飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ7名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医6名(H28年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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カテゴリ:真菌症( 4 )

リウマチとMTXとPCPと淹れたてコーヒーと・・・

久しぶりの更新になります、スタッフ228です。
みんなががんばっているのをいいことに、ちょっと更新をサボりがちになっておりましたが、心に留めている書きたいネタはあるんです!なんか言い訳みたいですが・・・笑

前置きはさておき、今日はつい先日まで当科をローテーションしてくれて、ぼくの拙い指導のもと、昼夜を問わずがんばってくれた研修医のS先生が最終プレゼンをしてくれました。当科では、通年で2年目の研修医の先生がローテーションしてきてくれます。7〜8週間という、あっというまのローテーションではありますが、どの先生も一生懸命がんばってくれるので、ぼくたちもそれに応えようと必死です(笑)2年目の先生方のアツい気持ちは、自分たちに初心を思い出させてくれたり、今まで気付かなかったような疑問を投げかけてくれたり、とても刺激的でもあります。今日はそんな刺激をビシビシ与えてくれたS先生のプレゼン!
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テーマは、

リウマチとメトトレキサート(MTX)とニューモシスチス肺炎(PCP)

リウマチの治療としてMTX(と少量ステロイド)を使用していた患者さんに発症したPCPの症例を、実際にローテーション中に担当してもらったわけですが、症例の発表とともに症例から学んだこと、疑問とその考察をプレゼンしてくれました!

ということで、自分自身も今回 改めて、リウマチ、MTXに関連したPCPについて勉強し直したのですが、この分野、勉強しがいがありますね〜
おもしろい分野ですが、うーん、やっぱり免疫系はムズカシイと痛感します。
以下、つれづれなるままに書いていきます。。。


PCPは大きく二つに分類されます。HIVに関連したPCPとそうでないPCP(non-HIV PCP)です。HIV関連PCPは、当院でも年に1〜2例程度でしょうか、時折散見されますが、最近ではnon-HIV PCPが増えてきているように思います。

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(S先生プレゼンスライドより)

この図のように、Non-HIV PCPは、病原体自体はさほど多くないにも関わらず、重篤化することが知られており、それは、病原体に対して免疫が過剰に働きすぎてしまい、結果肺障害をよりひどいものにしてしまうから、と考えられています。ステロイド剤や免疫抑制剤がPCPのリスクに挙げられ、そういった薬剤を使用する自己免疫疾患(リウマチを含む) で、特にPCPの発症に注意が必要なわけです。


この文章、どこか矛盾を感じませんか・・・??


ステロイドや免疫抑制剤で免疫がおさえられているはずなのに、免疫が過剰に働いて肺障害をひどくしてしまう・・・


今回、S先生がプレゼンしてくれた症例は、実はMTXの副作用で血球が減少していました。リンパ球数自体は保たれていたのですが、好中球数が明らかに低かったのです(600/μL)。この状況下で肺炎になったわけですから、抗癌剤治療をしている立場の人間からすると、いわゆるFN(発熱性好中球減少症)に近い状態なわけで、ともすると広域抗菌薬を投与しながら、G-CSFを使用して好中球を増やしてもいいかな、と思ってしまいたくなるような状態。ただ、今回は病歴と画像所見から明らかにPCP(もしくはMTXによる肺障害)を疑う状況だったわけで、そこで思いました。このまま好中球が少ないままのほうが、過剰な免疫が誘発されにくく、軽くて済むのでは・・・


ST合剤とステロイドによる治療を行い、患者さんは無事に軽快しました。G-CSFなどは使用せず、血球も自然に回復していきました。


S先生が言いました。
「先生、non-HIV PCPって、もっと重篤で致死的かと思ってたんですが、なんか案外軽症でしたね」


ぼく「・・・・」


い、いや、なんか違う。non-HIV PCPは軽症と思って油断しては駄目なはず!今まで自分が経験してきたステロイドを契機としたPCPはとても重篤だったし、一般的にHIV PCPと比較して重篤と言われているじゃないか、油断しちゃ駄目だ〜


あれ、でも、たしかに本症例は、どちらかといえば軽症だ・・・??


MTXは、葉酸代謝を阻害し、核酸ならびにDNAの合成を阻害することで、DNAの複製、細胞増殖を抑制する薬剤です。免疫抑制剤というよりも、いわゆる抗癌剤により近いと考えられます。リウマチに対しては、免疫細胞を抑制し炎症をおさえることで効果を示すようですが、細かい機序ははっきりとは分かっていないようです。リウマチという複雑で特殊な免疫機構をもつ疾患に、このMTXを使用することで、抑制が優位な免疫系(PCPが発症しやすくなる)とあんまり抑制されない免疫系(むしろ病原体に対しては過剰に働きPCPを重篤化する)とが生じ、そのバランスによって、重症度が決まってくるのでしょうか・・・

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これは、あくまで自分の頭の中のイメージです。悪しからず。


