飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ7名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医6名(H28年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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カテゴリ:COPD( 9 )

慢性呼吸器疾患(主にCOPD)急性増悪の早期リハについて

おはようございます。
飯塚病院呼吸器内科後期研修医のOkです。
呼吸器内科所属ですが4月から他科を回らせていただいておりました。晴れて7月から呼吸器内科で診療をさせていたいております。よろしくお願いいたします^^

さて、今回は抄読会のためによませていただいた論文をお届けいたします。


BMJ 2014/3498 July2014

題名:慢性呼吸器疾患増悪に対する入院中の早期リハビリテーションによる介入は回復に寄与するか?

慢性呼吸器疾患(重にCOPD)の患者さまは急性増悪されて入院されることが多いと思います。イギリスでも緊急入院の大部分をしめており、医療費などもたくさんかかるため問題になっているようです。

早期のリハビリテーションを行うことで最初の入院12か月以内の再入院が減るかどうかを検討したものです。
以下論文の内容です。

Objective:慢性呼吸器疾患増悪患者に対して入院中の早期のリハビリーテーションによる介入がその後の12ヶ月間における再入院のリスクを減らし、身体機能と健康状態を改善するかどうかを検討する。

Design:前向き、無作為コントロール研究

Method:
イギリスの大学関連の総合病院や大学病院で行った。
慢性呼吸器疾患増悪で入院した45~93歳の389人の患者を対象に行った。患者たちは入院後の48時間以内に早期リハビリテーション群 196人と通常のケア群 193人に分けられた。
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通常ケア群(193人)
 排痰リハなど気道クリアランスの管理、禁煙指導、動き方指導、栄養指導など。

早期リハビリテーション群(196人)
 入院後48時間以内にリハビリ開始する群。6週間介入を受ける。
 通常ケアに加えて、有酸素運動や神経筋電気刺激トレーニングなど、自己管理方法も指導する。

Primary  outcomeを12ヶ月以内の再入院とし、Secondary outcomeを在院日数、死亡率、身体機能、健康状態とした。


Result:389人中320人(82人)がCOPDという診断を受けていた。
233人(60%)は1年以内に再度入院となった。(内訳は介入群が62%、58%がコントロール群)両群間には1年以内の再入院について有意な差は認めなかった。
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1年以内の死亡率については介入早期リハ群が通常ケア群に対して増加を認めた
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身体能力や健康状態については両群とも増悪を認めたが両群に有意な差は認めなかった。

Conclusion:慢性呼吸器疾患の患者で入院中に早期リハビリテーション介入を行うことは、その後12ヶ月目までの再入院のリスクを減らすこともなかった。
両群ともに身体能力・健康状態は12ヶ月目で改善はしていたが、早期リハを行うことが通常ケアのみとくらべて身体能力の改善や健康状態改善に対する効果は認めなかった。
そればかりか早期リハを行った群のほうが12ヶ月以内の死亡率を上昇させている。
現在行われている標準的な理学療法以上のリハビリや有酸素運動などのリハビリは行うべきではない。

との結論でした。

今回、論文中でおこなっている早期リハビリテーションはかなりハードな印象を受けます。
慢性呼吸器疾患増悪で入院されている方は、入院後48時間以内は急性期でかなり状態は悪く、体力的にもきつい状態だと思います。
そんな方々に有酸素運動などしたら呼吸状態が悪化するのでは?と思ってしまいます。
自分が風邪で寝込んでいるときに有酸素運動などできるとは正直思えません><

抄読会後に先生たちがいわれてていたのは、通常ケアを早期に開始する群とそうでない群とにわけて研究したほうがおもしろいとのことでした。
たしかにそちらのほうが現実的ですね・・・。
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by res81 | 2014-08-03 10:56 | COPD | Comments(0)

スタチンのCOPD急性増悪予防効果はなさそう STATCOPE study

スタッフのTBです。

スタチンはCOPDの急性増悪を減らす可能性があると言われていましたが、その可能性は薄そうです。


Simvastatin for the Prevention of Exacerbations in Moderate-to-Severe COPD (STATCOPE study)
N Engl J Med 2014; 370:2201-2210


BACKGROUND
・後方視的検討では、スタチンがCOPDの急性増悪の頻度・重症度・入院率・死亡率を低下させると報告されている。
・simvastatinにそのような効果があるか、前向きに検討した。

