飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医4名(H29年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
iizukakokyu@gmail.com までご連絡ください。

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カテゴリ:肺癌( 4 )

Pembrolizumab

ご無沙汰しております。

元スタッフのYです。

肺癌の新規治療薬であるPembrolizumab(pembro)について少し調べてみました。
pembroは抗PD-1抗体なので、nivolumab(オプジーボ)と作用する部位は同じ。
肺癌の一次治療を変えるすごい薬剤のようです。
おそらく二次治療から採用されると思われます。

まずはKEYNOTE010試験から
PD-L1の発現が1%以上の既治療NSCLCを対象に、DOCと比較
KEYNOTE-010
d0264356_12103823.jpg


Figure2AではTPS(PD-L1の発現)が50%以上の群ではさらに効果が高い
d0264356_12154263.jpg


nivolumabと同様に、EGFR遺伝子変異陽性の群には効果が乏しい可能性がある
アーカイブの検体でも新規の検体でも同様の効果を認めている
d0264356_12161312.jpg



結果をまとめるとこんな感じ
d0264356_12221099.jpg



次はKEYNOTE-024試験
PD-L1の発現が50%以上、EGFR/ALK:陰性の未治療NSCLCを対象にプラチナ併用療法と比較
d0264356_13282416.jpg


化学療法群でPD後にpembroへのクロスオーバーが認められており、66例(43.7%)がクロスオーバーしているにもかかわらずOSで差がついている。
d0264356_12284679.jpg



今後の見通し(私見)
・一次治療開始前にEGFR/ALKの検索に加えて、TPS=PD-L1(※Dako:22c3)の発現を検索する必要がある
・TPSが1-49%であれば二次治療でpembroを検討することが可能
・免疫チェックポイント阻害薬使用後の分子標的薬の使用に関しては不明な点が多く、その他のdriver mutationの検索を一次治療前に行う必要がでてくるかもしれない
・抗PD-L1抗体であるAtezolizumabもNSCLCの二次治療(all comer)で有効と報告されており、免疫チェックポイント阻害薬の使い分けも必要になるかもしれない
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by res81 | 2016-10-30 12:50 | 肺癌 | Comments(1)

肺癌とトルソー症候群(Trousseau's syndrome)

お疲れ様です。
スタッフのTBです。

クリスマスイブは当直のため病院で過ごしました(T_T)

その時間を活かして久しぶりに凝固系について勉強しなおしましたので、
内容を一部アップいたします。

肺癌とトルソー症候群(Trousseau's syndrome)

トルソー症候群(Trousseau's syndrome)とは?
Armand Trousseauが1865年に、胃癌に遊走性血栓性静脈炎が多く合併する事を報告
以後様々な定義がなされたが、現時点では"癌の発見に先行、もしくはそれと同時に認められる予想外の血栓症"とすべきと考えられている

肺癌での血栓症の頻度
・年間3%
・kras変異はEGFR変異と比較し、血栓症が多い傾向あり
・表在静脈血栓症のみ(狭義のトルソー症候群)の症例は、
 肺癌合併血栓症患者の10%未満
  Thrombosis Research 2014;133:48-51

・最初の半年に多く、年間3%、2年で3.4%
  Journal of Thrombosis and Haemostasis 2008;6:601-608

・深部静脈血栓症は13.6%
  Thorac Oncol. 2007;2:729-734

<病態と、ヘパリンの効き所>
 (Blood. 2007;110:1723-1729を参考にしました)
凝固系のおさらい
d0264356_189074.png

腫瘍による凝固系亢進の機序
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ヘパリンの効きどころ
d0264356_18114220.png

ヘパリンの作用点
①Xa因子阻害
②Thrombin阻害
③Heparin cofactor Ⅱの活性化
  Semin Thromb Hemost. 1992;18:341-346.
④L-/P-selectinとリガンドの結合阻害
  (癌由来mucin、生理的リガンド(PSGL-1など)) 
  J Clin Invest.1993;92:559-570.
  Haemostasis.1996;26(suppl 1):60-65.
  J Clin Invest. 1998;101:877-889. 
  Science.1993;261:480-483.
  Blood. 1993;82:3253-3258.
  J Biol Chem. 1995;270:12012-12024.

