飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
お知らせ
福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ7名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医6名(H28年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
iizukakokyu@gmail.com までご連絡ください。

飯塚病院血液内科ブログ(←クリック)もお勧め!!
カテゴリ
全体
科の紹介
学会・研修会
身体所見
画像診断
気管支鏡
COPD
喘息
肺炎
抗酸菌
肺癌
間質性肺炎
咳嗽
胸水
胸膜癒着術
中皮腫
じん肺
真菌症
気管支拡張症
膠原病
病理学
感染症
アレルギー
肺高血圧症
写真部
Pearl
未分類
記事ランキング
検索
最新のコメント
横山様 コメントありが..
by res81 at 17:47
こんにちは。咳のことを検..
by 横山 at 13:50
Y先生、ありがとうござい..
by res81 at 17:31
K先生、お久しぶりです!..
by res81 at 14:19
いつも、ブログ更新を楽し..
by K at 03:21
吉村様 ブログを見..
by res81 at 20:11
K先生、ご無沙汰してます..
by res81 at 03:23
いつもブログを拝見させて..
by K at 16:27
はじめまして 現在この..
by 吉村 at 23:33
あ様、コメントありがとう..
by res81 at 06:35
タグ
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
外部リンク
ファン
ブログジャンル
画像一覧


カテゴリ:咳嗽( 2 )

咳嗽シリーズ① 咳嗽の機序

スタッフのTBです。

最近咳嗽について再勉強しましたので、実際的な所を少しずつアップしていきたいと思います。

とは言え、病的咳嗽がなぜ起こるのか?、を知らずしてその後の話はできませんので、本日は咳嗽の機序について軽くまとめます。

咳嗽とは
「気道内に貯留した分泌物や吸い込まれた異物を気道外に排除するための生体防御反応」

・・・当たり前と言えば当たり前、ですね。

では、咳が起こる機序を図示します。
Lancet 2008; 371: 1364–74より。
d0264356_417371.png

咳を起こす発端となる神経受容体は、迷走神経の終末枝です。図のの部位に分布しています。咽頭や喉頭では「上喉頭神経」と名付けられていますが、これも迷走神経の分枝です。
(以下追記 20150609)
   ↓
ここに加わった刺激は電気信号に変換されて、延髄孤束核の咳受容体に届けられます(図の点線部分)。また、大脳皮質にも信号が届けられ、相互作用が起こり遠心性に喉頭筋や呼吸筋に刺激が伝達され(図の実線部分)、咳嗽が生じます
ここでポイントですが、迷走神経の刺激がなくても、大脳皮質自体は咳中枢に刺激を送ることができるため、咳を起こすことができます。習慣性咳嗽(くせになっている)、心因性咳嗽(緊張すると咳が出る)などの原因はこれです。

次に、気管支のミクロ解剖と、咳を起こす経路を図示します。
またLancet 2008; 371: 1364–74より。
d0264356_4162935.png


微妙に経路が異なりますが、最終的には迷走神経が刺激されて咳嗽が起こります。
咳受容体として、以下の2つが想定されています;
 A. Aδ線維(迷走神経)の終末受容体(rapidly adapting receptors: RARs)
   ・機械的な刺激に直接反応
 B. 無髄神経線維C線維の神経終末
   ・炎症時に放出されるメディエーターや粘液がC線維終末を刺激
     →タキキニン・カルシトニン-gene関連ペプチドを分泌(特にサブスタンスPがメイン)
       =軸索反射
     →RARsが刺激される
             (THE LUNG perspectives 2013;21:329-333)
     (追記終わり)

病的咳嗽の機序を以下にざっとまとめます。
A. 気道壁表層(粘膜)を刺激する病態
①刺激亢進:生理的反射・・・異物、ガス、過剰分泌などが原因
②炎症によるもの:非特異的な機序
 →炎症により無髄神経線維(C線維)がタキキニン・カルシトニン-gene関連ペプチドを分泌(軸索反射)
  (特にサブスタンスPがメイン)
 →咳受容体(Aδ、迷走神経)が刺激される
 →延髄の咳中枢へ


