飯塚病院呼吸器内科のブログ
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カテゴリ:胸膜癒着術( 1 )

ピシバニールで肺障害? & ピシバニールと中皮腫

スタッフ228です。
本格的に寒くなってきましたが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
もともと朝が苦手な上に、こうも寒いとさらに朝起きるのが辛くなってきますが、気合いでがんばります(笑)

さて、先日、胸膜癒着療法に使用する薬剤として、日常的によく使用するOK-432(ピシバニール)による肺障害を来たした症例を経験しました。ピシバニールによる発熱などは有名ですが、小生、その肺障害は経験がなく、実際どんなものかと調べるに至りました。

すると、ありました!!

ピシバニール後の間質性肺炎。一例報告から数例報告、中には投与対側にOP(器質化肺炎)を来たしたという報告もありました。ちなみに、アナフィラキシーを来たした症例報告もありました(たしかTB先生もご経験ありとのことでした)。
それらの中でも興味深かったのは、だいぶ前になりますが、

分子呼吸器病 1997;1:187-194.

に記載されている症例報告とその考察です。

ピシバニールが生体内で作用する場合に、好中球、マクロファージ、Th細胞、NK細胞などに連続的に働き、多種のサイトカインを誘導する作用が知られているようです(つまり、免疫賦活剤ということですね)。一方で、間質性肺炎のその発症機序においても、特にその早期の段階で、やはり多種のサイトカインが関わっている可能性が考えられており、それらのサイトカインがピシバニールによって誘導されるサイトカインと共通しているため、ピシバニールの投与により、当然間質性肺炎は起こりえるだろう、との考察でした。
ただ、小生もそうだったように、ピシバニールの副作用としての間質性肺炎は、案外認識が薄いようです。その背景には、ピシバニールによる癒着を行うような方は、抗癌剤やG-CSF製剤の投与、あるいは肺切除などが行われていることも多く、間質性肺炎が起きた場合に、本当にピシバニールによるものなのか、明確に関連づけることが難しい、という点があるようです。

なるほどなるほど・・・・
そして、改めて、今回の症例を振りかえると・・・

悪性胸膜中皮腫の方で、その診断目的に胸腔鏡検査を行った後、ドレーンを挿入している間に、胸水コントロールにピシバニールで胸膜癒着を行った、という方でした。実は、入院当初から非常に炎症反応が高く、短期間で全身性に消耗している印象がありました。

そう、炎症です・・・・

そこで、思いました。全身性の炎症が高い状況下に、ピシバニールを投与したことで、さらに炎症が惹起され、結果、間質性肺炎を来たしたのではないか、と。

あくまで私見ですが、悪性中皮腫は、いわゆる炎症反応が高値であることも多いため、そういった症例では、ピシバニールの使用は控えた方がよいのかもしれません。肺癌を含むその他の癌による癌性胸膜炎で炎症反応が高いときもそうなのかもしれません。

中皮腫に関連して、見つけたのがこちらです。

Incidence of interstitial lung disease in patients with mesothelioma in the west part of Japan
pharmacoepidemiology and drug safety 2011; 20: 643–652


背景として、そもそも日本人において、癌治療に関連したびまん性肺疾患(ILD)の頻度が高いこと、そして、悪性中皮腫は、炎症反応が高いことが多く、その炎症に関わる機構が、ILDに関連しているかもしれないことが挙げられており、実際に中皮腫に対する各種治療(外科切除、化学療法、放射線療法、ピシバニールや抗癌剤による胸膜癒着療法)に関連したILD事象に関して検討してあります。

ILDを来たした症例を一部まとめると、

・70歳以上は、60歳未満の4-5倍ILDを発症している
・臨床病期III-VI期と進行期では頻度が多い
・PS;Performance Statusが3の群で頻度が多い
 (PS4症例ではILDはみられなかった)
・過去にILDのhistoryがあると、ない場合に比し5倍ILDを発症している
・喫煙や過去の石綿曝露歴はILD発現と関連しなかった


といった傾向があるようです。

また、胸膜癒着術を施行した症例に焦点をあわせると、ILDを来たした症例はすべてピシバニールで癒着されています(症例数自体は、ピシバニールと抗癌剤などその他の薬剤でほぼ同数です)。
他にも、外科切除と抗癌剤の中でも特にVinorelbineにおいて、ILD発現頻度が高い傾向にあったようです。

やはり、ピシバニールはILDを誘発しうるんでしょうね。他にも、ここ最近は、よかれと思って施した治療で、頻度の少ない合併症を来たす、といった症例がちらほらありました。こういった症例を経験すると、治療や検査は、個々の症例に応じて十分に検討すべきだな、ということを身にしみて感じます。



************** 追 記 ****************


以前質問欄にもコメントいただいた件とも関連があるので、一言追記を。。。

ピシバニールが承認、販売されているのは、日本・韓国・台湾の3カ国だけです!

ご存知の方からすれば、別に大したことない情報ですし、インターネットで「ピシバニール」と検索すれば、3カ国という情報もすぐ手に入るわけですが、知らないとPubMedなんかで検索してて、なかなか引っ掛からないなぁとモヤモヤしてしまったりします。
ええ、自分がそうでした。。。。(T T)

この記事、比較的読んでいただいているようですので、記事を書いた者として、ちょっと追記させていただきました。






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by res81 | 2012-11-28 01:54 | 胸膜癒着術 | Comments(2)