飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医4名(H29年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
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ピシバニールで肺障害? & ピシバニールと中皮腫

スタッフ228です。
本格的に寒くなってきましたが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
もともと朝が苦手な上に、こうも寒いとさらに朝起きるのが辛くなってきますが、気合いでがんばります(笑)

さて、先日、胸膜癒着療法に使用する薬剤として、日常的によく使用するOK-432(ピシバニール)による肺障害を来たした症例を経験しました。ピシバニールによる発熱などは有名ですが、小生、その肺障害は経験がなく、実際どんなものかと調べるに至りました。

すると、ありました!!

ピシバニール後の間質性肺炎。一例報告から数例報告、中には投与対側にOP(器質化肺炎)を来たしたという報告もありました。ちなみに、アナフィラキシーを来たした症例報告もありました(たしかTB先生もご経験ありとのことでした)。
それらの中でも興味深かったのは、だいぶ前になりますが、

分子呼吸器病 1997;1:187-194.

に記載されている症例報告とその考察です。

ピシバニールが生体内で作用する場合に、好中球、マクロファージ、Th細胞、NK細胞などに連続的に働き、多種のサイトカインを誘導する作用が知られているようです(つまり、免疫賦活剤ということですね)。一方で、間質性肺炎のその発症機序においても、特にその早期の段階で、やはり多種のサイトカインが関わっている可能性が考えられており、それらのサイトカインがピシバニールによって誘導されるサイトカインと共通しているため、ピシバニールの投与により、当然間質性肺炎は起こりえるだろう、との考察でした。
ただ、小生もそうだったように、ピシバニールの副作用としての間質性肺炎は、案外認識が薄いようです。その背景には、ピシバニールによる癒着を行うような方は、抗癌剤やG-CSF製剤の投与、あるいは肺切除などが行われていることも多く、間質性肺炎が起きた場合に、本当にピシバニールによるものなのか、明確に関連づけることが難しい、という点があるようです。

なるほどなるほど・・・・
そして、改めて、今回の症例を振りかえると・・・

悪性胸膜中皮腫の方で、その診断目的に胸腔鏡検査を行った後、ドレーンを挿入している間に、胸水コントロールにピシバニールで胸膜癒着を行った、という方でした。実は、入院当初から非常に炎症反応が高く、短期間で全身性に消耗している印象がありました。

そう、炎症です・・・・

そこで、思いました。全身性の炎症が高い状況下に、ピシバニールを投与したことで、さらに炎症が惹起され、結果、間質性肺炎を来たしたのではないか、と。

あくまで私見ですが、悪性中皮腫は、いわゆる炎症反応が高値であることも多いため、そういった症例では、ピシバニールの使用は控えた方がよいのかもしれません。肺癌を含むその他の癌による癌性胸膜炎で炎症反応が高いときもそうなのかもしれません。

中皮腫に関連して、見つけたのがこちらです。

Incidence of interstitial lung disease in patients with mesothelioma in the west part of Japan
pharmacoepidemiology and drug safety 2011; 20: 643–652


背景として、そもそも日本人において、癌治療に関連したびまん性肺疾患(ILD)の頻度が高いこと、そして、悪性中皮腫は、炎症反応が高いことが多く、その炎症に関わる機構が、ILDに関連しているかもしれないことが挙げられており、実際に中皮腫に対する各種治療(外科切除、化学療法、放射線療法、ピシバニールや抗癌剤による胸膜癒着療法)に関連したILD事象に関して検討してあります。

ILDを来たした症例を一部まとめると、

・70歳以上は、60歳未満の4-5倍ILDを発症している
・臨床病期III-VI期と進行期では頻度が多い
・PS;Performance Statusが3の群で頻度が多い
 (PS4症例ではILDはみられなかった)
・過去にILDのhistoryがあると、ない場合に比し5倍ILDを発症している
・喫煙や過去の石綿曝露歴はILD発現と関連しなかった


