飯塚病院呼吸器内科のブログ
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IPAFの特徴

スタッフのTBです。

ERJより、IPAFの特徴を検討した論文です。
今後自験例でも検討しようと思っていましたので、勉強になりました。

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Characterisation of patients with interstitial pneumonia with autoimmune features.
Eur Respir J. 2016 Jun;47(6):1767-75.


Introduction
・間質性肺疾患は、「最終的に肺の線維化を生じる可能性がある」という、画像・生理学的特徴を共有するヘテロな疾患のグループである。
・臨床経過や治療反応性は、疾患により異なる。中でも、膠原病(CTD)関連の間質性肺疾患(CTD-ILD)は予後がIPFと比較し良好である。
・間質性肺疾患の中に、CTDの診断基準こそ満たさないものの、血清学的検査で自己抗体が陽性だったり、関節炎や皮膚症状を伴うなど、CTDの特徴を一部有するグループが存在する。これらのグループは、過去"undifferentiated CTD-associated ILD (UCTD-ILD)", "lung-dominant CTD", "autoimmune-featured ILD"など、様々な呼ばれ方をしてきた。報告により定義は少しずつ異なっている。
   Corte TJ, et al. Eur Respir J 2012; 39: 661–668.
   Kinder BW, et al. Am J Respir Crit Care Med 2007; 176: 691–697.
   Vij R,et al. Chest 2011; 140:1292–1299.
   Omote N, et al. Chest 2015; 148: 1438–1446.


・この問題を解決するため、European Respiratory Society (ERS)/American Thoracic Society (ATS)による、“Task Force on Undifferentiated Forms of Connective Tissue Disease-associated ILD”が、joint research statementを発表し、"Interstitial pneumonia with autoimmune features (IPAF)"の診断基準を提唱した。(今後はこの基準に基づき研究を行っていこう、という事と考えられる)
   Fischer A, et al. Eur Respir J 2015; 46: 976–987.

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<IPAF診断基準>
[前提]
1.HRCTまたはSLBで間質性肺炎が存在
2.他疾患の除外
3.膠原病の診断基準を満たさない
4.少なくとも2ドメインから1つを満たす

[ドメインA Clinical domain]
1.メカニックハンド
2.指尖部潰瘍
3.関節炎または朝の関節のこわばり(60分以上)
4.手掌の血管拡張
5.レイノー症状
6.説明のつかない手指の浮腫
7.Gottron徴候

[ドメインB Serologic domain]
1.ANA≧320 diffuse, speckled, homogeneousパターン もしくは
 a.Nuclear patternならわずかでも可
 b.Centromereならわずかでも可  
2.RF>30~40
3.抗CCP抗体
4.抗ds-DNA
5.SS-A
6.SS-B
7.抗RNP抗体
8.抗Sm抗体
9.抗Scl-70抗体
10.抗ARS抗体(Jo1、PL-7、PL-12、EJ, OJ, KS, Zo, tRS)
11.抗Scl抗体
12.抗MDA-5抗体

[ドメインC Morphological domain]
1.HRCTパターン
 a.NSIP
 b.OP
 c.NSIP with OP overlap
 d.LIP
2.SLB(外科的肺生検)の病理学的パターン
 a.NSIP
 b.OP
 c.NSIP with OP overlap 
 d.LIP
 e.胚中心を伴うリンパ濾胞
 f.リンパ球・形質細胞のびまん性浸潤
3.間質性肺炎プラスアルファの所見
 a.胸水、胸膜肥厚
 b.心嚢液、心膜肥厚
 c.肺機能・画像・病理いずれかにおける気道病変
 d.血管病変
----------------------------------------------

Objectives
・レトロスペクティブにIPAF診断基準をUCTD-ILD症例もしくはIIPs症例に当てはめてみて、生命予後も含めたIPAFの特徴を検討する。
・IPAF診断基準の各ドメイン・ドメイン内の項目が、生命予後を予測できるのか細かく検討する。

Materials and Methods
Patients
・シカゴ大学の間質性肺疾患レジストリーの中の、October 2006~December 2014までの症例
 - IIPの症例
   IPF,
   unclassifiable IIP,
   biopsy-proven idiopathic NSIP,
   biopsy-proven COP
- Corte’s criteriaに基づいたUCTD-ILD症例

Data
・カルテ・電話連絡などでデータや生存について情報収集
・Follow-upはJanuary 1, 2015まで
・他疾患による間質性肺疾患、同意されなかった患者、診断に必要な検査(血液検査、HRCT、外科的肺生検など)をされていなかった患者は除外
・シカゴ大学では抗Scl抗体と抗CADM (MDA-5)抗体をルーチンで調べていなかったため、今回の検討には含まれていない

Result
・422例の中で、144例がIPAFの診断基準を満たした;
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 - 平均年齢63.2歳、女性が52.1%
 - 喫煙歴:54.9%
 - HRCTでUIPパターン:54.6%
 - 外科的肺生検(SLB)でUIPパターン:73.5%
 - %FVC平均値:61.9%
 - %DLco平均値:45.3%
 - 初期診断(144例中)
   UCTD-ILD:72例
   IPF:49例
   Unclassifiable:14例
   NSIP/COP:9例

・IPAF診断基準の中で、頻度の高かったもの
 
  Raynaud’s phenomenon (27.8%)
  Inflammatory arthritis/morning stiffness lasting >60 min (17.4%)
  Mechanics hands (10.4%)
 
  ANA≧1:320 (or nucleolar or centromere pattern of any titre)(77.6%)
  SSA (16.6%)
  Rheumatoid factor≧x2 upper limit of normal (13%)
 
  NSIP pattern by HRCT(31.9%)
  Histopathological NSIP pattern (22.9%)
  Histopathological OP patterns (16.9%)
  Intrinsic airways disease (22.2%)
  Pleural disease (12.5%)
  Pulmonary vasculopathy (18.8%)

・生命予後
 - 144例中、57例(39.6%)が死亡、14例(10.8%)が肺移植
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 → 多変量したら、年齢の拡散能のみが統計学的有意

・IPAF診断基準と生命予後
 Cox regressionで検討
 <ドメインごと>
 - Clinical domainが陽性であれば、死亡率低下
   HR 0.56, 95% CI 0.32–0.96; p=0.03
  ⇔ Serological/Morphological domainは死亡率と関係なし

 <ドメイン内>
 - HRCTでa-dのいずれかであれば、死亡率やや低下するかも
   HR 0.58, 95% CI 0.34–1.0; p=0.05
 - SLBでa-fのいずれかがあれば、死亡率やや低下するかも
   HR 0.36, 95% CI 0.11–1.18; p=0.09
 ⇔ Morphologival domainで
   「3.間質性肺炎プラスアルファの所見」がある場合、死亡率やや上昇
    HR 2.01, 95% CI 1.19–3.38; p=0.009

 
 - 上記結果に基づき、
  clinical domain+HRCT or SLB所見を満たした場合をnew IPAFとした
 ⇒ 40例がこれを満たし、新たなコホートを行ったところ、
   生存曲線は予後の良い順に、
   CTD-ILD>modified IPAF>original IPAF>IPF であった
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Conclusion
・IPAFにも生命予後の異なるsubgroupがいる事が分かった
・今後、治療反応性も検討すべき
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後ろ向きにきちんとレビューするためには、しっかりとしたレジストリー作りが大切ですね。
また、是非前向きにも検討してみたいと思います。
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by res81 | 2016-08-21 21:35 | 間質性肺炎 | Comments(0)
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