飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ7名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医6名(H28年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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カテゴリ:感染症( 2 )

インフルエンザとステロイド

今年初ブログupのGSnowです。
今年度を振り返ると、呼吸器内科に進路を決め、ERS in Munichiで発表、大阪大学での研修と充実した生活を送らせていただいたなぁ~っと。まだまだ勉強することもたくさんありますね。
先週1月29日に北九州肺疾患セミナーに参加してきました。今年はインフルエンザ関連の入院が多かった気もするので、そこで紹介された論文をひとつまとめてみました。

Exploring the heterogeneity of effects of corticosteroids on acute respiratory distress syndrome: a systematic review and meta-analysis
Ruan et al. Critical Care 2014, 18:R63

【introduction】
・ARDSにおけるステロイド治療の有効性は賛否両論ある。
・ARDSにおけるメタ解析からステロイド治療の有効性を検討する。

【methods】
・2013年までにMEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceに報告されたRCTsとコホート研究で検証した。
  1771研究から、ステロイドを使用し、死亡率を検討しているものでメタ解析を行っているもの、18研究で検証した。
・ARDSのICUでのrelative risk(RR)とrisk difference(RD)、60日後の死亡率を比較した

【results】
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Table 1:
RCTsではICUの死亡率は低下するが、60日後の死亡率は改善しない。
コホート研究では、60日後の死亡率は増加するがICUでの死亡率に有意差はない。
ステロイド治療はICU入院中の死亡率低下には有効かもしれないが、60日後の死亡率は減少しない。
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・ARDSを4つのグループに分類すると、インフルエンザ関連ARDSは優位に死亡率が増加する。それ以外の敗血症関連ARDS、術後ARDSについては、結論づけられない。
→症例に合わせてステロイド治療を行うか検討が必要である。
 少なくともインフルエンザ関連ARDSには有効ではない
※Corticosteroid therapy in patiens with primary viral pneumonia due to pandemic (H1N1) 2009 influenza
(Journal of Infection;2012;64, 311-318)
H1N1インフルエンザによるprimary viral pneumoniaに対するコルチコステロイド治療は生存率を改善しない。
※Use of early corticosteroid therapy on ICU admission in patiets affected by severe pandemic (H1N1)v influenza A infection.
(Intensive Care Med;2011:37;272-283)
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Figure 3:ステロイド使用による感染症のリスク
RCTsでは感染症のリスクは低下しているが、コホート研究では感染症のリスクは増加している
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・5日以上持続するARDS患者ではステロイド治療の有効性がある
・ARDS発症14日以降の患者でのステロイド投与は推奨しない
・RCTsでは1~2mg/kg/dayの少量のPSLを推奨する。
ルーチンではステロイド使用は推奨しない

【conclution】
・ステロイド治療は長期予後は改善せず、一部の群(インフルエンザ関連)では有害である。


純粋なインフルエンザ肺炎に対してはステロイド治療は行わずに粘って治療するしかなさそうです。。。。
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by res81 | 2015-02-01 19:22 | 感染症 | Comments(0)

HIV-PCPにおけるART開始時期

ご無沙汰しております。スタッフの1128です。
10月初旬から国立病院機構東京病院で国内留学をさせていただいております。

東京病院は呼吸器内科だけで300床もあり、あらゆる呼吸器疾患の診療にあたっています。指導医やレジデントの数も多く、非常に活気のある病院です。この3ヶ月の間に様々なことを経験できればと思っています。

HIV-PCPにおけるART開始時期について

【HIV感染症治療の手引き:第17版より】
日和見感染症を合併している場合は、それに対する治療とARTのどちらを先に開始するかを、患者の状態によって決定する。合併症の経過が急性の場合、通常、合併症の治療を優先する。免疫再構築症候群等を恐れるあまり必要以上に治療開始を延期することのないよう、適切な抗HIV療法開始時期について、症例ごとに十分な検討を行うべきである。

【抗HIV治療ガイドライン2014年3月より】
ニューモシスチス肺炎やクリプトコッカス髄膜炎など重篤なエイズ指標疾患を合併する症例では、その治療を優先させる必要がある。抗HIV治療を開始を開始して細胞性免疫の回復が得られるまでに少なくとも1-2ヶ月を要する。その間に抗HIV治療の副作用が出現し、日和見感染症の治療の障害となるようでは本末転倒の結果となる。しかし、急性の日和見感染症合併例についてもできるだけ早期の治療開始が好ましいとする報告もあり、この点の判断は専門医の意見を参考にすることが望ましい。

Curr HIV/AIDS Rep. 2012 Sep;9(3):251-8. より

・PCP患者に対するARTの適切な開始時期に関するコンセンサスはほとんど存在しなかった
・また、初期のARTのレジメンでは忍容性や錠剤による負担が急性期患者への使用において制限される原因となっていた

・サンフランシスコのICUにおいてPCP患者58例を検討したところ、ARTを入院中に導入した方が死亡率の低下につながった。
AIDS.2003, 17:73-80

・ブラジルのICUに入院した278例(うち23%がPCP)の検討においても早期ART(入院後4日以内)によって死亡率が減少した。
Crit Care Med.2009;37:1605-11.

・AIDS clinical trial groupが施行した試験では、282例(63%がPCP)の日和見感染患者(結核を除く)を早期ARTと晩期ARTにランダムに分けて検討した。
早期ARTは日和見感染の治療後14日以内と定義し、晩期ARTは日和見感染終了後からと定義した。
結果としては、早期ART群(治療開始までの平均12日)の方が晩期ART群(治療開始までの平均45日)と比較し、有意にAIDSの進行やAIDSによる死亡を減少させた。
PLoS One. 2009;4(5):e5575.

・以上よりHIV-PCP患者には早期のARTが推奨される

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実際には患者背景や検査結果を考慮した上でART開始を検討することになるため、日本のガイドラインを含めARTの開始時期に関しての判断は難しいものだと感じました。
推奨度からすると、PCPに関しては、その他の日和見感染と比較し早期ARTの方がよさそうな印象です。
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by res81 | 2014-10-18 22:22 | 感染症 | Comments(0)