といった傾向があるようです。

また、胸膜癒着術を施行した症例に焦点をあわせると、ILDを来たした症例はすべてピシバニールで癒着されています(症例数自体は、ピシバニールと抗癌剤などその他の薬剤でほぼ同数です)。
他にも、外科切除と抗癌剤の中でも特にVinorelbineにおいて、ILD発現頻度が高い傾向にあったようです。

やはり、ピシバニールはILDを誘発しうるんでしょうね。他にも、ここ最近は、よかれと思って施した治療で、頻度の少ない合併症を来たす、といった症例がちらほらありました。こういった症例を経験すると、治療や検査は、個々の症例に応じて十分に検討すべきだな、ということを身にしみて感じます。



************** 追 記 ****************


以前質問欄にもコメントいただいた件とも関連があるので、一言追記を。。。

ピシバニールが承認、販売されているのは、日本・韓国・台湾の3カ国だけです!

ご存知の方からすれば、別に大したことない情報ですし、インターネットで「ピシバニール」と検索すれば、3カ国という情報もすぐ手に入るわけですが、知らないとPubMedなんかで検索してて、なかなか引っ掛からないなぁとモヤモヤしてしまったりします。
ええ、自分がそうでした。。。。(T T)

この記事、比較的読んでいただいているようですので、記事を書いた者として、ちょっと追記させていただきました。






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# by res81 | 2012-11-28 01:54 | 胸膜癒着術 | Comments(2)

GOLD2011の予後予測能 


スタッフのTBです。

昨日は「九州臨床画像解析研究会」に多数の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
個人的に大変刺激になり、早く論文を書きあげねば・・・とお尻に火が付きました。

でも、論文を書く前に、一本読んでみました。

2011年にCOPDの国際ガイドラインであるGOLDが改訂され、重症度評価・分類法が変更になりました。その検証論文です。デンマークから。

Prediction of the Clinical Course of Chronic Obstructive Pulmonary Disease, Using the New GOLD Classification: A Study of the General Population
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012; 186: 975-981.


<Rationale>
・GOLD 2011によるCOPDの新分類は、肺機能・症状・急性増悪の頻度の3つが評価軸となっている。
d0264356_11225976.png


<Objectives>
・新分類法によるCOPDの予後予測能を検討

<Methods>

・コペンハーゲンで行われたCOPDについての疫学調査:2つ、6628例

<Measurements and Main Results>

・平均追跡期間:4.3 years
・検討項目:急性増悪、入院、死亡
・分類に基づく予後;
 group A…最初の1年での急性増悪:2.2% 1年/3年死亡率:0.6%/3.8%
 group B…最初の1年での急性増悪:5.8% 1年/3年死亡率:3.0%/10.6%
 group C…最初の1年での急性増悪:25.1% 1年/3年死亡率:0.7%/8.2%
 group D…最初の1年での急性増悪:28.6% 1年/3年死亡率:3.4%/20.1%
Groups B/D(症状が強い群)では、心血管疾患と癌による死亡率がA/Bと比較し5-8倍だった
d0264356_11231215.png

  (本文より参照)

<Conclusions>
・GOLDの心分類は、急性増悪のリスクを上手く予測できる。
・驚いたことに、group Bの方がGoup Cより予後が悪かった!
・症状が強い群では心血管疾患と癌による死亡が多いため、そちらの精査・加療が重要だろう。


とても重要な結果だと思います。
COPDの三大死亡原因である、呼吸不全・心血管疾患・癌のリスクがこの分類で分かりそうです。

しかし北欧は疫学系が強いですね・・・
社会保険制度と密接に関連していると思われます。
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# by res81 | 2012-11-23 11:35 | COPD | Comments(0)

