飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医4名(H29年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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<   2013年 06月 ( 5 )   > この月の画像一覧

Hamman's sign

スタッフのTBです。

知識の整理のため、Hamman's signについて軽くまとめてみました。

----------------------------------------------------------------------
Hamman's signとは、心収縮中期(心音の I 音,II 音の間)にクリック音が聴取され、
縦隔気腫や左気胸で聴取される所見
です。

この雑音は、"crunching" "bubbling" "popping" "crackling"
"clicking" "popping"、などと表現されています。
かなり特徴的な雑音で、私自身も"ペコペコ"サインと命名していました。
一回聞くと忘れることはありません。
特に左気胸の患者さんに左側臥位になってもらうと、よく聞こえます。
この音は患者さん自身が最もよく聞こえており、問診上も有用です。
「横になるとポコポコします?」なんて感じで問診しています。

Louis Hammanが1937年に初めて著しました。
  (Tr Assoc Am Physicians 1937; 52:31 1-19)

最初は縦隔気腫の所見であると報告され、その後気胸でも聴取されると報告されました。
  (Ann Intern Med 1939; 13:923-27, JAMA 1945; 128:1-6)

Hammanは、
「縦隔の空気が心臓に接する位置に溜まると、心拍動によりこの音が発生する」
と説明しました。
しかし、Hamman自身がまとめた7症例のうち、
Xpで縦隔気腫が確認されたのは2例のみで、
残りは2例が左気胸、3例は気胸も縦隔気腫もなし
、でした。
それでええんかい・・・?

そして、左気胸でこの音が聞こえる、との報告が相次ぎます。
  (Dis Chest 1969; 56:31-36、Lancet 1939; 2:1208-11、
   Am J Med 1955; 18:547-56、Dis Chest 1957; 32:421-34、
   Br Med J 1961;1:1342-46、"Fraser"にも記載あり)
これらの気胸のほとんどが軽症で、診断自体も苦慮するくらいだったそうです。
Lancet 1939; 2:1208-11には、人工的に左胸腔に25ml空気を入れると雑音がした
と記載されています(スゴイ)。

おそらく、心臓に接する部分にある程度までの量の空気(多すぎてはダメ)があると、
心拍動により音が生じる
のだろうと思われます。
  (Chest 1992; 102:1281-82)
d0264356_6431191.png

Chest 1992; 102:1281-82より。軽症左気胸でHamman's signを聴取した症例。

ちなみに、気胸全体では、1%以下で肺雑音があると報告されています。
聴こえる音のほとんどはHamman's signなのでしょうね。
  (Boston:Little, Brown and Co. 1968:160-61)
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by res81 | 2013-06-20 06:49 | 身体所見 | Comments(0)

COPDと肺気腫と慢性気管支炎と気管支拡張症と・・・

再びスタッフ228号です(誕生日が・・・)。

さて、そんなこんなで、重大イベントが終わりましたので、少し勉強もしていきたいと思っています。
今日のテーマは、最近感じていたこと。
巷では、COPDやら肺気腫やら慢性気管支炎やら気管支拡張症やら、そういった言葉たちが混在しており、きちんと概念が理解されていないような印象を受けるときがあります。治療にも支障をもたらしている、とまで言ったら大袈裟ですが、混在していて違和感を感じるときがあります。そんなこんなで、その辺を少しまとめてみたいと思いました。

ひとつのきっかけは、ある60歳代の女性。関節リウマチがあり、気管支拡張症、慢性気管支炎をわずらっています。リウマチによる気道病変で間違いなさそうです。今までも何度か、その急性増悪で入院しており、今回もまた急性増悪で入院となりました。さて、既往をみてみると、COPDの記載が。たしかに何十年も前に数年多少の喫煙歴があるようですが、少なくともCT 上は気腫や気管支の壁が肥厚している感じはありません。呼吸機能検査では、一秒率も低下していません。はて、COPDはいずこから・・・??ちなみに、救急の場では、COPD急性増悪の疑いで、ステロイドの全身投与が開始されました。続いて、処方されている薬をみてみると、長時間作用型β刺激薬吸入(気管支拡張薬)+吸入ステロイドの合剤が。もちろん、喘息の指摘はありません。。。。