METHODS
・Prospective Randomized Placebo-Controlled Trial:
 simvastatin (40 mg/日) versus placebo
・45の施設で12-36ヶ月投与
・Primary outcome: 年間の急性増悪率
・Inclusion criteria:
 40 - 80 歳のCOPD (%FEV1<80%, FEV1/FVC<70%)で、
 喫煙歴(≧10 pack-years)がある
  +
 在宅酸素+ステロイドや抗菌薬を使用している, もしくは
 CODP増悪のため過去1年間にERを受診したことがある.
・Exclusion criteria
 既にスタチンを使用している症例 
 もしくはスタチンを使用した方が良い症例

RESULTS
・対象:885例、平均641日間観察、44%が女性
    平均62.2±8.4歳、喫煙歴 50.6±27.4 pack-years
    FEV1 41.6±17.7%、
・LDLコレステロールは治療群で低値
・急性増悪率は同等:
 simvastatin 1.36±1.61/人年 vs placebo 1.39±1.73/人年 (P = 0.54)
・初回増悪までの期間も同等:
 simvastatin 223日 vs placebo 231日 (P = 0.34)
・重篤でない副作用の頻度も同等:
 simvastatin 0.63/人年 vs placebo 0.62/人年
・全死亡も同等:
 simvastatin 28人 vs placebo 30人 (P = 0.89)

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CONCLUSIONS
・Simvastatin 40mg/日の投与は、COPDの急性増悪頻度を減少させない



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by res81 | 2014-06-24 13:34 | COPD | Comments(0)

COPDに対するFluticasone furoate/vilanterol trifenatate

こんにちは。 スタッフのTBです。 最近新しい吸入薬がどんどん出てきますので、勉強が追いつきません・・・
今月号のERJにも報告がありました。
レルベア®がCOPDに効くのか?というスタディ。
--------------------------------------------------------------------------------
A comparison of the efficacy and safety of once-daily fluticasone furoate/vilanterol with twice-daily fluticasone propionate/salmeterol in moderate to very severe COPD.
Eur Respir J 2014; 43: 763–772

Design
・randomised, multicentre (61 centres in Europe and Asia), double-blind,
 doubledummy, parallel-group, comparative efficacy/safety study.
・fluticasone furoate/vilanterol (FF/VI) vs  
 fluticasone propionate/salmeterol (FP/SAL)
・ITT解析
・協賛:GSK
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Results
<Efficacy>

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<Safety>
・On-treatment adverse events  
 最も多かったもの:頭痛と鼻咽頭炎
・Drug-related adverse event
  最も多かったもの:口腔カンジダ(FF/VIで2例, FP/SALで4例)
・中断の原因となったadverse events
 FP/SAL arm:中断3例…うち肺炎2例
 FF/VI arm:中断6例…うち心疾患3例 (Af 2例、うっ血性心不全1例)、肺炎1例
 *介入後のフォローアップ期間で1例死亡あり、心不全のためだが薬剤と無関係
 ⇒局所性のステロイドのadverse eventはFP/SALで多く、   
  心血管イベントはFF/VIで多かった

Conclusion
・中等症~重症のCOPDにおいて、1日1回のFF/VIと1日2回のFP/SALは有効性・安全性ともに有意差なし

--------------------------------------------------------------------------------

レルベア®は今後COPDの適応を当然狙っていると思いますし、あれば便利かもしれませんね。
FFはFPよりも高い抗炎症効果が期待できるので、より長期のstudyを見てみたいです。
LAMAを併用したスタディも・・・



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by res81 | 2014-03-15 16:17 | COPD | Comments(0)

ERS2013出席中 & 喫煙関連肺疾患について ・・・

久しぶりのアップになります。
肺病理修行中のスタッフ228です。
実は今、スペインはバルセロナにて、ERS(ヨーロッパの呼吸器学会)
開催されており、飯塚呼吸器からも3人(後期研修医の先生も含みます
が出席しています!!
どうやら無事に発表も終わったようで〜(拍手!!)
きっと後期研修医の先生たちも素敵な経験ができたことでしょう。
引き続き飯塚から、世界に発信していきたいですね〜
それにしても、バルセロナいいなぁ・・・

さてさて、今日は「喫煙関連肺疾患」についてです。
まず、喫煙が原因で起こる肺の病気には、どんなものがあるでしょうか?
ちょっと列挙してみます。
もちろんCOPDだけではありません。

