飯塚病院呼吸器内科のブログ
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<   2014年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧

臨床と病理の架け橋シリーズ② ちょっとしたすりガラス影の奥深さ

スタッフ228です。
早いもので、もう新年も一ヶ月を過ぎようとしています。
いろいろブログに記載したいネタはあるのですが、いざ載せるとなると、ちょっとパワーがいりますので、ついつい後回しになってしまい時間が過ぎてしまい・・・(. .)> すみません、言い訳です。がんばりますので、どうぞよろしくお願いします。

ということで、今日は、架け橋シリーズ第2弾です(やっと第2弾・・・笑)!!
あまり学術的な内容ではありませんが、ちょっとした感動というか発見を共有できればと思っています。

症例は、元重喫煙者の80歳男性で、左肺下葉に扁平上皮癌をきたした方。
手術適応があり、左肺下葉の切除術が行われています。
ちなみに、検診異常で発見されており、自覚症状はほぼありません。

d0264356_22270903.png


赤矢印が扁平上皮癌でした。
続いて、非癌部をみていきたいと思います。

d0264356_22274265.png


どうでしょう?みなさんは、癌の病変以外にこのCTの異常所見はとりますか?
ちょっと拡大してみます。

d0264356_22281396.png


すると、上肺野では、小さい嚢胞みたくなっている部分や胸膜直下の小さい結節(micro-nodule)が分かります。
下肺野では、背中側にあわ〜いすりガラス陰影、線状影がみられます。重力の影響もあるかもしれませんが、重力だけではない感じがします。

さらに、もう少し下肺野のほうをみていきます。

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1:脾臓がみえてきました。少し線状影が強くなってきた気がします。
2:むむっ!!小さい穴の集簇がみられます(*1)写真では連続性が確認できませんが、気管支とのつながりがありそうなので、拡張した気管支でもよさそうです。胸膜からは若干距離もありますし、蜂巣肺(honeycomb)と言うのは、ちょっと無理がありそうです
3:すりガラスと線状影、穴みたいな構造も少し見受けられます。
4:上葉(舌区)には嚢胞がみられます。

ということで、胸膜直下、特に下肺野背側優位に、ちょっとした陰影(すりガラス〜線状影)がある、という感じ。
2011年のIPFのガイドラインに当てはめると、possible UIPくらいでしょうか。

UIPかもしれないし、そうじゃないかもしれない・・・

では!!

左の下葉を切除検体とも照らし合わせてみてみます!!

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どうでしょう??
すりガラスぽかった部分は、肉眼では少し白っぽく見えます。
(幾分ズレがありますが、ご容赦ください)
穴があるようにも見えます・・・

この部分の病理をみてみると・・・

な、な、なんと

d0264356_22360840.png


けっこう線維化がしっかりあって(ピンクの部分は、もともとは肺胞組織だったものが、その構造が破壊され膠原線維や平滑筋に置換されたものです)、線維化に囲まれた細気管支〜肺胞の拡張、つまりhoneycombがみられます!!

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この部分なんかは、fibroblastic focusがっ!!
fibroblastic focusは、幼弱な線維芽細胞から成る微小病変で、しばしば線維化病変と正常肺との移行部にみられ、線維化がactiveな状態であることが示唆される所見です。
fibroblastic focusがたくさんある場合(複数形はfibroblastic foci)、それだけ線維化の進みが速い可能性があり、予後とも関連すると言われています。

ということで、病理学的にみると、けっこうしっかりとしたUIPパターンなんですねぇ

ちなみに、CTでNSIPっぽいと思っていた症例(すりガラス陰影が主体)のうち、約3割は後々IPFみたく変化していった、という報告が知られています。Radiology. 2008; 247(1): 251-9.
 
つまり、間質性肺炎の初期のすりガラス陰影って、実際はUIPの初期像なのか、NSIPなのか、それともそれ以外の間質性肺炎なのか、その同定が難しいことも多いっていうわけですね。



・・・・ちなみに、この方は、特発性肺線維症 idiopathic pulmonary fibrosis (IPF)といってよいのでしょうか?

病歴上は、明らかな誘因はなさそうなので、特発性でよさそうですが。
80歳と高齢ですし、自覚症状も乏しい。IPFの典型例ではなさそうです。
術後も特に問題はなく経過しています。術後急性増悪もないようです。

臨床的に問題がないとすれば、無理にIPFと診断しなくてもいい気もします・・・
もちろん引き続き術後の経過をみていく必要はあるわけですが。

もしかすると、喫煙や癌による非特異的な線維化、なんかもあるのかもしれません。

結論、IPFなのかは分かりませんっ!!
(とりあえずIPFの範疇に入れておくことになるかと思いますが)



ちょっとモヤモヤした感じで終わりを迎えようとしていますが、今日のメッセージとしては「ちょっとしたすりガラス陰影が実はUIPパターンだったりする」ということです!!

この症例の病理像をみたとき、ぼく自身はけっこうな衝撃でした。
え?こんな程度の影で、こんなに線維化があるの?へぇ〜〜〜
みたいな
なかなか伝わりづらいかもしれませんが・・・笑



外来では、ちょっとしたすりガラスが、経過を見ていても全然変わらない人もいれば、少しずつ進んでいく人、けっこう速い経過で進んでいく人がいたり・・・

進んでいく人っていうのは、たぶんUIPパターンを呈していて、のちのちhoneycombがCTでも顕在化してくるんでしょうね、おそらく

今回は病理学的な立場からみてみましたが、CTでの経過をみてみたい方は、われらがTB先生が以前に記載したこちらのブログ記事もみてみてください〜

いやぁ、すりガラスって、ほんと奥が深いです







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by res81 | 2014-02-03 23:04 | 間質性肺炎 | Comments(0)