飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医4名(H29年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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年末ですね・・・クリプトコックス髄膜炎のリスク

スタッフTKです。
少し滞ってましたブログ更新です。といっても、内容は、先々週の抄読会のネタからですが。
テーマはクリプトコックスです。

IDSAの2010年のガイドラインでは、その治療は、まず大きく4つに分類するところから始まります。
①HIV感染患者におけるクリプトコックス髄膜炎
②臓器移植患者におけるクリプトコックス髄膜炎
③臓器移植患者以外の非HIV感染患者における髄膜炎
④クリプトコックス髄膜炎以外のクリプトコックス症

この分類に応じて、具体的な治療方針が示されています。

さて、ここで自分の日常臨床を考えた場合に(臓器移植患者さんの担当はあまりないので、それを除くと)、クリプトコックスに遭遇した場合に問題となるのは、HIV感染がないか、髄膜炎を来たしていないか、という点になります。

まさに、つい先日この状況に遭遇したわけで、特に髄膜炎をどこまで疑って腰椎穿刺(ルンバール)を考えるべきか、だってルンバールって患者さんにとっては決して楽な検査じゃないですよね・・・という点で悩むことがあったのです。

ほぼ無症候性のクリプトコックス髄膜炎もあるようですし、無症状だからルンバールまでしなくてよい、というわけではなさそうです。
先のIDSAのガイドラインでは、中枢神経症状がなく、血清クリプトコックス抗原が陰性もしくは極めて低値の健常者は、腰椎穿刺は実施しなくてもよい、という見解のようです(エビデンス推奨度B:中等度、レベルII:RCTではないが、1個以上の臨床試験あり)。

当の患者さんはというと、、、、
他疾患でPSL内服中(最近は10mg/日で維持されている)、血清抗原陽性、ただ無症状で元気、という方でした。果たして、ルンバールは~~??
というところで行きついたのが、この論文です。臨床の疑問にのっとた素敵な研究だなぁと思いました。

Eur J Clin Microbiol Infect Dis (2008) 27:937–943

非HIV感染患者でクリプトコックス症を患った166名を対象としたレトロスペクティブなコホート研究です。診断後、12ヶ月フォローアップしているようです。
166名のうち、122名が肺病変のみの方(PD)、残りの44名が髄膜炎など播種病変をもつ方(DD)となっています。

さっそく結論からいくと、播種病変のリスクとして、多変量解析の結果からは、
●肝硬変
●PSL 20mg/day以上を60日間以上

が挙げられます。やはり、PSLはくせものです。

ほか、発熱(38.6度以上)、体重減少(3ヶ月で5%以上の減少)、頭痛、精神状態の変化、皮膚病変なども挙げられていますが、クリプトコックスを疑う患者さんで、こういう症状があれば、普通に考えてもルンバールはしておくべき所見かと思われますので、それはそうだよなぁという感じです。

加えて、血清抗原価陽性(1:64以上)も挙げられます。特に、播種症例では、抗原陰性が有意に少なかったようです。

また、画像的には、播種症例のほうが、胸水がたまっている症例が多い傾向にあったようです。

先日の抄読会でも実際に意見としてでましたが、「迷うようならルンバールすればいいじゃん」という意見もたしかにその通りなのですが、外来の合間に普段慣れない処置を行なうのはやや敷居が高く、また、出血傾向など患者さん側の問題で施行しづらい状況もあるため、なにか少しでも手がかりが分かればいいなぁとは思います。さすがにルンバール目的だけで、すぐ神経内科に送るのもどうかと思いますし・・・

さらに、もう一点、話題となったのが、抗原価の意味合いについてです。
ひとくちに抗原陽性といっても抗原価は異なるわけですが、日本ではクリプトコックス抗原検査は定量ではなく定性なので、具体的な抗原価は分からず、つまり陽性か陰性かしか分からないのです。
陰性ならいいのですが、陽性の場合は、果たしてどの程度の抗原価かは分からないため、抗原陽性で、でも無症状で元気な方は、、、、やはりルンバールするかは悩ましいです。

クリプトコックスも奥が深いです。

さて、そんなこんなで、2012年も終わりを迎えようとしています。
毎年思いますが、働きだして、本当に1年1年が早いです。こうやって歳をとっていくのでしょうね(笑)。
今年も、スタッフはもちろん患者さんとも、貴重な出会いと別れがありました。
また来年も楽しみです。みなさん、来年もどうぞよろしくお願いします。
あ、明日当直だ・・・(泣)
みなさん、よいお年を~
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by res81 | 2012-12-31 14:15 | 真菌症 | Comments(0)

慢性過敏性肺炎

スタッフのTBです。

昨日は午後から大阪びまん性肺疾患フォーラムに参加させて頂きました。
日帰りの強行軍でしたが、大変勉強になりました。
講演内容に沿って、重要と思われた論文を列挙いたします。

慢性過敏性肺炎について

<分類について>
・急性と慢性でよさそう Int Arch Allergy Immunol 2009;149:161

<慢性について>
・再燃症状軽減型(recurrent)と潜在性発症型(insidious)の違い…Ann Allergy Asthma Immunol. 2003;90:604

・Review…Am J Respir Crit Care Med. 2012;186:314

・画像所見…Radiology 1992;185:91
        AJR 1992;159:957
        AJR 1995;165:807
        Ann Allergy Asthma Immunol 2003;9:37
        JCAT 2011;35:272(縦断的検討)

・病理所見…Thorax 2005;60:665
        Am J Surg Pathol 2006;30:201
        Curr Opin Pulm Med 2008;14:440
        Chest. 2008;134:126
        Am J Surg Pathol 2009;33:12
        Am J Surg Pathol 2009;131:465
        Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2010;27:57
        Respir Med. 2011;105:608
        Respiration 2011;82:263
        Histopathol 2012;43:660
        Histopathol 2012;61:1026
        United States and Canadian Academy of Pathology2012
         でのOhtaniらのCriteria
        Respirology. 2012 doi: 10.1111/resp.12006.
         [Epub ahead of print]

・特異抗体の測り方…日呼吸会誌 2011;49:717(イムノキャップ法)

・吸入誘発試験…Chest 2008;118:1382

・原因抗原について…J Allergy Clin Immunol 1999;103:315
          びまん性肺疾患に関する調査研究 2011;57

・慢性夏型とIPF:CHPでは抗原回避が重要…Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2007;24:141

・羽毛布団について…AJRCCM 1986;134:131
             Med Sci Monit 2003;9:CS37
             Ann Allergy Asthma Immunol 2006;96:98
             Int Arch Allergy Immunol 2010;152:264

・環境中の鳥抗原の検査法…Allergology International 2010;59:223

・予後…JCAT 2011;35:272(蜂巣肺があると予後不良)
     Am J Med 2005;116:662(病理で線維化があると予後不良) 
     Respir Med 2001;105:608(病理でUIPだと予後不良)

・急性増悪…Chest 2008;134:1265(原因は抗原曝露が最多、他にはステロイド減量など)

☆IPFやf-NSIPとの鑑別?
 2週間ほど一旦入院し経過を見る!
  ⇒WBCやKL-6が低下するようなら本気モードで調べる。A-aDO2も改善あり。
 WBC、KL-6、A-aDO2の3項目中、2項目以上陽性で感度51%・特異度78%
   CT画像はあまり変化がない
 病理で指摘されることが多いが、確定診断が難しい
  ⇒臨床経過(変動性)を重視すべき
   KL-6の季節性変動
   環境を変えてみてもらっての変化 など
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by res81 | 2012-12-09 08:28 | 間質性肺炎 | Comments(0)