飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

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大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

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肺癌とトルソー症候群(Trousseau's syndrome)

お疲れ様です。
スタッフのTBです。

クリスマスイブは当直のため病院で過ごしました(T_T)

その時間を活かして久しぶりに凝固系について勉強しなおしましたので、
内容を一部アップいたします。

肺癌とトルソー症候群(Trousseau's syndrome)

トルソー症候群(Trousseau's syndrome)とは?
Armand Trousseauが1865年に、胃癌に遊走性血栓性静脈炎が多く合併する事を報告
以後様々な定義がなされたが、現時点では"癌の発見に先行、もしくはそれと同時に認められる予想外の血栓症"とすべきと考えられている

肺癌での血栓症の頻度
・年間3%
・kras変異はEGFR変異と比較し、血栓症が多い傾向あり
・表在静脈血栓症のみ(狭義のトルソー症候群)の症例は、
 肺癌合併血栓症患者の10%未満
  Thrombosis Research 2014;133:48-51

・最初の半年に多く、年間3%、2年で3.4%
  Journal of Thrombosis and Haemostasis 2008;6:601-608

・深部静脈血栓症は13.6%
  Thorac Oncol. 2007;2:729-734

<病態と、ヘパリンの効き所>
 (Blood. 2007;110:1723-1729を参考にしました)
凝固系のおさらい
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腫瘍による凝固系亢進の機序
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ヘパリンの効きどころ
d0264356_18114220.png

ヘパリンの作用点
①Xa因子阻害
②Thrombin阻害
③Heparin cofactor Ⅱの活性化
  Semin Thromb Hemost. 1992;18:341-346.
④L-/P-selectinとリガンドの結合阻害
  (癌由来mucin、生理的リガンド(PSGL-1など)) 
  J Clin Invest.1993;92:559-570.
  Haemostasis.1996;26(suppl 1):60-65.
  J Clin Invest. 1998;101:877-889. 
  Science.1993;261:480-483.
  Blood. 1993;82:3253-3258.
  J Biol Chem. 1995;270:12012-12024.

⑤Heparinにより、血管内皮からのTFPI分泌促進
  Semin Thromb Hemost.2001;27:503-511.
  Haemostasis. 2000;30(suppl 2):48-56.
  Thromb Res. 1998;89:263-270.
  Br J Haematol. 1998;101:638-646.
  Adv Exp Med Biol. 1992;313:199-204.
  J Thromb Thrombolysis.2003;15:11-18.
  Angew Chem Int Ed Engl. 2002;41:391-412.
  Curr Opin Struct Biol. 2001;11:623-628.
  Vasc Med. 2004;9:205-213.


<治療・予防>
ASCOの癌合併VTE治療・予防ガイドライン2013
 (J Clin Oncol 31:2189-2204)
【入院患者】
 • 未分画ヘパリン:5,000単位8 時間ごと皮下注
 • ダルテパリン(フラグミン®):1日5,000 単位皮下注
 • エノキサパリン(クレキサン®):1日40mg
 • フォンダパリヌクス(アリクストラ®):1日1 回2.5mg:FDA 未承認

【外科手術患者】
 • 未分画ヘパリン:術前2〜4 時間で5,000 単位,その後8 時間ごと
  または術前10〜12 時間で5,000 単位その後1 日1回5,000 単位
 (12 時間ごと投与は効果が減弱する)
 • ダルテパリン:術前2〜4 時間で2,500 単位,その後1日1回5,000 単位
  または,術前10〜12 時間で5,000 単位,その後1 日1回5,000 単位
 • エノキサパリン:術前2〜4 時間で20mg,その後1 日1回40mg
  または術前10〜12 時間で40mg 投与し,その後1日1回40mg
 • フォンダパリヌクス:術後6〜8 時間で2.5mg 1回投与。
 注:脊椎麻酔や硬膜外麻酔,硬膜外鎮痛,エピカテーテル抜去などの場合,
   1 日1 回の低分子ヘパリンは施行前10〜12 時間以内の投与は避ける。
   術後初回 の低分子ヘパリンは6〜8 時間後に投与する。
   カテーテル抜去後の最初の低分子 ヘパリンは2 時間以内に始めない。

【深部静脈血栓症の治療】
 初期治療
 • 未分画ヘパリン:80 U/kg IV bolus,その後18 U/kg/hr DIV
             aPTTで用量調整
 • ダルテパリン※:100 U/kg 12時間ごと,または200 U/kg 1日1 回
 • エノキサパリン※:1mg/kg 12時間ごと,または1.5mg/kg 24時間ごと
 • フォンダパリヌクス※:50kg 未満;5.0mg 1 日1 回,
                50〜100kg;7.5mg 1 日1 回,
                100kg 強;10mg1日1 回
 長期投与
 • ダルテパリン※:200 U/kg 1日1 回1カ月,その後150U/kg 1日1回
 • エノキサパリン※:1.5mg/kg 1日1回,
              または1mg/kg 12時間ごと1日2回
 • ワルファリン:PT-INR 2〜3に調整
 注:
 1.非経口抗凝固薬はワーファリンと少なくとも5〜7 日はオーバーラップさせ,
 2.PT-INRが治療域に2日間連続で入るまで投与を継続する
  未分画ヘパリンの投与速度はaPTT によって治療域に入るように調整する
 3.※のついた抗凝固薬は腎クリアランスに依存するため,
  CrCl ≦ 30ml/minでは,抗Xa 因子のレベルによって量を調節する
 4.ダルテパリンとエノキサパリンは120kg 以上の肥満には投与量は
   明確にわかっていない
 5.後ろ向きデータでは,エノキサパリンは1日1回より1日2回のほうが効果的
 6.治療期間の総計は臨床状況による


研修医の頃、実は血液内科に所属しておりましたので、凝固系の大家の先生から色々と教えて頂いた事を思い出しました。
突然のアルバイト命令も沢山仰せつかり、色々な意味で勉強させて頂きました・・・(遠い目)

Trousseau先生は、この報告の2年後(1867年)に自身の下肢に深部静脈血栓症を生じたことに気づき、自分の病態を察知して絶望した、という記録があるそうです。
実際、その後数か月で胃癌でお亡くなりになっています。
因果なものですね・・・
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by res81 | 2014-12-25 18:30 | 肺癌 | Comments(0)
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