ちなみに、リウマチでMTXを使用している方のなかでは、高齢の方のほうが、よりニューモシスチスの定着(colonization)がみられるようです。そして、その後、実際にPCPを発症する方もいるようです。


リウマチにMTXがどういう機序で働いているのか、PCPの発症機序、重症度がどうやって決まるのか、今後さらに解明されていくことに期待したいと思います。

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こちらはS先生が、最終プレゼンにあたって、ぼくたち聴衆のために、自ら準備したオススメのコーヒー豆を自ら挽いているところです。
おもてなし精神さすがです☆☆☆
さあ、また明日からもがんばりましょう〜





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by res81 | 2014-09-26 04:03 | 真菌症 | Comments(0)

肺クリプトコッカス症の診断

ひよっこ呼吸器内科医Snowです。
Immunocompetent patientのクリプトコッカス症例を経験したのでひと勉強してみました。

<Pulmonary crytococcosisの診断>
①組織学的にクリプトコッカス菌体が証明
②真菌培養でクリプトコッカスが培養
③クリプトコッカス抗原が陽性で肺クリプトコッカス症に矛盾しない胸部異常陰影が存在」

①、②であれば確定診断
③であれば臨床診断

となります。(深在性真菌症の診断・治療ガイドライン)
病理組織や培養で検体が採取できれば診断確定は納得できますが、抗原価や肺クリプトコッカスに矛盾しない胸部異常陰影とはどんなものか気になりますよね。

<画像について>
以前のブログで、末梢優位の結節影、右下葉に多いとのことでした。
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PulmonaryCryptococcosis* CHEST 2006, Feb;129:2

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Clinicalanalysis of 76 patients pathologicallydiagnosed with pulmonary cryptococcosisEurRespirJ 2012; 40: 1191–1200
⇒結論としては画像だけでは、区別はできませんが、cavitationを見たら免疫抑制患者と疑え!ということになりました。

<Cryptococcus neoformans抗原価について>

Cryptococcusneoformansの莢膜多糖類に対する特異抗体をラテックス粒子に感作した試薬で、血清や髄液中の莢膜多糖類抗原を逆受身ラテックス凝集反応によって検出する検査で、感度・特異度は比較的高いと考えられます。

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Pulmonary cryptococcosis(16例)の抗原価を検討した報告では、2倍以上を陽性とすると、12/16例(75%)で陽性、4/16例(25%)で陰性であり、陰性の症例は最大径が15㎜以下、多発小結節の症例であったようです。抗原価と重症度は相関する可能性が示唆されますが、治療により抗原価は低下しますが、低下スピードはさまざまであり、治療効果判定・治療終了の目安とはならないとされています。 

感染症誌79:656~663,2005

今回測定した抗原価が高いかどうかの目安としては、Guidelines for Management of Cryptococcosis.CID 2010では抗原価512倍以上Immunocompetent Patients with nonmeningeal, nonplumonary cryptococcosisでは中枢病変合併患者と同じ12カ月の治療期間を推奨しており、一つの目安とはなりそうです。


過去のクリプトコッカスに関するブログもどうぞ~
・クリプトコッカスの画像について
・クリプトコッカス髄膜炎について

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by res81 | 2014-05-20 23:58 | 真菌症 | Comments(0)

年末ですね・・・クリプトコックス髄膜炎のリスク

スタッフTKです。
少し滞ってましたブログ更新です。といっても、内容は、先々週の抄読会のネタからですが。
テーマはクリプトコックスです。

IDSAの2010年のガイドラインでは、その治療は、まず大きく4つに分類するところから始まります。
①HIV感染患者におけるクリプトコックス髄膜炎
②臓器移植患者におけるクリプトコックス髄膜炎
③臓器移植患者以外の非HIV感染患者における髄膜炎
④クリプトコックス髄膜炎以外のクリプトコックス症

この分類に応じて、具体的な治療方針が示されています。

さて、ここで自分の日常臨床を考えた場合に(臓器移植患者さんの担当はあまりないので、それを除くと)、クリプトコックスに遭遇した場合に問題となるのは、HIV感染がないか、髄膜炎を来たしていないか、という点になります。

まさに、つい先日この状況に遭遇したわけで、特に髄膜炎をどこまで疑って腰椎穿刺(ルンバール)を考えるべきか、だってルンバールって患者さんにとっては決して楽な検査じゃないですよね・・・という点で悩むことがあったのです。

ほぼ無症候性のクリプトコックス髄膜炎もあるようですし、無症状だからルンバールまでしなくてよい、というわけではなさそうです。
先のIDSAのガイドラインでは、中枢神経症状がなく、血清クリプトコックス抗原が陰性もしくは極めて低値の健常者は、腰椎穿刺は実施しなくてもよい、という見解のようです(エビデンス推奨度B:中等度、レベルII:RCTではないが、1個以上の臨床試験あり)。