⑤Heparinにより、血管内皮からのTFPI分泌促進
  Semin Thromb Hemost.2001;27:503-511.
  Haemostasis. 2000;30(suppl 2):48-56.
  Thromb Res. 1998;89:263-270.
  Br J Haematol. 1998;101:638-646.
  Adv Exp Med Biol. 1992;313:199-204.
  J Thromb Thrombolysis.2003;15:11-18.
  Angew Chem Int Ed Engl. 2002;41:391-412.
  Curr Opin Struct Biol. 2001;11:623-628.
  Vasc Med. 2004;9:205-213.


<治療・予防>
ASCOの癌合併VTE治療・予防ガイドライン2013
 (J Clin Oncol 31:2189-2204)
【入院患者】
 • 未分画ヘパリン:5,000単位8 時間ごと皮下注
 • ダルテパリン(フラグミン®):1日5,000 単位皮下注
 • エノキサパリン(クレキサン®):1日40mg
 • フォンダパリヌクス(アリクストラ®):1日1 回2.5mg:FDA 未承認

【外科手術患者】
 • 未分画ヘパリン:術前2〜4 時間で5,000 単位,その後8 時間ごと
  または術前10〜12 時間で5,000 単位その後1 日1回5,000 単位
 (12 時間ごと投与は効果が減弱する)
 • ダルテパリン:術前2〜4 時間で2,500 単位,その後1日1回5,000 単位
  または,術前10〜12 時間で5,000 単位,その後1 日1回5,000 単位
 • エノキサパリン:術前2〜4 時間で20mg,その後1 日1回40mg
  または術前10〜12 時間で40mg 投与し,その後1日1回40mg
 • フォンダパリヌクス:術後6〜8 時間で2.5mg 1回投与。
 注:脊椎麻酔や硬膜外麻酔,硬膜外鎮痛,エピカテーテル抜去などの場合,
   1 日1 回の低分子ヘパリンは施行前10〜12 時間以内の投与は避ける。
   術後初回 の低分子ヘパリンは6〜8 時間後に投与する。
   カテーテル抜去後の最初の低分子 ヘパリンは2 時間以内に始めない。

【深部静脈血栓症の治療】
 初期治療
 • 未分画ヘパリン:80 U/kg IV bolus,その後18 U/kg/hr DIV
             aPTTで用量調整
 • ダルテパリン※:100 U/kg 12時間ごと,または200 U/kg 1日1 回
 • エノキサパリン※:1mg/kg 12時間ごと,または1.5mg/kg 24時間ごと
 • フォンダパリヌクス※:50kg 未満;5.0mg 1 日1 回,
                50〜100kg;7.5mg 1 日1 回,
                100kg 強;10mg1日1 回
 長期投与
 • ダルテパリン※:200 U/kg 1日1 回1カ月,その後150U/kg 1日1回
 • エノキサパリン※:1.5mg/kg 1日1回,
              または1mg/kg 12時間ごと1日2回
 • ワルファリン:PT-INR 2〜3に調整
 注:
 1.非経口抗凝固薬はワーファリンと少なくとも5〜7 日はオーバーラップさせ,
 2.PT-INRが治療域に2日間連続で入るまで投与を継続する
  未分画ヘパリンの投与速度はaPTT によって治療域に入るように調整する
 3.※のついた抗凝固薬は腎クリアランスに依存するため,
  CrCl ≦ 30ml/minでは,抗Xa 因子のレベルによって量を調節する
 4.ダルテパリンとエノキサパリンは120kg 以上の肥満には投与量は
   明確にわかっていない
 5.後ろ向きデータでは,エノキサパリンは1日1回より1日2回のほうが効果的
 6.治療期間の総計は臨床状況による


