飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医4名(H29年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

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<   2017年 06月 ( 1 )   > この月の画像一覧

COPD治療戦略の考え方 ~室繁郎先生に教わりました~

皆さんこんばんは。年月の速さに驚いているスタッフのYです。きっと充実した日々の証ですね。呼吸器内科の皆様に、サプライズ焼き餅パーティー(@内科医局)で誕生日を祝って頂いたのが、つい最近のように思えるのですが・・・。


先日、「呼吸器 Meet the Expert in 筑豊」という研究会のために、京都大学呼吸器内科学准教授室繁郎先生が、なんと飯塚まで遥々お越しくださいました。


室先生はとくにCOPDの分野で多方面に研究を繰り広げておられますが、今回は飯塚にいながらも、室先生のご講演を直接伺うことができました!その上、濃密なディスカッションの時間を設けていただき、大変勉強になりました。「最新の知見」の伝達に留まらず、室先生のものの「見方」「考え方」を共有していただけたこと、そして私たちが日ごろ悩んでいる数々の実例を通じて、実践的な「工夫」を知ることができ、大変感謝しております。COPD研究の第一人者でありながら臨床も第一線で続けておられる室先生ならではと思います。室先生には遠方からきていただきながらも、あえての少人数制の会ということで私たちのために場を設けていただき、とっても贅沢な充実感あふれるひとときでした。


COPD治療 Up To Date」と題されたご講演で特に印象的だったのが、最大吸気量(inspiratory capacity)の有用性でした。COPDの診断や評価に用いられる1秒量は、確かに症状や予後と相関もあるようで、我々もその変動に一喜一憂しがちです。しかしこれは日常生活とはかけ離れた数値かもしれません。確かに我々は普段、1秒量を測定するときのような呼吸をすることは(重労作時でさえ)、ありません。肺機能検査でみられる1秒量のような項目より、吸気予備量こそ、日常生活に添っているのではないかというのが最近の見解であり、現在はこちらが研究対象となっています。つまりCOPDの治療戦略を呼吸生理の視点から考える上で、最大吸気量の改善、ひいては動的過膨張の改善が重要なのではないかということです。治療に用いられる気管支拡張薬が、BronchodilatorというよりはLung deflatorの役割で、主役となっているわけです。


この視点は患者さんの「息切れ」(=労作時呼吸困難)の原因に焦点を当てている点で、非常に納得しやすいもので、終始うなづいてしまいました。


しかしCOPDの研究や創薬が進んでも、どうしても解決しない問題点があります。抑えられない進行、とりきれない症状、なくせない増悪... こうした問題に真っ向から取り組み治療を開発するために室先生が研究されているのが、とくに画像からみたCOPDの病態と治療戦略です。肺気腫の破壊パターンはフラクタル性を持っており、この気腫病変の進展様式をシミュレーションすることにより病態をより把握できないかというわけです。当科でもTb先生やG Snow先生がびまん性肺疾患のフラクタル解析に取り組んでおり、COPDの最先端の研究も、おかげで少し身近に感じました。


後半の「COPD治療ディスカッション」では、当科から2例の症例提示を行い、室先生との意見交換をさせて頂きました。事前に「何でも相談してよい」とお聞きしていたのをいいことに、COPDの治療で悩んでいる点を本当に存分に相談しつくさせていただきました。


まずはCOPDの治療導入時にLAMA/LABA合剤で開始を検討すべき状況というのをテーマとしました。症例検討を通じて、治療決定においてGOLDに則った項目の他に念頭に置くべき要素を教わりました。逆説的ではありますが、「重症例で単剤から開始したほうがよく、軽症例であえて合剤で開始したほうがよい」状況とその理由や、数々のClinical pearlを聞かせてくださいました。ここでは書ききれませんが、眼から大量のうろこが落ちました。


2例目では今話題の、COPDにおけるICSの位置づけをご相談させて頂きました。増悪を繰り返すCOPDではICSの導入が推奨されたかと思えば、2014年のWISDOM studyではICS中止により増悪が抑制できる可能性(しかし呼吸機能は低下する可能性)が示されました。学会や研究会でもよく取り扱われているテーマかと思いますが、結局のところ正解がわからず、現場では日々悩んでしまいます。重症例ではすでに3剤を用いていることも多く、増悪を繰り返す場合にICSの中止を検討したいような、減量をすることに不安もあるような・・・。今回の議論を通じて、ICSの有用性を総合的に判断すること(既往、症状、FeNO、末梢血好酸球数、増悪様式など)、そして慎重な経過観察下ではためらわずに中止することも選択肢であることを教わりました。加えてICS導入により期待される効果(長期的なものも含めて)や実臨床に即した副作用のとらえ方、ICSの使い分けも大変勉強になりました。正解を求めすぎるより、これまでのエビデンスや患者さんのデータをもとに客観的・多面的に評価を行い、論理的な考えに基づいて導入または中止をして、なおかつ丁寧に経過をみることで、おのずとその患者さんにとってのよい治療というのが見えてくるのかもしれません。


そのほか、COPDにおけるマクロライドの位置づけ嚥下機能との関連循環器疾患合併例における治療の考え方、CPFEなど、気になる話題について質問や意見交換が絶えませんでした。


室先生におかれましては、遠路遥々飯塚までお越しいただき、惜しみなく相談に乗っていただき、当科一同 心より感謝しております。最近は日々のチームカンファレンスでも「あのディスカッションを踏まえて・・・」とよく耳にします。早速日々の臨床に活用させて頂いております。本当にありがとうございました。


COPD専門外来も少しずつではありますが充実してきています。ガイドラインに沿った標準治療に留まらず、枠組みに収まらない状況にも根拠を持って適切に対応できるよう、当科一同、精進していきたいと思います。

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by res81 | 2017-06-15 23:56 | 学会・研修会 | Comments(0)