「九州臨床画像解析研究会 in 飯塚」のお知らせ

スタッフのTBです。

突然なのですが、今週末11/22(木)に当院で行われます、
「第23回九州臨床画像解析研究会」のお知らせをさせて頂きます。

当科では、大阪大学、久留米大学、大分大学、順天堂大学などの様々な大学にご協力を頂き、最先端の研究・臨床をしておられる先生方と交流させて頂いております。
そして年に2回、5月と11月に、各分野でトップクラスの先生方を当院にお招きさせて頂いております。
我々の臨床研究についてもご相談させて頂いており、毎度たくさんの素晴らしいアドバイスを頂戴し、日々のモチベーションを高めております。

講演会では、基礎~最先端までの幅広い内容を大変わかりやすくお話して頂いております。これだけのメンバーが揃うことは滅多にありませんので(特に飯塚で!)、大変贅沢な会です!今回はちょっと早めで申し訳ないのですが、17時より講演会を開催いたします。

フリーな講演会ですので、ご都合が合えば是非ご参加ください。大歓迎です。


今回の内容は下記の通りです。
第23回九州臨床画像解析研究会
日時: 平成24年11月22日(木) 講演会は17時00分より        
場所:麻生看護大学校 別館2階 講堂(飯塚病院敷地内)

    福岡県飯塚市芳雄町3-83 TEL:0948-22-3800(代表)

総合司会: 飯塚病院 呼吸器内科 部長 海老 規之

講演1(17:00~17:40)

司会:大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学教室  講師 
    本多 修 先生
演題:『 ARDSの新しい診断基準と治療  』         
演者:済生会熊本病院 呼吸器内科 
    一門 和哉 先生

コメンテーター: 大分大学医学部 総合内科学 第二講座 小宮 幸作 先生

講演2(17:50~18:20)

司会:大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学教室  
    梁川 雅弘 先生
『 飯塚病院におけるCOPD診療の取り組み 』         
演者:飯塚病院 呼吸器内科 飛野 和則

講演3(18:20~19:00)
司会:大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学教室 教授 
    富山 憲幸 先生
『COPDの画像診断-Volumetric CT dataを用いた評価-』         
演者:久留米大学医学部 放射線医学教室准教授
    藤本 公則 先生



ARDS、COPDと、「4文字症候群」の組み合わせです。
いずれも身近かつ、診断・治療に難渋する事がままあります。
ご講演をとても楽しみにしております。

お問い合わせは、iizukakokyu@gmail.comまでお願いいたします。

ご興味のある方、お待ちしております~
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# by res81 | 2012-11-18 18:40 | 科の紹介 | Comments(2)

慢性咳嗽へのgabapentinと、地方会とウフィーチ会(&ラーメン)

スタッフのTBです。

最近のLancetに、難治性慢性咳嗽に対してgabapentinの効果を検討した初めての報告がありました。

Gabapentin for refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Lancet 2012;380:1583–89


<Background>

・難治性慢性咳嗽は症状が強く、QOLを落とす。
・難治性慢性咳嗽における中枢性感作(侵害刺激によりニューロンが過敏化し通常より強く反応する)と神経障害性疼痛の病態は類似していると考えられ、gabapentinのような薬剤の効果が予想される。

<Methods>

・スタイル:randomised, double-blind, placebo-controlled trial
・対象:
 外来患者(in Australia)
 8週以上持続する難治性慢性咳嗽
 他に活動性呼吸器疾患が無い
・無作為に2群へ:
 *Block randomisation(一定人数ごとのブロックを作り、その中で無作為に割り付ける方法)、性別で層別化
 ①gabapentin (maximum tolerable daily dose of 1800 mg)
 ②placebo
 ⇒10週間投与
・Primary endpoint:
 咳関連QOLの変化(Leicester cough questionnaire [LCQ] score)
 ⇒ベースライン~治療8週後までで比較(ITT解析)

<Findings>
・対象は62例:gabepentin (n=32) or placebo (n=30)
         *10例が途中離脱した
・LCQ scoreは、Gabapentin群で優位に良好
 LCQ scoreの差;Gabapentin–placebo=1.80
            (95%CI 0.56–3.04; p=0.004)
 Number needed to treat (NNT)=3.58
・副作用
 Gabapentin群で10例(31%)…嘔気と倦怠感が主
 Placebo群で3例(10%)

