還元できるように頑張って勉強してきます!これからもよろしくお願いします。





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by res81 | 2014-06-25 01:06 | 喘息 | Comments(2)
Commented by K at 2014-06-25 17:59 x
いつもブログを拝見させて頂いております。
TB先生の知人のKと申します。
妊婦さんの診療は、ご指摘通り、配慮が必要と思います。
私が昨年読んだ論文でも、「妊娠早期にクラリスロマイシン使用による流産・重大奇形との関連性が報告」されました。クラリスは比較的安全と思っていたので、驚いた記憶があります。
論文は"Clarithromycin in early pregnancy and the risk of miscarriage and Malformation: a register based nationwide cohort study"  PLOS ONE 2013; 8(1): e53327. PMID: 23301061 です。呼吸器診療でよく使う薬なので、参考になれば幸いです。
Commented by res81 at 2014-06-29 22:56
スタッフAjです。コメントありがとうございます。
クラリスロマイシンの件は、勉強不足で知りませんでした。教えていただきありがとうございます。
さっそく文献をチェックさせていただきました!!
今後ともアドバイスなどよろしくお願いいたします。
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