では、確認していきます。

* COPD *
【原因】タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患。
【診断基準】
①気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率<70%
②他の気流閉塞をきたしうる疾患を除外すること(気管支喘息、びまん性汎細気管支炎、先天性副鼻腔気管支症候群、閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、間質性肺疾患など)。

きちんと診断しようと思ったら、②が必要になるため、画像検査は必須になります。
その鑑別が必要なのかと言われると、やや答えに苦しみますが、COPD は主に喫煙を契機とした全身性の炎症性疾患で、喘息は主にはアレルギー性のTh2気道炎症によるもの、びまん性汎細気管支炎、副鼻腔気管支症候群、気管支拡張症などは慢性気道感染症という観点からその機序がアプローチされていたり、つまり基本的には病態が異なるので(治療方針も多少変わるため)、やはり鑑別は必要と思います。気管支拡張症なんかは、リウマチなどの膠原病が潜在している可能性もあれば、非結核性抗酸菌症(NTM)がいる可能性もありますし。
ただ、治療という点で考えれば、いわゆる喫煙者のCOPDなのかどうか診断が確定していなくても、閉塞性換気障害を呈する場合は、気管支拡張薬の適用がありえます。

日常臨床で、たまに遭遇する誤解は、喫煙者で息が苦しければ、それだけでCOPDと診断されている点です。もちろんCOPDの基準を満たす方もいますし、喫煙していて息苦しい時点で基準は満たさなくともCOPDっぽいとは言えると思います。ただ、オーバートリアージになってしまい、安易に処方された抗コリン薬吸入で尿閉になってしまい、泌尿器科にかからなければならなくなった方をみたこともありますし、実はCOPD ではなくて他の疾患だったということもありますので、少なくとも専門家としては、こだわりたい点かなとは思います。

ちなみに、今回の症例では、1秒率が低下していませんので、定義上はCOPDではありません。もともと長時間作用型β刺激薬吸入+吸入ステロイドの合剤も処方されていましたが、呼吸機能検査上、有意な気道可逆性があるわけでもなく、気管支拡張薬の有効性もさほど期待できないように予想されます。

と、ここで、ひとつの疑問が。
気管支拡張症の方って、そもそもCOPDになるんでしょうか??

続きはこちら・・・
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by res81 | 2013-06-18 18:13 | COPD | Comments(0)

祝☆ご結婚!!

スタッフ228です(誕生日が2月28・・・)。
つい先日、ここ最近で最も重大なイベントがありました。
某後期研修医先生の結婚式であります!!
証拠写真を載せておきますが、おそらくこの写真からは、誰の結婚式なのかよく分からなくなっているかと思われます(笑)
本物の新婦もおりませんし、真ん中の二人の結婚式でもありませんので、あしからず・・・(笑)

d0264356_17595480.jpg


二次会は、呼吸器内科ほぼ総出で、盛り上げ役に徹しました!!
けっこう好評だったと思ってるんですけどね〜
きっと、主役の二人はもちろん、参加された方々も楽しんでくれたはず・・・と信じたいです。
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by res81 | 2013-06-18 18:01 | 科の紹介 | Comments(0)

特発性肺線維症の予後因子としてのRDW

スタッフのTBです。

またJournal Watchネタです。
CHEST最新号より、血算の際に計算されるRDWがIPFの予後予測因子である、という論文です。

RDWとは"red cell distribution"の略で、以下の式で求められます;
RDW=(MCVのSD)÷(MCVの平均)×100(%)
貧血の原因の鑑別に役立つと言われていますが(シスメックス社HPをリンクします)、いくつかの疾患の予後因子とも報告されています。
 心不全(J Card Fail 2010;16:230-238、Circulation 2008;117:163-168)
 肺高血圧(Heart 2011;97:1054-1060)
 general populationでも予後因子だったという報告
       (Arch Intern Med 2009;169:588-594)

何故か?理由はよく分かってはいないのですが、炎症により造血・赤血球寿命・赤血球膜異常に影響すると考えられています。(Crit Care Med 2011;39:1913-1921, Arch Pathol Lab Med 2009;133:628-632)

さて、今回は特発性肺線維症(IPF)で、RDWが予後予測因子となるかどうかが検討されました。

The Red Cell Distribution Width as a Prognostic Indicator in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST 2013; 143(6):1692–1698


