飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医4名(H29年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
iizukakokyu@gmail.com までご連絡ください。

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国際学会APSRに参加しております①〜Workshop of Thoracic Ultrasound〜

こんにちは!
アジア太平洋呼吸器学会(APSR)に参加するため、ほほえみの国タイに来ている、ほほえみ隊です。
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現在タイでは国王が亡くなられて喪に服しておられながらも、地元の方々の暖かい歓迎を受けて無事に参加できております。また多忙を極める業務の中、4名もの学会参加を送り出して下さった飯塚病院呼吸器内科の皆様に、心から感謝しております。

さて、初日の今日は隊員4人それぞれがワークショップに参加しております。
なかでも興味深かった肺エコーの話題を中心に紹介させてください。

なお文中で触れた所見はいずれも、Resus ultrasoundという無料アプリで見ることができます。
初学者にも分かりやすい写真や動画が豊富です。是非ダウンロードしてみてください。(現在はAppleのみの対応です)
エコーの話題でとくに面白かったのが、気管支透亮像(airbronchogram)をエコーで観察するという発想です。肺が実質化するとき(sonographic hepatization)、エコー所見上airbronchogramが見えます。日頃X線やCTでは見慣れている所見ですが、エコーでも確認できるようです。
肺炎などの末梢病変の場合は呼吸により気道が動くため、よく観察すると気管の走行に沿った方向に、呼吸に合わせて動きがみられます。これを dynamic airbronchogram (直訳:動的な気管支透亮像)と呼び、気管支壁や気流の動きを反映したもののようです。
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<resus ultrasound on iPhone App storeより>

一方、中枢側の腫瘍による閉塞性無気肺では、気道に閉塞があり気流がないため、気管支壁をきれいに追うことができ、呼吸性の変動がみられません。(tramlineのように見えました)
これを static airbronchogram(直訳:静的な気管支透亮像)と呼びます。
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<resus ultrasound on iPhone App storeより>

これらは感度特異度が高いものではない(まだ論文化されたデータがあまりない)所見ですが、CTに移動できずポータブルX線を待っているような急変時や救急の場面で、初期対応を決める際に活用できるものです。例えば喀血患者で右肺にstatic airbronchogramを認めた場合には、右の中枢性肺癌からの出血がなどが疑われ、右側臥位にして分離肺換気や気管支鏡の準備を考えるかもしれません。
あるいは呼吸不全の患者で原因が喀痰による中枢性無気肺の可能性があるとわかれば、喀痰吸引や体位ドレナージ、気管支鏡を準備するきっかけになるかもしれません。

またエコーの所見は疾患と一対一対応でとらえるのではなく、所見の表す病態をイメージしながら総合的に考えることが肝要です。
例えば気胸の診断において、胸膜の呼吸性変動であるlung sliding signの消失が有名ですが、lung sliding signやA lineが消失していてもB lineが見られる場合にはARDSが考えられます。
単一の所見で飛びつくのではなく、アルゴリズムに則り診断を下すことで、気胸については診断精度は100%近くになるそうです(X線よりも高感度特異度です)。

<気胸診断のアルゴリズム>
1 コンベックスプローべを肋骨に直交するように当てて2ー3肋間を同時に見る
2 Bat signで肋間の胸膜を探し、画面中央になるよう深さを調節する
3 Lung slidingで胸膜の動きの消失を確認する
4 Seashore signの消失で肺の虚脱を確認する
5 Lung pulseの消失を、心臓から離れたところで確認する
6 Lung pointで胸膜が虚脱している点を探す(見えないことも多い)
7 Stratosphere signで最終確認する
8 もちろん左右差の確認も忘れない

その他にも肺、胸膜、心臓など多様なエコー所見を教わりました。
CV確保のSessionでは、静脈と動脈を見極める方法として、拍動の有無、圧迫をして潰れるかの有無に加え、パルス・ドップラーを活用することが新鮮でした。
具体的には血管を同定して動脈か静脈か判別が難しい場合、パルス・ドップラーのカーソルをそれぞれにあてて、脈波が大きく間隔が短いものが動脈小さいものが静脈とのことであり、今後の臨床で活用してみようと思います。

またエコーを行う上で心がけることとして、エコーはあくまでも身体所見と同じととらえ必ず両側でとること、また必ず3臓器以上でとることで診断をより確からしくすることが大切です。
呼吸器内科の診療では胸膜、肺、心臓、下大静脈は最低限見ることと、当たり前のようですがエコーのみで全てがわかるわけではないため、他の検査も合わせて考えることが重要です。

日頃の診療で、肺エコーをより幅広く活用できないかと相談していたところでしたので、今回の講義と実習はエコーの新たな可能性を感じる、実りあるものでした。

国際学会では論文や教科書で目にする各国な著名な先生方が一挙に集結し、怖気づいてしまいそうですが、ワークショップは学会前日に比較的少人数で開催されるため、演者の先生に一日を通して質問をしたり議論になったりと、有意義に過ごすことができお勧めです。
先に紹介したResus Ultrasoundのアプリを開発された先生にはとくに親身に我々の相談に乗ってくださり、今後の臨床でも助けていただけるとの優しいお言葉まで頂戴しました。
本日の実習風景と、記念写真を紹介致します。
明日に迫ったポスター発表に向けて今夜は各自、発表の準備に勤しんでおります。次回はポスター発表について報告させていただきます。
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by res81 | 2016-11-12 23:25 | 学会・研修会 | Comments(0)
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