研修医の頃、実は血液内科に所属しておりましたので、凝固系の大家の先生から色々と教えて頂いた事を思い出しました。
突然のアルバイト命令も沢山仰せつかり、色々な意味で勉強させて頂きました・・・(遠い目)

Trousseau先生は、この報告の2年後(1867年)に自身の下肢に深部静脈血栓症を生じたことに気づき、自分の病態を察知して絶望した、という記録があるそうです。
実際、その後数か月で胃癌でお亡くなりになっています。
因果なものですね・・・
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by res81 | 2014-12-25 18:30 | 肺癌 | Comments(0)

臨床と病理の架け橋シリーズ① Micropapillaryの脅威

スタッフ228です
病理学の修行に出て、はや3ヶ月が経ちました
学問的な発見もさることながら、いろいろな方ともお会いでき、
刺激的な毎日です
少しアウトプットもしていこうと思い、新シリーズを立ち上げました!
「架け橋」なんてかっこいい言葉を使いましたが、
要は、ぼくが修行に出てきて学んだことで、へぇー(←古いっ)と思った
ことやちょっと感動したことなんかをアップしようかと思っています

さて、記念すべき1回目は、肺腺癌の話です

肺癌を担当される方であれば、ほとんどの方が知っていると思いますが、
2011年に腺癌(Adenocarcinoma)の分類が変わりました
d0264356_0235791.png

それまで一般的に使用していた「BAC」という言葉がなくなるんだ、
ということが知れ渡りましたが(実際には未だに昔のBACとか言いながら
使い続けていたりしますが)、実際に病理をみたことがないと、いまいち
ピンとこない方も多いのではないでしょうか?
早期の腺癌であれば、まず手術が第一だし(外科任せ)、逆に進行期の
腺癌では、遺伝子だったり化学療法の内容を考えることも多いため、
形態学的にどうのこうのは、そこまで意識しなくても日常臨床は行える
ことが多く、実際にぼくもいまいちピンときていませんでした

この分類についてもまとめたいなとは思っていましたが、今回は、
この中でも特にぜひ知っていただきたいMicropapillaryについて、
記載することとしました

Micropapillary、つまり微小乳頭です
腫瘍細胞が微小な乳頭状に増殖している様を表しているわけですが、
まずは普通のpapillary(乳頭状)から
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papillary、伝わるでしょうか?
図は自作です!
写真は論文から、無理矢理拡大したのでやや見づらい点、ご了承ください…

続いて、Micropapillaryどうぞ
d0264356_0384658.png

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やはり写真が見づらくて申し訳ありません
なんとなく違いが伝わるでしょうか?
Micropapillaryって、なんかパラパラ散らばりそうじゃないですか?


ここで、一例症例を提示します
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矢印のところに肺癌、肺腺癌が見つかりました

手術で左肺上葉が切除されました
病変部付近のCT、肉眼所見、組織検体(H-E染色)を提示します

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CTや肉眼写真も無理矢理拡大したので、ややぼけてます
部位も若干ズレていますが、ご了承ください…

さて、病変部の拡大像です!!
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これぞ、まさしくMicropapillary!!

問題はこの次です
腫瘍細胞に免疫染色で色をつけてみました
d0264356_046666.png


すると、、、、
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あれ?こんなところに腫瘍細胞が…

↓の青丸のところで見つかりました!!

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こ、こんなにも離れたところに!?