Background
IPFのclinicl courseは様々。
red cell distribution width (RDW)はCBC検査の際に必ず計算される値。
これが予後因子となるか、IPFのコホートで検証した。

Methods

対象:January 1997~June 2011の期間にInova Advanced Lung Disease clinicでIPFと診断された症例 
検討内容:CBCs, demographics, pulmonary function data, 予後

Results

対象:319例
RDW:11.9~21.9 (median 14.1)
   RDW≦15(正常範囲)…228例→生存期間中央値 43.1ヶ月
   RDW>15…91例→生存期間中央値 16.3ヶ月(P=0.001)

RDWの経過を追跡できた症例:198例
 RDWの変化が+0.010/mo以下の症例→生存期間中央値 43.0ヶ月
          +0.010/mo以上の症例→生存期間中央値 23.9ヶ月(P=0.0246)

*年齢、性別、ヘモグロビンで調整しても、RDWは有意な因子であった。

Conclusions
IPFにおいても、RDWは有用な予後予測因子。
ベースライン、フォローアップともに使用できる。
validationと、病態生理についての検討が望まれる。

考察では、肺高血圧との関連、心血管疾患合併との関連、IPFに伴う肺血管異常による微小溶血、などが原因として考えられていました。年齢・喫煙・栄養状態・肺機能などの因子とRDWの関連は以前より報告があるのですが(Chest 2003;124:494-500, J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2010;65:258-265)、今回はそれらの因子を多変量解析で調整してありました。


これまでIPFではあまり注意して見ておりませんでしたので、今後チェックしていきたいと思います。
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by res81 | 2013-06-11 12:43 | 間質性肺炎 | Comments(0)

COPDの重症肺高血圧:ASPIRE registryより

スタッフTBです。

Journal watch中、ERJの最新号よりピックアップしました。

Pulmonary hypertension in COPD: results from the ASPIRE registry
Eur Respir J 2013; 41: 1292–1301


COPDには肺高血圧(PH)を合併しやすいのですが、大抵は軽症~中等症までで、重症例(平均肺動脈圧≧40mmHg)はCOPDの1%程度と言われ、"Out of proportion"とされています。
何せ症例が少ないため、その特徴があまりはっきりしておりませんでした。
ASPIRE registryとは、"Assessing the Spectrum of Pulmonary Hypertension Identified at a Referral Centre registry"の略で、英国の肺高血圧調査のためのregistryです。
今回は9年間のデータから、PHを合併したCOPDについて臨床的特徴をまとめてくれています。

Abstract
COPDにおける重症肺高血圧(PH)の表現型と予後については少数の検討しかなく、予後因子はわかっていない。ASPIRE registryより、PH合併COPD連続101症例のデータを抽出し検討。

 平均follow-up期間:2.3±1.9 years.
 重症PH・COPDは59例:定義は右心カテーテルで肺動脈圧≧40 mmHg
 特徴・・・拡散能が低い、気流制限は比較的軽度、
      CTでの気腫スコアは軽症~中等症肺高血圧COPDと同等
      1年生存率:70%(⇔軽症~中等症PH・COPD群では83%)
      3年生存率:33%(⇔軽症~中等症PH・COPD群では55%)
 予後不良の独立因子:混合静脈血SpO2、DLCO、
               肺高血圧のWHO機能分類クラス、年齢

               →気流制限の程度は、予後因子ではなかった!

 Compassionate(救済的な)treatmentは重症PH・COPD 43例で施行された
 ⇒生存率は改善しなかった
 ⇔治療反応性(機能的な改善または20%以上の肺血管抵抗の低下)があった8症例
   では、生存率が改善した

まとめ:
・標準的に用いられているCOPDの予後因子は、PH合併症例には適用できない。
 ⇒今回のスタディで、PH合併群の予後因子が分かった。
・予後不良ではあるが、治療法を検索する手がかりとなる。


実臨床上、なかなか右心カテーテルまで行っておりません。しかし、精査・治療をトライしてみる事も時には必要で、それがなければ医学は先には進みません。
はざまで悩む日々です。
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by res81 | 2013-06-07 18:54 | COPD | Comments(0)