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あえて、COPDとはせず、
形態を表す「肺気腫」や症状を表す「慢性気管支炎」という言葉を用いたのは、
それ以外の病態において、どの程度COPD(閉塞性障害)がからんでいるか
よく分かっていないからです。
(COPDの定義は、あくまで「閉塞性障害=1秒率が70%未満」というもの
なので、いろんな喫煙関連肺疾患で起こりうるわけです)

次に、実際の臨床現場(治療介入)を考えてみると

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臨床的に大事なポイント(治療に関わるところ)は、閉塞性障害があるか、
気道炎症がどの程度か、といったところかとは思いますが、
現在ぼくが肺病理勉強中ということもあり、
今回、喫煙が肺に及ぼす影響に関して、掘り下げてみることにした、
というわけです。
その病態に関してのキーワードは次の通りです。

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どこかで見たことがあるような図ですが、それはさておき、キーワードは3つ。
「気腫」、「炎症」そして「線維化」です。
これに違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
それもそのはず、「気腫」と「線維化」がかぶっていますから!
一般的には、気腫の定義では、線維化を伴っていてはいけないはず・・・!?
そういう風に思っている方も多いと思います。
が、ここで、改めて「肺気腫」の定義を振り返ってみると、
"abnormal, permanent enlargement of airspaces distal to the terminal bronchioles, accompanied by destruction of their walls and without
obvious gross fibrosis"
(1985年のNIHの定義より)
となっています。
あくまでobviousな(明らかな)grossな(あふれるほどの)線維化が、withoutなわけです。
ちょっとした線維化はオッケーなんですねぇ
実際、気腫と線維化が合併することは以前からも認識はされていたようですが、
基本的には別の病態として考えられていたようです。
近年になり、特に病理界では、気腫と線維化に着目するようになり
(画像界ではCPFEが提唱され)、さまざまな用語、概念が
提唱されるようになったようです。

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(Pathology International 2013; 63: 206–213より)

この図をみて分かるとおり、
これらの疾患は臨床的には、とても鑑別できそうもない・・・
もっと言うなら、病理学的にも困難なような・・・
オーバーラップしている部分も多いにあるような印象です。

ちなみに、ここで、喫煙による肺への影響がどのようなものか、
病理学的にみてみましょう。
「SRIF; Smoking Related Interstitial Fibrosis」を提唱している
Katzenstein先生のreviewから。
(J Clin Pathol Published Online First: /jclinpath-2012- 201338より )

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ちなみに、いわゆる肺気腫はこんな感じです。

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こういった病理学的特徴が挙げられており、
今後は、それらの病理所見と臨床所見、呼吸機能検査(COPDかどうか)、
胸部CT所見との検討が必要で、その上で疾患概念を整理することが理想です。

ただ、実際には、これらの喫煙関連肺疾患は、自覚症状が軽く、
急激に進行するわけでもないため、無治療経過観察も多く、
VATS(胸腔鏡補助下肺生検)を行う機会も少ないのが現状でもあります。
(実際、Katzenstein先生が「SRIF」を提唱した論文も、もともとは
 肺癌で切除した肺検体を利用し、その非癌病変を対象にしたものでした。
 Human Pathology (2010) 41, 316–325 )

さらに、喫煙関連といっても、一体どの程度を喫煙関連とするのか
(受動喫煙も含め)、明確な定義はありませんし、決めがたい、
という問題もあります。

簡単に「喫煙関連」と言っても、そもそもの定義付けから難しいんですねぇ
少しもやもやした感じが残りますが、
長くなってきましたので、そろそろ締めたいと思います。。。。

「喫煙関連肺疾患」・・・
いや、最後にきてなんですが、最後は「喫煙による肺への影響」という表現に留めます。
実は、喫煙というのは、
「病気というよりも、あくまで肺を悪くする要素のひとつにすぎない」
とする捉え方もあるからです。

ということで、

喫煙による肺への影響まとめ、そして今後・・・

☆キーワードは、気腫、炎症、線維化

☆病理学的には、気腫、隔壁の肥厚、肺胞内マクロファージ、平滑筋の増生
 ※ 病理学的に多数ある疾患概念を統一しようとする動きもあるようです。

☆今後は病理学的所見と臨床所見、検査所見(呼吸機能、CT)との比較検討が
 望ましいが、今後VATS症例を増やすことは現実的ではない
 ➡ むしろ、これらの病態ではVATSをしないでよいように、極力CTで病態を
  捉えられるように検討する動きもあるそうです。
 ➡ ですので、今後は、胸部CTで喫煙の影響っぽいパターン、ということが
  分かれば、あえてVATSまでは行わない、という時代になっていくかも
  しれません。