しかも、1カ所だけではありません!!
(さらには、別の標本からもちらほらと見られました、なんと!!)
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CTで見ても、まったく分かりませんっ!!
当然、術後に周辺肺を観察することで、判明したのです

なんといっても、Micropapillaryはパラパラしていますから、
どうやら非常に散らばりやすい
ようです

実際に、他の癌種では、すでにMicropapillaryは予後不良因子であることが
知られており、最近になり、肺癌でもそれが言われています
(先のクラス分類の論文にも明記してあります)
Micropapillaryの成分が含まれている場合は、もしかすると認識している以上
に散らばっているかもしれないわけで、ともするとそれが術後の再発のリスク
にもなりうるかもしれません
I期で完全切除が望める場合でも、実はMicropapillaryだと再発率が高かったり、
5生率も60-70%とする報告すらみられます

たちが悪いことに、術前には分かりませんので、どうしても病理評価が重要に
なります
Micropapillaryの成分が含まれる場合には、病理医はより慎重に周辺肺を評価
しなければなりませんし、臨床医も補助療法を考えるにあたって、頭に入れて
おくべき点のように思います

先の症例では、実際に外科の先生にも顕微鏡を覗いていただき、この散らばり
を見ていただきました
その上で、補助療法について検討いただきました

ということで、新シリーズ、記念すべき第1回、
ぼく自身もとてもびっくりしたMicropapillaryについてお話しました
臨床医としても、たとえ腺癌の分類がいまいちピンとこなくとも、
Micropapillaryの成分が多いときは要注意、ということをぜひぜひ
覚えておきましょう!!

それではー
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by res81 | 2013-11-09 01:25 | 肺癌 | Comments(0)

Pulmonary Perifissural Nodule

スタッフのTBです。

Radiology. 2012 Nov;265(2):611-6.から引用させて頂きますが、
d0264356_1085844.png

こういう結節って喫煙者やリウマチの方などで目立ちますよね。
肺内リンパ節(IPLN)や炎症後変化と診断して、「大丈夫ですよ~」と説明していることが個人的には多かったのですが、その証明をしてくれた論文です。

Pulmonary Perifissural Nodules on CT Scans: Rapid Growth Is Not a Predictor of Malignancy.
Radiology. 2012 Nov;265(2):611-6.


<Purpose>
・肺癌スクリーニングトライアルに参加している喫煙者において、葉間裂周囲の結節(PFN)について、頻度、自然史、癌の確率を検討する

<Materials and Methods>
・対象:
 ドイツ・ベルギー合同のCTによる肺癌スクリーニングトライアル(NELSON)に参加している2994例
 現喫煙者もしくは既喫煙者で、重喫煙歴がある
 年齢は50–74歳
・CT:
 1年後と3年後に再撮影
 必要に応じて追加撮影
・結節評価:
 最初の撮影時に検索
 結節の容積を自動計測
 均一でsolid+レンズ状もしくは三角形+葉間裂に接している結節=PFNと定義
 ⇒形状や葉間裂との関係により、下記に分類
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 良性の定義:「フォローアップ期間中に増大しない」
         もしくは、「呼吸器専門医が良性と判断したもの」
 PFNの頻度、増大、癌である確率について評価

<Results>
・baseline screeningで1729例に4026の結節が発見された
 ⇒うち、19.7% (794/4026)がPFNに分類
・PFNについて;
 平均サイズ:4.4 mm (range: 2.8–10.6 mm)
 平均容積:43 mm3 (range: 13–405 mm3)
 癌であった確率:0%
 増大率:初回~1年後までの期間で15.5% (123/794)が増大
 容積倍化時間:400日未満だった症例が8.3% (66/794)
 *1個だけPFNが切除された⇒肺内リンパ節であった

<Conclusion>
・PFNはスクリーニングCTでよく発見される
・増大する確率は比較的低く、増大の速度も遅いものが多いが、8.3%は癌のように増大する
・しかし、癌であったものは一例もなかった
・PFNを認識する事で、要フォローを減少させることができる

Atypical PFNでも悪性は0だったとのことでしたが、まだ一応注意してフォローした方が良い、とdisucussionにありました。

参考になりました。
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by res81 | 2012-11-10 10:38 | 肺癌 | Comments(0)