飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ7名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医6名(H28年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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カテゴリ:抗酸菌( 3 )

TNFα阻害薬と抗酸菌感染症

あけましておめでとうございます。
お久しぶりです。スタッフの1128です。
2015年度初投稿ですが、特に普段と変化のない内容です。

東京病院での短期研修を終え、1月から飯塚病院に復帰しました。
東京病院の皆様には本当にお世話になりました。同世代の先生も多く、いい刺激になりました。
むこうの電子カルテに慣れてしまっていたこともあり、今は事務的な面でちょっと困っています。

当院は膠原病内科があり、RAなどに生物学的製剤を導入されている患者さんが多くいらっしゃいます。呼吸器内科医として、生物学的製剤導入時のTB/NTMに関してはコンサルトをうけることがあります。
正直なところ、RAの気道病変なのか抗酸菌なのか判断に困ることもあります。

ERJより
Mycobacterial diseases developed during anti-tumour necrosis factor-α therapy.
Eur Respir J. 2014 Nov;44(5):1289-95.

【introduction】
・TNF-α阻害薬は関節リウマチや炎症性腸疾患の患者に対して推奨されているが、感染症に罹患するリスクが上がるという副作用もある
・TNF-αは以下の点で重要なサイトカインである
細胞内病原体の殺菌
肉芽種形成
壊死
播種の抑制
・TNF-α阻害薬は上記作用を抑制するためTB/NTMに罹患するリスクが上がる
・NTMはTBほどTNF-α阻害薬使用時の経過がよくわかっていない
・TNF-α阻害薬使用時にTB/NTMを発症した患者の、臨床症状・細菌学的特徴・画像的特徴・治療経過に関して評価した

【methods】
・韓国の2700床規模の病院でレトロスペクティブに行った
・韓国は結核の中等度蔓延国である
・2004年7月から2013年7月の間でTNF-α阻害薬で治療された1165例
炎症性腸疾患:422例
関節リウマチ:320例
強直性脊椎炎:389例
その他 :34例
・いずれかの検体でTBが検出された場合やPCR陽性の場合はTBと診断
・NTMの診断は2007年のATSの診断基準に従った
・経過フォローに関しては、来院しなくなる・転院・死亡・TNF-α阻害薬治療終了後3ケ月まで行った
・良好な治療経過の定義としては、再発することなく治療を完遂できた、もしくは治療にて培養が陰性化とした

【results】
・TNF-α阻害薬治療中にTB19例、NTM6例を認めた
・罹患率としては:TB:747.7/10万人、NTM:238.2/10万人
・NTM患者は高齢女性が多く、全例肺病変を認めた。また基礎疾患としてはRAが83.3%と多く、全例でステロイド使用があった
・TBでは強直性脊椎炎が多かった

d0264356_16163210.jpg


・TNF-α阻害薬の投与期間に両群で有意差は認めなかった
・TBでは77.7%で肺外病変あり
・TB15例がINHとRFP感受性あり
・NTMは全てCAM感受性あり
・NTMはマクロライドを含めた治療、TBはfirst line drugでの治療を行った
・治療期間の中央値:TB:6.1ヶ月、NTM:15.2ヶ月
・NTMの6例ともすべて喀痰培養は陰性化した

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・NTMで死亡の1例はILDの増悪
・治療経過はfigure1参照
・TNF-α阻害薬の再投与した症例ではNTMやTBの増悪は認めなった

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【discussion】
・NTMではLTBIのように予防投与が確立しているわけではない。そのため、治療前の評価と治療中の評価が重要である
・NTMが増悪した際にTNF-α阻害薬を中止するかどうかははっきりしていない
・本研究では対象が少なく、また単一施設のため選択バイアスの除外ができていないなどの制限がある
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by res81 | 2015-01-16 16:20 | 抗酸菌 | Comments(0)

結核性ふく膜炎  ※ 胸ではなくてお腹です!!

こんにちは、久しぶりにアップします、スタッフ228号です〜

今日は北九州総合病院の先生方と症例検討会を行いました〜
思いつきで開催することになった検討会ですが、その後の懇親会も含め、楽しく充実した時間を過ごすことができました。
北九州のみなさん、飯塚まで足を運んでいただき、ありがとうございました。
病院間を越えたお付き合いができることが、とても嬉しいです。
引き続きよろしくお願いします!!


さて、今日のテーマは・・・

「結核性腹膜炎」

「胸膜炎(きょうまくえん)」じゃなくて「腹膜炎(ふくまくえん)」ですのであしからず。。。

みなさんはご経験おありでしょうか?
実はこの1ヶ月のうちに2例ほど、立て続けに結核性腹膜炎疑いの患者さんがいらっしゃいまして。
調べてみたら、結核患者さんの0.04-0.5%程度らしいのですが、1ヶ月に2例は正直びっくりしました、はい。
腹膜炎がうつるわけじゃあるまいし・・・

ということで、少しまとめてみました。


<概要>
・全結核患者の0.04-0.5%
・半数は肺病変を有しない
・感染経路
 ①肺病変から血行性に腹膜播種した潜在性感染巣が免疫能低下で活動性
  となったもの
 ②活動性肺病変からの全身性血行性播種
 ③腸結核など腹腔内臓器からの連続性波及
・腹腔内に著明な癒着をもたらすことがある


<画像所見>
・腹水貯留
・腸間膜の肥厚、腹膜の均一な肥厚(比較的多くみられる)
・腸間膜に5mm未満の小結節
・結核性リンパ節炎が疑われる直径10-15mm大の結節
 (リンパ節の中心部は造影不良)
・胸部に活動性肺病変 or 陳旧性肺結核