「喫煙関連肺疾患」の今後の動向に注目〜〜〜
 
 
  
 
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by res81 | 2013-09-11 01:40 | COPD | Comments(0)

COPDと肺気腫と慢性気管支炎と気管支拡張症と・・・その②

どうも、スタッフ228です。誕生日が〜・・・

さて、前回、ぼくは、「喫煙+咳嗽喀痰(あるいは呼吸困難)➡COPD」という風に、簡単にCOPDと診断して満足してしまう流れは、あまり好ましくないなぁと感じていて、気管支拡張症とか案外隠れていて、気管支拡張症にも何か原因があるんだよ、という認識が大切、みたいなことを記載しました。

が、これは、あくまで当院のような比較的大きな病院で働いている一呼吸器内科医の意見に過ぎないのかな、ということに最近気付きました。

地域の病院では、まだまだCOPDの認識が薄く、COPDと診断されずに、むしろ「慢性気管支炎」として、対症療法のみが施行されているような症例のほうが多いようです(吸入療法2:54-61, 2010)。つまり、きちんとCOPDの診断を受け、長時間作用型抗コリン薬やβ刺激薬といった気管支拡張薬を投与されていない方が多い現実があるようです。スパイロメトリーがさほど普及していない現状が背景にはあるようです。

なんとなくCOPDと診断されていることもあれば、むしろ逆にCOPDなのにその診断がついていないこともある・・・ということでした。

結論として、「喫煙+咳嗽喀痰or呼吸困難➡まず呼吸機能検査+レントゲンもしくはCT撮影」といったところでしょうか。

それでは、前回の続きです。
リウマチの気管支拡張症があり、慢性気管支炎がある、でもCOPDではなかった症例でした。

COPDとその周辺疾患に関して、改めて、いろいろ勉強してみると、いい図表がありました。
Murray and Nadel's Textbook of Respiratory Medicine , Fifth Edition
という教科書からです。

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このグリーンの部分が、COPDです。
COPDやら肺気腫やら慢性気管支炎やら、そういった言葉の概念を理解するのに素敵なイメージだと思いました。研修医の先生たちなんかに、伝えたいとこでもあります。

本症例はこの辺でしょうか(赤丸)。

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ぼくは、さらにここに、気管支拡張症(BE)も加えたいと思います。無理矢理ですが。

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今日は、このイメージを焼き付ける!!
ことにして、ちょいとここで一旦切ります。
まだまだこの流れを継続していく予定です。
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by res81 | 2013-07-02 22:36 | COPD | Comments(0)

COPDと肺気腫と慢性気管支炎と気管支拡張症と・・・

再びスタッフ228号です(誕生日が・・・)。

さて、そんなこんなで、重大イベントが終わりましたので、少し勉強もしていきたいと思っています。
今日のテーマは、最近感じていたこと。
巷では、COPDやら肺気腫やら慢性気管支炎やら気管支拡張症やら、そういった言葉たちが混在しており、きちんと概念が理解されていないような印象を受けるときがあります。治療にも支障をもたらしている、とまで言ったら大袈裟ですが、混在していて違和感を感じるときがあります。そんなこんなで、その辺を少しまとめてみたいと思いました。

ひとつのきっかけは、ある60歳代の女性。関節リウマチがあり、気管支拡張症、慢性気管支炎をわずらっています。リウマチによる気道病変で間違いなさそうです。今までも何度か、その急性増悪で入院しており、今回もまた急性増悪で入院となりました。さて、既往をみてみると、COPDの記載が。たしかに何十年も前に数年多少の喫煙歴があるようですが、少なくともCT 上は気腫や気管支の壁が肥厚している感じはありません。呼吸機能検査では、一秒率も低下していません。はて、COPDはいずこから・・・??ちなみに、救急の場では、COPD急性増悪の疑いで、ステロイドの全身投与が開始されました。続いて、処方されている薬をみてみると、長時間作用型β刺激薬吸入(気管支拡張薬)+吸入ステロイドの合剤が。もちろん、喘息の指摘はありません。。。。

では、確認していきます。

* COPD *
【原因】タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患。
【診断基準】
①気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率<70%
②他の気流閉塞をきたしうる疾患を除外すること(気管支喘息、びまん性汎細気管支炎、先天性副鼻腔気管支症候群、閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、間質性肺疾患など)。

