飯塚病院呼吸器内科のブログ
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カテゴリ:中皮腫( 1 )

臨床と病理の架け橋シリーズ③ 細胞診講習会 〜中皮腫の診断〜

こんにちは、スタッフ228号です。
前の記事でAj先生も書いてくれていますが、昨日細胞診の講習会に出てきました
まさに病理と臨床の架け橋ですね!笑


講習会では当院病理科の大屋先生から教訓的症例を提示いただき、続いて日本医科大学の前田先生から、中皮腫の病理診断についてご講演いただきました。ということで、中皮腫に関して少し。


中皮腫・・・・


その診断には悩まされることもしばしばあります。


胸水から反応性中皮が検出されている。中皮種の可能性も否定はできなさそう。確定診断には胸腔鏡下に全層生検が必要、でも患者さんの全身状態は悪くてその検査はちょっと敷居が高い・・思い切って中皮腫として治療介入してよい!?


原因不明の胸水。画像所見ではあまり目立った所見がなく、胸水検査でも診断に特異的な所見はなし。反応性中皮が少しありそう。そうこうしていると一時的に胸水が自然に減少。胸腔鏡検査で胸腔内の観察を行い、異常所見があれば生検も行いたいけれど、でも、自覚症状も乏しいし、患者さんもイタい検査は嫌がっている。経過観察とするか・・・


こんなとき、あと一押し「中皮腫」っぽい所見があれば〜なんて思うことがあります。


でも、細胞診だし、これ以上の情報収集は無理か・・・


いやいや、細胞診はそこで終わりじゃありません、あきらめたらそこで試合終了です!!たかが細胞診、されど細胞診!!


病理所見の所見用紙のコメント「反応性中皮過形成」を見て満足せずに、臨床の立場として、これを見たら、以下のふたつに関して、病理の先生に聞いてみましょう〜


① 免疫染色


② p16遺伝子の欠失(ホモ接合性欠失)


① これは、講習会でも大事だな〜と痛感したひとつのことです。細胞診で免疫染色、というのが、やや結びつきにくい印象ですが、そんなことはないんですね!細胞診でも、細胞転写法セルブロック法を行えば、免疫染色は当然できるんですね!なので、反応性中皮をみた場合に、臨床側から免疫染色について、その必要性を問うてみるのはありかと思います。同じ「反応性中皮」でも、これは反応性でいいでしょ、という場合もあれば、中皮腫かもしれないなぁという場合もあるからです。特に後者の場合は、ぜひ免疫染色をしてもらいましょう!「反応性中皮」という言葉の裏に隠れた微妙なニュアンスを聞いてみることが大事だと思います。臨床側のマナーとしては、セルブロックの作製をお願いするにあたっては、どんなに少なくとも最低100mlは必要ですので、胸水穿刺時に、原因がはっきりしなさそうで、セルブロックを作ったほうがよい可能性があるのであれば、100ml以上は検体を採取して提出しておくようにしましょう!


免疫染色に関しては、こちらもご参考に! 悪性胸膜中皮腫病理診断の手引き


② p16遺伝子は癌抑制遺伝子として知られており、その欠損のため、細胞増殖を抑える機能が失われ、細胞が増殖(癌化)してしまうわけですね。家族性メラノーマや弧発性の肺癌(非小細胞肺癌)、グリオーマ、メラノーマなどで変異が確認されているようです。なので、他の癌との鑑別には使えませんが(その鑑別には免疫染色を使う)、反応性中皮ではほとんど検出されないため、反応性中皮 vs 中皮腫細胞 の鑑別に特に有用なわけです細胞診の標本から、p16遺伝子の欠失をFISH法で確認すればいいんです!!


講演会では、実際に、臨床情報+細胞診(+免疫染色)+p16遺伝子欠失で早期診断し、外科切除を行うことができた症例を提示していただきました。現時点では、細胞診のみで確定診断を行い治療方針まで決めるということは現実的には難しいと思いますが、細胞診が早期診断の一助となる可能性は十分ありそうです。病理レポートで「反応性中皮」というコメントをみた場合に、病理の先生方とディスカッションして、免疫染色やp16 FISHを行うべきか、検討することを心がけたいと思います。


中皮腫とp16遺伝子欠失に関しては、呼吸 2014; 33: 754-61. に詳しくまとめてあります。


ちなみに、中皮腫では労災補償以外にも救済処置があり、その認定は組織診断を行っていないと難しいイメージがありましたが、最近では認定された症例の約10%近くは、細胞診のみで認定されているそうです。なので、胸水穿刺以上の精査が難しいような場合でも、細胞診で免疫染色(+p16遺伝子欠失)まで行い、あきらめずに申請してみるのもありだと思います。


ちなみにちなみに、可溶性メソテリン関連ペプチド Soluble Mesothelin-related peptide; SMRP の血清診断としての有用性が報告され、昨年2014年9月に保険収載されたことも記憶に新しいです。これもひとつですね!


ただ、(株)LSIメディエンスの方に聞いてみても、p16 FISHやSMRPの検査依頼は、あまりないようです。p16遺伝子欠失は予後に(p16遺伝子欠失がないほうが予後がよい)、SMRPも予後や治療反応性の指標になる可能性も示唆されているため(Int J Biol Markers. 2011; 26(3): 160-65. J Clin Oncol. 2010; 28(20): 3316-22.)、もう少し検査依頼があってもいい気がします。ぼくたち臨床医の頭のなかに、こういった検査に対する認知度がまだまだ低いのもあるのかもしれません。



ということで、今日のメッセージ!!


病理レポートで「反応性中皮」という単語を見つけたら、臨床情報も交えながら、免疫染色とp16 FISHに関して検討しましょう!





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by res81 | 2015-03-09 00:26 | 中皮腫 | Comments(0)