 この範囲は正常の反応と言えると思います。

B. 咳受容体の感受性亢進
気道表層の神経であるC線維もしくはAδ線維が過敏になった状態を言います。 
*咳受容体感受性亢進と気道過敏性(=喘息)とは、意味が異なりますのでご注意を。

(20150609追記)
C線維の活性化によるAδ線維受容体の刺激が、咳受容体の感受性亢進機序の大きな役割を担っていると言われています。

[C線維の活性化の機序による分類]
(C線維に存在するトランスポーターや受容体を介した刺激経路で分類しています)
●transient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)の活性化を介する
 ・アナンダミドトランスポーター:NOによる活性化
  気道炎症=アトピー咳嗽、喉頭アレルギー、GERDなど
 ・EP2,FP受容体:COX2→プロスタノイドによる活性化
  気道炎症=アトピー咳嗽、咳喘息、喉頭アレルギーなど
 ・ブラジキニンB2受容体:ブラジキニンによる活性化
  ACE阻害薬、GERDなど
●TRPV1の活性化を介さない
 ・TTX抵抗性Naチャネル
  多くの慢性咳嗽に関与
 ・TRPA1:タバコ煙、排気ガスなどで活性化
  GERD以外の多くの慢性咳嗽に関与
 ・ASCIs:プロトンにより活性化
  GERD
      (THE LUNG perspectives 2013;21:329-333)
*Aδ線維はATP受容体を介して直接刺激されることも報告されており、
  アトピー咳嗽などで重要な経路とも考えられています
  (日薬理誌 2008;131:429-433)

 (追記終わり)
①炎症(アレルギー性?):アトピー咳嗽、非喘息性好酸球性気管支炎
②下部食道の迷走神経刺激→咳受容体感受性亢進:GERD
③ACE阻害薬によるサブスタンスPの増加
④その他に、後鼻漏による咳嗽、喉頭アレルギー、
        かぜ症候群後持続性咳嗽(いわゆる感染後咳嗽)、
        などでも咳受容体感受性亢進の報告あり

C. 気道平滑筋の収縮
①平滑筋収縮による平滑筋内の知覚神経刺激:喘息、咳喘息
*咳受容体感受性の亢進は無いか、軽度と言われています

D. その他の迷走神経を刺激する病態
①下部食道の迷走神経刺激:GERD
②耳への刺激:耳にも迷走神経が分布!耳かきで咳が出ることがあります。

E. その他
①大脳皮質による咳中枢刺激:心因性、習慣性


ややこしかったでしょうか?
次回以降は、実際的な咳の臨床についてまとめていきます~
[PR]
by res81 | 2013-07-05 05:36 | 咳嗽 | Comments(4)

慢性咳嗽へのgabapentinと、地方会とウフィーチ会(&ラーメン)

スタッフのTBです。

最近のLancetに、難治性慢性咳嗽に対してgabapentinの効果を検討した初めての報告がありました。

Gabapentin for refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Lancet 2012;380:1583–89


<Background>

・難治性慢性咳嗽は症状が強く、QOLを落とす。
・難治性慢性咳嗽における中枢性感作(侵害刺激によりニューロンが過敏化し通常より強く反応する)と神経障害性疼痛の病態は類似していると考えられ、gabapentinのような薬剤の効果が予想される。

<Methods>

・スタイル:randomised, double-blind, placebo-controlled trial
・対象:
 外来患者(in Australia)
 8週以上持続する難治性慢性咳嗽
 他に活動性呼吸器疾患が無い
・無作為に2群へ:
 *Block randomisation(一定人数ごとのブロックを作り、その中で無作為に割り付ける方法)、性別で層別化
 ①gabapentin (maximum tolerable daily dose of 1800 mg)
 ②placebo
 ⇒10週間投与
・Primary endpoint:
 咳関連QOLの変化(Leicester cough questionnaire [LCQ] score)
 ⇒ベースライン~治療8週後までで比較(ITT解析)

<Findings>
・対象は62例:gabepentin (n=32) or placebo (n=30)
         *10例が途中離脱した
・LCQ scoreは、Gabapentin群で優位に良好
 LCQ scoreの差;Gabapentin–placebo=1.80
            (95%CI 0.56–3.04; p=0.004)
 Number needed to treat (NNT)=3.58
・副作用
 Gabapentin群で10例(31%)…嘔気と倦怠感が主
 Placebo群で3例(10%)

<Interpretation>
・難治性慢性咳嗽に対しGabapentinは有効で忍容性あり。
・Gabapentinが効くことから、やはり中枢性感作が大きく関与している可能性が高い。


慢性咳嗽に対して、鎮咳薬は既存の物ばかり使用し、後は気道の炎症をおさる事に考えをめぐらしておりました。
確かに、中枢性感作が病態に関連していても全く不思議はないですよね。
この発想が出ない自分が情けない…と思ってしまいました。

勉強になりました。


さて、昨日・本日と、呼吸器学会九州地方会が行われております。
昨日は当科の若手医師4人が発表してくれました。
全員立派に発表されたとのこと。お疲れ様でした!

そして、伝統の夜の勉強会「ウフィーチ会」で、当科から司会とプレゼンを1名ずつ努めさせて頂きました。大幅に時間を超過してしまいましたが、実に温かくも活発な討論で、大変楽しく勉強させて頂きました。

最後に当科の(当院の?)大ボスから若手にラーメンを奢って頂き、非常に充実した1日でした~~
[PR]
by res81 | 2012-11-17 10:41 | 咳嗽 | Comments(0)