きちんと診断しようと思ったら、②が必要になるため、画像検査は必須になります。
その鑑別が必要なのかと言われると、やや答えに苦しみますが、COPD は主に喫煙を契機とした全身性の炎症性疾患で、喘息は主にはアレルギー性のTh2気道炎症によるもの、びまん性汎細気管支炎、副鼻腔気管支症候群、気管支拡張症などは慢性気道感染症という観点からその機序がアプローチされていたり、つまり基本的には病態が異なるので(治療方針も多少変わるため)、やはり鑑別は必要と思います。気管支拡張症なんかは、リウマチなどの膠原病が潜在している可能性もあれば、非結核性抗酸菌症(NTM)がいる可能性もありますし。
ただ、治療という点で考えれば、いわゆる喫煙者のCOPDなのかどうか診断が確定していなくても、閉塞性換気障害を呈する場合は、気管支拡張薬の適用がありえます。

日常臨床で、たまに遭遇する誤解は、喫煙者で息が苦しければ、それだけでCOPDと診断されている点です。もちろんCOPDの基準を満たす方もいますし、喫煙していて息苦しい時点で基準は満たさなくともCOPDっぽいとは言えると思います。ただ、オーバートリアージになってしまい、安易に処方された抗コリン薬吸入で尿閉になってしまい、泌尿器科にかからなければならなくなった方をみたこともありますし、実はCOPD ではなくて他の疾患だったということもありますので、少なくとも専門家としては、こだわりたい点かなとは思います。

ちなみに、今回の症例では、1秒率が低下していませんので、定義上はCOPDではありません。もともと長時間作用型β刺激薬吸入+吸入ステロイドの合剤も処方されていましたが、呼吸機能検査上、有意な気道可逆性があるわけでもなく、気管支拡張薬の有効性もさほど期待できないように予想されます。

と、ここで、ひとつの疑問が。
気管支拡張症の方って、そもそもCOPDになるんでしょうか??

続きはこちら・・・
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by res81 | 2013-06-18 18:13 | COPD | Comments(0)

COPDの重症肺高血圧:ASPIRE registryより

スタッフTBです。

Journal watch中、ERJの最新号よりピックアップしました。

Pulmonary hypertension in COPD: results from the ASPIRE registry
Eur Respir J 2013; 41: 1292–1301


COPDには肺高血圧(PH)を合併しやすいのですが、大抵は軽症~中等症までで、重症例(平均肺動脈圧≧40mmHg)はCOPDの1%程度と言われ、"Out of proportion"とされています。
何せ症例が少ないため、その特徴があまりはっきりしておりませんでした。
ASPIRE registryとは、"Assessing the Spectrum of Pulmonary Hypertension Identified at a Referral Centre registry"の略で、英国の肺高血圧調査のためのregistryです。
今回は9年間のデータから、PHを合併したCOPDについて臨床的特徴をまとめてくれています。

Abstract
COPDにおける重症肺高血圧(PH)の表現型と予後については少数の検討しかなく、予後因子はわかっていない。ASPIRE registryより、PH合併COPD連続101症例のデータを抽出し検討。

 平均follow-up期間:2.3±1.9 years.
 重症PH・COPDは59例:定義は右心カテーテルで肺動脈圧≧40 mmHg
 特徴・・・拡散能が低い、気流制限は比較的軽度、
      CTでの気腫スコアは軽症~中等症肺高血圧COPDと同等
      1年生存率:70%(⇔軽症~中等症PH・COPD群では83%)
      3年生存率:33%(⇔軽症~中等症PH・COPD群では55%)
 予後不良の独立因子:混合静脈血SpO2、DLCO、
               肺高血圧のWHO機能分類クラス、年齢

               →気流制限の程度は、予後因子ではなかった!

