飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
お知らせ
福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ7名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医6名(H28年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
iizukakokyu@gmail.com までご連絡ください。

飯塚病院血液内科ブログ(←クリック)もお勧め!!
カテゴリ
全体
科の紹介
学会・研修会
身体所見
画像診断
気管支鏡
COPD
喘息
肺炎
抗酸菌
肺癌
間質性肺炎
咳嗽
胸水
胸膜癒着術
中皮腫
じん肺
真菌症
気管支拡張症
膠原病
病理学
感染症
アレルギー
肺高血圧症
写真部
Pearl
未分類
記事ランキング
検索
最新のコメント
横山様 コメントありが..
by res81 at 17:47
こんにちは。咳のことを検..
by 横山 at 13:50
Y先生、ありがとうござい..
by res81 at 17:31
K先生、お久しぶりです!..
by res81 at 14:19
いつも、ブログ更新を楽し..
by K at 03:21
吉村様 ブログを見..
by res81 at 20:11
K先生、ご無沙汰してます..
by res81 at 03:23
いつもブログを拝見させて..
by K at 16:27
はじめまして 現在この..
by 吉村 at 23:33
あ様、コメントありがとう..
by res81 at 06:35
タグ
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
外部リンク
ファン
ブログジャンル
画像一覧


リウマチとMTXとPCPと淹れたてコーヒーと・・・

久しぶりの更新になります、スタッフ228です。
みんなががんばっているのをいいことに、ちょっと更新をサボりがちになっておりましたが、心に留めている書きたいネタはあるんです!なんか言い訳みたいですが・・・笑

前置きはさておき、今日はつい先日まで当科をローテーションしてくれて、ぼくの拙い指導のもと、昼夜を問わずがんばってくれた研修医のS先生が最終プレゼンをしてくれました。当科では、通年で2年目の研修医の先生がローテーションしてきてくれます。7〜8週間という、あっというまのローテーションではありますが、どの先生も一生懸命がんばってくれるので、ぼくたちもそれに応えようと必死です(笑)2年目の先生方のアツい気持ちは、自分たちに初心を思い出させてくれたり、今まで気付かなかったような疑問を投げかけてくれたり、とても刺激的でもあります。今日はそんな刺激をビシビシ与えてくれたS先生のプレゼン!
d0264356_03303446.png
テーマは、

リウマチとメトトレキサート(MTX)とニューモシスチス肺炎(PCP)

リウマチの治療としてMTX(と少量ステロイド)を使用していた患者さんに発症したPCPの症例を、実際にローテーション中に担当してもらったわけですが、症例の発表とともに症例から学んだこと、疑問とその考察をプレゼンしてくれました!

ということで、自分自身も今回 改めて、リウマチ、MTXに関連したPCPについて勉強し直したのですが、この分野、勉強しがいがありますね〜
おもしろい分野ですが、うーん、やっぱり免疫系はムズカシイと痛感します。
以下、つれづれなるままに書いていきます。。。


PCPは大きく二つに分類されます。HIVに関連したPCPとそうでないPCP(non-HIV PCP)です。HIV関連PCPは、当院でも年に1〜2例程度でしょうか、時折散見されますが、最近ではnon-HIV PCPが増えてきているように思います。

d0264356_03330526.png
d0264356_03333299.png
(S先生プレゼンスライドより)

この図のように、Non-HIV PCPは、病原体自体はさほど多くないにも関わらず、重篤化することが知られており、それは、病原体に対して免疫が過剰に働きすぎてしまい、結果肺障害をよりひどいものにしてしまうから、と考えられています。ステロイド剤や免疫抑制剤がPCPのリスクに挙げられ、そういった薬剤を使用する自己免疫疾患(リウマチを含む) で、特にPCPの発症に注意が必要なわけです。


この文章、どこか矛盾を感じませんか・・・??


ステロイドや免疫抑制剤で免疫がおさえられているはずなのに、免疫が過剰に働いて肺障害をひどくしてしまう・・・


今回、S先生がプレゼンしてくれた症例は、実はMTXの副作用で血球が減少していました。リンパ球数自体は保たれていたのですが、好中球数が明らかに低かったのです(600/μL)。この状況下で肺炎になったわけですから、抗癌剤治療をしている立場の人間からすると、いわゆるFN(発熱性好中球減少症)に近い状態なわけで、ともすると広域抗菌薬を投与しながら、G-CSFを使用して好中球を増やしてもいいかな、と思ってしまいたくなるような状態。ただ、今回は病歴と画像所見から明らかにPCP(もしくはMTXによる肺障害)を疑う状況だったわけで、そこで思いました。このまま好中球が少ないままのほうが、過剰な免疫が誘発されにくく、軽くて済むのでは・・・


ST合剤とステロイドによる治療を行い、患者さんは無事に軽快しました。G-CSFなどは使用せず、血球も自然に回復していきました。


S先生が言いました。
「先生、non-HIV PCPって、もっと重篤で致死的かと思ってたんですが、なんか案外軽症でしたね」


ぼく「・・・・」


い、いや、なんか違う。non-HIV PCPは軽症と思って油断しては駄目なはず!今まで自分が経験してきたステロイドを契機としたPCPはとても重篤だったし、一般的にHIV PCPと比較して重篤と言われているじゃないか、油断しちゃ駄目だ〜


あれ、でも、たしかに本症例は、どちらかといえば軽症だ・・・??


MTXは、葉酸代謝を阻害し、核酸ならびにDNAの合成を阻害することで、DNAの複製、細胞増殖を抑制する薬剤です。免疫抑制剤というよりも、いわゆる抗癌剤により近いと考えられます。リウマチに対しては、免疫細胞を抑制し炎症をおさえることで効果を示すようですが、細かい機序ははっきりとは分かっていないようです。リウマチという複雑で特殊な免疫機構をもつ疾患に、このMTXを使用することで、抑制が優位な免疫系(PCPが発症しやすくなる)とあんまり抑制されない免疫系(むしろ病原体に対しては過剰に働きPCPを重篤化する)とが生じ、そのバランスによって、重症度が決まってくるのでしょうか・・・

d0264356_15564455.png

これは、あくまで自分の頭の中のイメージです。悪しからず。


ちなみに、リウマチでMTXを使用している方のなかでは、高齢の方のほうが、よりニューモシスチスの定着(colonization)がみられるようです。そして、その後、実際にPCPを発症する方もいるようです。


リウマチにMTXがどういう機序で働いているのか、PCPの発症機序、重症度がどうやって決まるのか、今後さらに解明されていくことに期待したいと思います。

d0264356_03461160.png
こちらはS先生が、最終プレゼンにあたって、ぼくたち聴衆のために、自ら準備したオススメのコーヒー豆を自ら挽いているところです。
おもてなし精神さすがです☆☆☆
さあ、また明日からもがんばりましょう〜





[PR]
by res81 | 2014-09-26 04:03 | 真菌症 | Comments(0)
<< CA19-9と呼吸器疾患 ERS2014日記③ >>