飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81 お知らせ
福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。
呼吸器内科スタッフ13名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+専攻医4名+特任副院長1名(R5年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。 大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。 飯塚病院呼吸器内科では、専攻医やスタッフを募集しています。ご興味のある方はktobinoh2@aih-net.comまでご連絡ください。 お勧めブログ 飯塚病院血液内科ブログ カテゴリ
全体科の紹介 学会・研修会 身体所見 画像診断 気管支鏡 COPD 喘息 肺炎 抗酸菌 肺癌 間質性肺炎 咳嗽 胸水 胸膜癒着術 中皮腫 じん肺 真菌症 気管支拡張症 膠原病 病理学 感染症 アレルギー 肺高血圧症 写真部 Pearl ジャーナルパトロール 統計 気胸 症例 COVID-19 こきゅうの歩き方 未分類 記事ランキング
検索
最新のコメント
タグ
呼吸器内科
飯塚病院
後期研修医
嚥下
喘息
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
外部リンク
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
「気管支喘息患者におけるスピリーバの使用経験」こんばんは。Ajです。 さて、2015年3月5日にスピリーバの喘息適応記念講演会がのがみプレジデントホテルで行われました。 一般公演として、「気管支喘息患者におけるスピリーバの使用経験」という題で発表させて頂きました。 まずは、今回発表した内容を少し記載させてください。
気管支拡張薬であるスピリーバが、2014年11月から気管支喘息(重症持続型)に適応となりました。 喘息は気道の慢性炎症と気道の狭窄が主病態であります。気道の炎症に対しては、ステロイド薬を用い、これが喘息治療の主体です。炎症を繰り返すことでリモデリンを起こすため、吸入ステロイドでしっかり治療することが大切ですが、 1.アレルゲンにより、肥満細胞やマクロファージが刺激され、Th2・好酸球・好中球などなどから炎症性のメディエーターが放出され、平滑筋を収縮させます。 2.平滑筋にはβ2受容体があり、β2刺激薬はそこに直接作用をし、平滑筋を弛緩させます。 ⇒平滑筋に直接作用するため、どの経路からの因子もブロックすることになるため、今のところ気管支喘息の気管支拡張薬として第一選択となっています。 ※画像:Nature Reviews Drug Discovery 3, 831-844 (October 2004)より 今回、喘息に適応追加となったスピリーバの作用機序としては、 1.アレルゲンの刺激があると、炎症性のメディエーターが放出され、それらが迷走神経を刺激し、アセチルコリンを過放出する。 2.アセチルコリンが、平滑筋にあるムスカリン受容体(M3)と結合し気管支を収縮させてしまいます。 3.そこで、抗コリン薬を使用することで、気管支拡張効果を得るという機序となります。 ※画像:Nature Reviews Drug Discovery 3, 831-844 (October 2004)より また、ムスカリン受容体は平滑筋だけでなく、粘膜下腺や気道上皮にも存在するといわれており、抗コリン薬を用い、 ムスカリン受容体をブロックすることで、気管支拡張作用、分泌、増悪抑制効果、抗炎症効果も期待できるといわれています。 色々なLAMAがあるけど、どうしてスピリーバなのか?スピリーバの特徴を簡単に説明させていただくと、 スピリーバは、気管支を収縮させるアセチルコリンが結合する、ムスカリン受容体をブロックすることで、気管支拡張効果を得ます。 ただし、ムスカリン受容体は、迷走神経の末端にはM1,M2,M3の3種類存在ます。M2受容体は、アセチルコリンの過放出を防ぐためにネガティブフェードバックをかけてくれる調整役。ですが、抗コリン薬はここもブロックしてしまいます。より強い気管支拡張を得るためには、M1,M3のみブロックする必要がありますが、これはなかなか難しい…。 ですが、スピリーバは、M1,M3には長時間結合し、M2には短時間結合するという特徴をもっています。ゆえに、利にかなった吸入薬といえます。 今回、当施設は重症持続型の10症例にスピリーバを上乗せしました。 結果を下記に記載します。 ①重症持続型の気管支喘息患者へのスピリーバレスピマットの上乗せを行い、症状と呼吸機能の改善が得られた。 ⇒ゆえに、スピリーバレスピマットは、気管支喘息患者にとって重要な治療薬の選択肢の一つであると思われます。 使った印象もすごくよかったです。
by res81
| 2015-03-10 19:48
| 喘息
|
Comments(0)
|