 Compassionate(救済的な)treatmentは重症PH・COPD 43例で施行された
 ⇒生存率は改善しなかった
 ⇔治療反応性(機能的な改善または20%以上の肺血管抵抗の低下)があった8症例
   では、生存率が改善した

まとめ:
・標準的に用いられているCOPDの予後因子は、PH合併症例には適用できない。
 ⇒今回のスタディで、PH合併群の予後因子が分かった。
・予後不良ではあるが、治療法を検索する手がかりとなる。


実臨床上、なかなか右心カテーテルまで行っておりません。しかし、精査・治療をトライしてみる事も時には必要で、それがなければ医学は先には進みません。
はざまで悩む日々です。
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by res81 | 2013-06-07 18:54 | COPD | Comments(0)

GOLD2011の予後予測能 


スタッフのTBです。

昨日は「九州臨床画像解析研究会」に多数の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
個人的に大変刺激になり、早く論文を書きあげねば・・・とお尻に火が付きました。

でも、論文を書く前に、一本読んでみました。

2011年にCOPDの国際ガイドラインであるGOLDが改訂され、重症度評価・分類法が変更になりました。その検証論文です。デンマークから。

Prediction of the Clinical Course of Chronic Obstructive Pulmonary Disease, Using the New GOLD Classification: A Study of the General Population
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012; 186: 975-981.


<Rationale>
・GOLD 2011によるCOPDの新分類は、肺機能・症状・急性増悪の頻度の3つが評価軸となっている。
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<Objectives>
・新分類法によるCOPDの予後予測能を検討

<Methods>

・コペンハーゲンで行われたCOPDについての疫学調査:2つ、6628例

<Measurements and Main Results>

・平均追跡期間:4.3 years
・検討項目:急性増悪、入院、死亡
・分類に基づく予後;
 group A…最初の1年での急性増悪:2.2% 1年/3年死亡率:0.6%/3.8%
 group B…最初の1年での急性増悪:5.8% 1年/3年死亡率:3.0%/10.6%
 group C…最初の1年での急性増悪:25.1% 1年/3年死亡率:0.7%/8.2%
 group D…最初の1年での急性増悪:28.6% 1年/3年死亡率:3.4%/20.1%
Groups B/D(症状が強い群)では、心血管疾患と癌による死亡率がA/Bと比較し5-8倍だった
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  (本文より参照)

<Conclusions>
・GOLDの心分類は、急性増悪のリスクを上手く予測できる。
・驚いたことに、group Bの方がGoup Cより予後が悪かった!
・症状が強い群では心血管疾患と癌による死亡が多いため、そちらの精査・加療が重要だろう。


とても重要な結果だと思います。
COPDの三大死亡原因である、呼吸不全・心血管疾患・癌のリスクがこの分類で分かりそうです。

しかし北欧は疫学系が強いですね・・・
社会保険制度と密接に関連していると思われます。
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by res81 | 2012-11-23 11:35 | COPD | Comments(0)

COPD急性増悪後の自然史

久しぶりの更新です。
スタッフのTBです。

寒くなってきましたね。
COPDの急性増悪に注目した、かなり大規模なコホートが発表されました。
急性増悪の予防、増悪時の適切な治療が重要であることが示されています。


Long-term natural history of chronic obstructive pulmonary disease: severe exacerbations and mortality.
Thorax. 2012 Nov;67(11):957-63.

<Background>
・COPDにおいて、重症急性増悪後の自然史に関する大規模な調査はない

<Methods>
・急性増悪の初回入院をきっかけとするinception cohort(発端コホート研究)
・カナダ・ケベック州のhealthcare databasesを用いて検討
・inclusionの期間:1990~2005の15年間
 ⇒フォロー期間は2007/3/31まで
・フォローアップ期間のCOPDの入院、死亡率をカウント
 ⇒COPD増悪による入院回数と、全死亡率の関連を検討
・Hazard ratioは年齢、性別、合併症で調整

<Results>
・73,106例が対象:全てCOPDの急性増悪初回で入院後より
・50,580が17年間のフォロー中に死亡
・3.6年で50%が死亡
 7.7年で75%が死亡
・1回目と2回目の入院の間隔は、約5年(中央値)
 ⇒9回目と10回目の入院の間隔は4か月未満
・次に重症急性増悪を起こす危険性は、1回目の増悪と比較し、
 2回目で3倍に、10回目で24倍になる
・急性増悪の死亡率は、
 最初の1週間では40/10000/日、
 3か月後には5/10000/日

<Conclusions>
・COPDでは、2回急性増悪(重症)を起こすと、健康状態が急速に悪化する。
 急性増悪時には最初の1週間で高い死亡率を示す。
・COPDマネージメントの戦略として、
 ①2回目の増悪を減らす(遅らせる)こと、
 ②急性増悪時の早期死亡を減らすこと、
 の2つが重要。


これからの季節、私たちも気を付けて診療に当たりたいと思います~
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by res81 | 2012-11-07 18:47 | COPD | Comments(0)