<診断>
★ 下記①〜④から総合的に判断する
★ ただし、病理組織学的に診断をつけることは難しいことも多い
★ 実際には、①、③から診断して、早めに抗結核薬を開始して診断的治療を行うこともある(治療が遅れるよりはマシ、という考え)

①腹水所見
・腹水が滲出性、リンパ球優位
腹水ADA高値
・腹水抗酸菌染色陽性、抗酸菌培養陽性
 (腹水抗酸菌染色陽性率3-10%、培養陽性率20-50%)
・腹水中に悪性および一般細菌感染所見なし

②組織学的所見
・組織学的診断(腹腔鏡下腹膜生検など)

③結核病変の存在
・結核病変の存在(肺結核、腸結核、結核性リンパ節炎など)
・結核性胸膜炎の合併症例もあり

④抗結核薬投与後の経過
・抗結核薬投与によち改善が得られること


<腹水ADAについて>
・cut-off値は 30-40 IU/L程度としている文献が多い
 ➡ 39 IU/Lとすると、感度100%、特異度97%とする報告も

※癌性腹膜炎との鑑別にも有用
 ➡cut-offを 21 IU/Lとすると、感度92%、特異度85%とする報告も


<腹腔内の所見について>
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粟粒状の結節が壁側腹膜に散在
生検すると肉芽腫性炎症がみられ抗酸菌染色も陽性だったようです


※ちなみに結核性きょう膜炎では
d0264356_22504849.png
     I期:胸膜全体が発赤腫脹し、白色の小結節が散在
     II期:びまん性の小結節とそれらの癒合
     III期:壁側胸膜に白色肥厚性変化を伴う
     IV期:フィブリン網の形成を伴う


腹膜も胸膜も、特に初期は、やっぱりブツブツした感じになるんですねぇ
きっとそこには肉芽腫が〜〜〜っ!!


実際の診療では、胸水や腹水から菌が検出されることは少なく、結核を疑って胸腔鏡を行っても、これは結核っぽいな、という所見に遭遇することは、なかなかありません。結局ランダムに壁側胸膜を生検してみるわけですが、肉芽腫にもなかなか出会えず、結局検査自体があまり意味がなかった・・・ということも。

ただ最近では、採取した組織を組織培養に提出すると菌の陽性率が上がるとの報告もあります。
今度生検するときには、ぜひ当院でも組織培養を出してみたいな、と思います。

結局、最後は胸膜炎の話になりましたが(笑)
ちなみに、先の結核性腹膜炎疑いの患者さんたちは、2例とも腹水ADAが高値(50-90)でした。おそらく結核性腹膜炎と思われます。

原因不明の腹水をみたときには、ぜひ結核性腹膜炎を鑑別に!!
そして、ぜひ腹水ADAを測定しましょう〜


参考:





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by res81 | 2014-06-28 23:45 | 抗酸菌 | Comments(0)

市中肺炎患者における肺結核の予測因子

久しぶりの更新です。スタッフの1128です。

肺炎と思っていても肺結核であったという状況は臨床の場では存在し、結核に足元をすくわれることも多いのが実情です。

市中肺炎患者における肺結核の予測因子の検討について

ERJより
Predicting Mycobacterium tuberculosis in patients with community-acquired pneumonia.
Eur Respir J. 2014 Jan;43(1):178-84.


Introduction
結核は世界の死因で7番目であり、感染症ではHIVに次いで2番目である。肺結核が市中肺炎と同様のプレゼンテーションとなることもある。M.tuberculosisは市中肺炎の原因としては少ないが、最終診断の前に肺結核患者を同定し隔離することは院内感染を防ぐ、MDR-TBの蔓延を防ぐことにおいて重要である。結核患者を同定するために、臨床医CDCで提唱されている22のリスク因子を参考にしている。これらのリスク因子で市中肺炎における結核菌を予測することの妥当性や重要性は検討されていない。今回はCDCのリスク因子を評価した上で、新たなリスクスコアを検討する。

Patient characteristic
33カ国、113の病院で2001年3月から2011年12月までに市中肺炎で入院した成人患者6976人を解析した。
肺炎の診断基準
・肺の新規の浸潤影
さらに以下のうちの1つを満たす
・新規or増悪する咳嗽±喀痰
・発熱37.8度or低体温35.6以下
・左方移動を伴う白血球上昇or白血球低下
入院の2週間前までに入院歴がない場合は市中肺炎とし、呼吸器の培養検体で結核菌が陽性となった場合は原因菌と判断した 。
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Method
22のCDCのリスクファクターのうち20を検討した 。2つのリスク因子(咳嗽・肺の浸潤影)はinclusion criteriaに含まれるため除外した。
Poisson回帰分析を使用し、市中肺炎における結核菌を予測するリスク因子のうち最も良いものを選択し、それをCAPO TB risk scoreとした。ROC曲線を用いてCDCのリスク因子とCAPO TB risk scoreを比較した。

Result
盗汗、喀血、体重減少(理想体重から10%以上の減少も含む)、結核菌の曝露(結核の既往、ツ反陽性歴も含む) 、上葉の浸潤影の5つが最も結核菌を予測する因子であることが判明した。CDC TB risk scoreのROC曲線におけるAUCは71%であり、CAPO TB risk score では89%と有意に高かった。
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Discussion
Secondary analysisであり、もともと結核疑いの患者は除外されている。地域によって結核の頻度が異なる。今回のCAPO TB risk score以外のリスク因子が重要でないわけではない。

Conclusion
CAPO TB risk scoreは市中肺炎患者における結核菌の診断においてCDCの提唱するリスク因子と比較しより正確であった。今回のCAPO TB risk scoreは患者隔離をする意思決定の際に役立つ可能性がある。
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by res81 | 2014-06-22 15:06 | 抗酸菌 | Comments(0)