当の患者さんはというと、、、、
他疾患でPSL内服中(最近は10mg/日で維持されている)、血清抗原陽性、ただ無症状で元気、という方でした。果たして、ルンバールは~~??
というところで行きついたのが、この論文です。臨床の疑問にのっとた素敵な研究だなぁと思いました。

Eur J Clin Microbiol Infect Dis (2008) 27:937–943

非HIV感染患者でクリプトコックス症を患った166名を対象としたレトロスペクティブなコホート研究です。診断後、12ヶ月フォローアップしているようです。
166名のうち、122名が肺病変のみの方(PD)、残りの44名が髄膜炎など播種病変をもつ方(DD)となっています。

さっそく結論からいくと、播種病変のリスクとして、多変量解析の結果からは、
●肝硬変
●PSL 20mg/day以上を60日間以上

が挙げられます。やはり、PSLはくせものです。

ほか、発熱(38.6度以上)、体重減少(3ヶ月で5%以上の減少)、頭痛、精神状態の変化、皮膚病変なども挙げられていますが、クリプトコックスを疑う患者さんで、こういう症状があれば、普通に考えてもルンバールはしておくべき所見かと思われますので、それはそうだよなぁという感じです。

加えて、血清抗原価陽性(1:64以上)も挙げられます。特に、播種症例では、抗原陰性が有意に少なかったようです。

また、画像的には、播種症例のほうが、胸水がたまっている症例が多い傾向にあったようです。

先日の抄読会でも実際に意見としてでましたが、「迷うようならルンバールすればいいじゃん」という意見もたしかにその通りなのですが、外来の合間に普段慣れない処置を行なうのはやや敷居が高く、また、出血傾向など患者さん側の問題で施行しづらい状況もあるため、なにか少しでも手がかりが分かればいいなぁとは思います。さすがにルンバール目的だけで、すぐ神経内科に送るのもどうかと思いますし・・・

さらに、もう一点、話題となったのが、抗原価の意味合いについてです。
ひとくちに抗原陽性といっても抗原価は異なるわけですが、日本ではクリプトコックス抗原検査は定量ではなく定性なので、具体的な抗原価は分からず、つまり陽性か陰性かしか分からないのです。
陰性ならいいのですが、陽性の場合は、果たしてどの程度の抗原価かは分からないため、抗原陽性で、でも無症状で元気な方は、、、、やはりルンバールするかは悩ましいです。

クリプトコックスも奥が深いです。

さて、そんなこんなで、2012年も終わりを迎えようとしています。
毎年思いますが、働きだして、本当に1年1年が早いです。こうやって歳をとっていくのでしょうね(笑)。
今年も、スタッフはもちろん患者さんとも、貴重な出会いと別れがありました。
また来年も楽しみです。みなさん、来年もどうぞよろしくお願いします。
あ、明日当直だ・・・(泣)
みなさん、よいお年を~
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by res81 | 2012-12-31 14:15 | 真菌症 | Comments(0)

肺クリプトコッカス76例のまとめ

スタッフのTBです。

中国・上海における肺クリプトコッカス症のまとめがありました。

Clinical analysis of 76 patients pathologically diagnosed with pulmonary cryptococcosis
Eur Respir J 2012 40:1106-1114


<Purpose>
・中国における肺クリプトコッカス症の臨床的特徴をまとめる

<Materials and Methods>
・対象
 2001-2010の間に、Shanghai Pulmonary Hospitalで病理学的に確定診断された76例
・方法
 retrospective review 

<Results>
・性別:男性54例・女性22例
・免疫状態:正常 41例(53.95%)、低下 35例(46.05%)
・症状:無症状 41例
・病歴:80%に真菌の暴露を示唆する病歴あり
・画像(CT):末梢優位(85.53%)
       結節が多い(55.26%)
       肺炎(浸潤影)がそれに次ぐ(23.68%)
       両者の混合が3番目(21.05%)
・診断:43.42%が最初は誤診された
    ⇒PET陽性者で癌と診断(28/46例)

・治療:51例が抗真菌薬治療を受け、25例は経過観察
    ⇒71例が治癒
     4例が改善(=奏効率98.68%)
    *HIV陽性患者1例が、クリプトコッカス髄膜炎のため死亡した

<Conclusions>
・中国でのクリプトコッカス症は、真菌曝露と関連している。
・多くの症例は無症状で末梢優位の肺病変。
・FDG-PETでuptakeがあると、肺癌と誤診されやすい。
・免疫正常者では、全例が改善した:fluconazole単剤でも経過観察でも!
 ⇒免疫正常者では、自然軽快する症例がある


病理学的に確定診断された症例のみ集積していますので、
癌と誤診された方が結構多くなってしまうのは致し方ないと思います。
自然軽快する症例も、「切除のみでよくなった」という事が多いのでしょう。

画像所見などは大変勉強になりました。
病変が両側に存在する症例は19%くらいで、片側のみ、特に右側のみが多かったようです。

興味のある方は是非本文を読んでみてください~~
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by res81 | 2012-11-13 17:41 | 真菌症 | Comments(0)