<Interpretation>
・難治性慢性咳嗽に対しGabapentinは有効で忍容性あり。
・Gabapentinが効くことから、やはり中枢性感作が大きく関与している可能性が高い。


慢性咳嗽に対して、鎮咳薬は既存の物ばかり使用し、後は気道の炎症をおさる事に考えをめぐらしておりました。
確かに、中枢性感作が病態に関連していても全く不思議はないですよね。
この発想が出ない自分が情けない…と思ってしまいました。

勉強になりました。


さて、昨日・本日と、呼吸器学会九州地方会が行われております。
昨日は当科の若手医師4人が発表してくれました。
全員立派に発表されたとのこと。お疲れ様でした!

そして、伝統の夜の勉強会「ウフィーチ会」で、当科から司会とプレゼンを1名ずつ努めさせて頂きました。大幅に時間を超過してしまいましたが、実に温かくも活発な討論で、大変楽しく勉強させて頂きました。

最後に当科の(当院の?)大ボスから若手にラーメンを奢って頂き、非常に充実した1日でした~~
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# by res81 | 2012-11-17 10:41 | 咳嗽 | Comments(0)

軽度の線維化を伴うIIPsのCTの経時的変化

スタッフのTBです。

明日から始まる呼吸器学会九州地方会参加のため、若手を中心に皆忙しく働いております~

さて、韓国からの話題です。

High-Resolution CT Findings in Fibrotic Idiopathic Interstitial Pneumonias With Little Honeycombing: Serial Changes and Prognostic Implications
AJR 2012; 199:982–989


<OBJECTIVE>
・線維化・軽度の蜂巣肺を伴う特発性間質性肺炎(fibrotic idiopathic interstitial pneumonias; IIPs)のHRCTの経時的変化から、予後因子を明らかにする

<MATERIALS AND METHODS>
・retrospective study
・病理学的に線維化を伴うIIPsと診断され、
 CTで蜂巣肺が5%未満で、
 最低2年間経過観察された症例
 ⇒154例;UIP 101例、f-NSIP 53例
・baseline CTでCT所見の分布と進展度を検討
 ⇒少なくとも6ヵ月間隔で、CT所見の変化を評価:検討対象は132例

<RESULTS>
・最初のCTにいおて、網状影とすりガラス状陰影(GGO)の進展度で、UIPとf-NSIPの間に有意差あり
・経時的変化
 蜂巣肺の進展度:UIP +5%、f-NSIP +3% (p = 0.08)
 網状影の進展度:UIP +3%、f-NSIP +8% (p = 0.03)
 GGOの進展度 :UIP -2%、f-NSIP -10% (p = 0.009)
・全病変の進展度のトータル
 UIPで増加傾向(+6%)⇔ NSIPで減少傾向(−4%)(p = 0.04)
・多変量解析では、全病変の進展度のトータルが独立した予後不良因子

<CONCLUSION>
・軽度の蜂巣肺を伴うfibrotic IIPでは、経時的にCTを撮影すると蜂巣肺と網状影が増加し、GGOが減少する傾向がある。
・フォロー開始時CTにおける「全病変の進展度のトータル」が予後因子であった。


呼吸機能や年齢、性別なども含めた解析ですので、信用できそうです。

軽度な線維化を伴う場合、CTでの全病変(網状影、蜂巣肺、すりガラス状陰影)の面積の総和が重要な予後因子、という事になります。単変量解析の結果も考慮すると、特に「最初のCTでの網状影の広がり」に注意が必要な様です。

f-NSIPのGGOが減って蜂巣肺となっていく経過が本文中Figureにあります。日常臨床でもしばしば経験します。何とかできないか、日々模索しております・・・
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# by res81 | 2012-11-15 19:18 | 間質性肺炎 | Comments(0)