飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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タグ:病理学 ( 7 ) タグの人気記事

臨床と病理の架け橋シリーズ④ 長崎でのMDDを経て再びACIF

こんにちは、スタッフ228号、またの名を社会人大学院生228号です。


Aj先生の記事が、まだまだ続きそうですが、合間に失礼します(笑)


昨日、長崎大学病院病理診断科主催の「第2回MDD検討会〜Airway Centered Interstitial Fibrosis」に参加してきました。
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ところで、みなさんは、そもそも「MDD」をご存知でしょうか??


MDDとは「Multidisciplinary discussion」の略、multidisciplinaryとは何ぞやというと「集学的な」という意味です。集学的という言葉は、がん治療の現場などで時折用いる言葉で、外科治療(手術)や放射線治療、さらには化学療法(抗がん剤治療)など、いくつかの治療法を組み合わせて行う治療に対して、集学的治療といった風に用いられます。間質性肺炎などびまん性肺疾患の領域で、multidisciplinary、MDDを用いるのは、主にその診断の際で、臨床医のみならず、放射線科医や病理診断医とも十分に話し合いを行って診断をする、この話し合いのことを指します。


なぜわざわざそんなことをするのかと言いますと、この領域の診療に携わったことがある先生方ならお分かりかと思いますが、間質性肺炎の診断がそれだけ難しいからです。最近では、特発性肺線維症の治療として、ピルフェニドンやニンテダニブといった薬剤が登場したこともあり、間質性肺炎を診断・分類するにあたっては、特発性肺線維症かどうかが非常に重要になります。教科書を読んだり、こうして文章で書く分には、そんなに難しい感じはないですが、実はこの診断がとても難しかったりします。臨床所見と放射線所見(CT所見)、そして病理所見(主には胸腔鏡補助下肺生検で採取された肺組織)が一致しないことがあるからです。なので、MDDを行うわけです。ちなみに、少し前は「CRP診断」ともよく言われていました。ClinicalでRadiologicalでPathologicalな診断、要はMDDとほとんど同じですが、最近はもっぱらMDDと言っています。


このMDD、また難しいのが、たとえ呼吸器内科の専門医がいたとしても、そのドクターが所属する病院に間質性肺炎診療に精通した胸部放射線科医、肺病理の専門医がいないことが多いという点です。なので、いまぼくが勉強に来ているこの長崎大学では、インターネット回線を利用して、ウェブ上でこのMDDを行ったりしています。おそらく今後、こういったネット回線を介したコンサルテーションなどがどんどん広まっていくんだろうなと思います。


さて、そんなこんなで前置きが長くなりましたが、昨日「Airway centered interstitial fibrosis (ACIF) →手前みそで恐縮ですが、こちらの記事も参照ください」をテーマに、間質性肺炎の領域では世界的に有名な肺病理医のColby先生を招聘してMDDが開催されたわけなんです〜


今回の対象症例は、あくまで病理学組織学的に、気道周辺に線維化を伴っている症例を対象に選択されています。症例ごとの背景は多彩で、CT所見もさまざまで、CTをぱっと見ただけでは、気道周囲の線維化病変がわかりづらい症例もあったりで、活発なディスカッションが行われました。特にUIPパターンの線維化を伴っている場合、not UIPパターンとして特発性肺線維症ではないと考えるのか、あるいは、このくらいの気道病変なら特発性肺線維症でいいと考えるのか、それとも、過敏性肺炎がUIP様の線維化を来たしていると考えるのか、治療の方向性が変わってくるわけで、議論が必要になるところです。


最後に、Colby先生から、ACIF(ないしBrIP)についてreviewしていただき、少しすっきりしたような気がしました。学びを少しだけ ↓↓
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実際に患者さんを目の前にしたときには、また悩むとは思いますが、今回の学びを少しでも生かせればとは思います。


飯塚からはるばる参加したTb先生、GSnow先生もお疲れさまでした!!また、夜の懇親会に参加された先生方ともいろいろお話をすることができ、貴重な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。そして何より、今回この企画を支えてくださったスタッフのみなさんにも感謝です。みなさん、本当にお疲れさまでした。


明日は大阪でびまん性肺疾患の研究会!!びまん性肺疾患尽くしの週末になりそうです(笑)
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by res81 | 2016-12-16 23:00 | 間質性肺炎 | Comments(0)

臨床と病理の架け橋シリーズ③ ACIFまとめました。

大変ご無沙汰しております。


スタッフ228号、またの名を社会人大学院生228号です。


実はこの10月より、勤務中の飯塚病院の許可をいただき、大学院生をさせていただいている長崎大学病院病理診断科で、短期研修に来させていただいています。今回は研修もさることながら、長大病理の皆さんのご指導のもと、研究プロジェクトを遂行し何とか形にすることが主な目的であります!!この間、ぼくの患者さんの対応を快く引き受けていただいている飯塚のスタッフの皆さんには、ほんともう感謝してもし尽くせません。素敵なスタッフに恵まれているなと痛感しています。今度お土産持って帰りますから・・・笑


さて、前置きが長くなりましたが、この研修期間を利用して、長らく途絶えていたシリーズを復活させることにしました。と言っても、まだ③回目(笑) ぼちぼち続けていきたいと思いますので、みなさん、どうぞよろしくお願いします。


ということで、本日のテーマはずばり「ACIF(そのままエーシーアイエフと呼びます)」について。


ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、呼吸器専門以外の先生や呼吸器かけだしの先生、びまん性肺疾患が専門ではない先生を対象に記事を書いていますので、あしからず。


ACIFとは「Airway-centered interstitial fibrosis」の略になります。つまり、気道周辺の間質を主体に線維化を来たす病気、ということになります。実はこの病気、まだ疾患概念が確立されていません。ACIFという病理学的な表現がされていることからもお分かりのとおり、あくまでこういう病理組織所見を呈す疾患がありそうだ、ということで、びまん性肺疾患の領域で最近よく耳にする用語なんです。


その始まりは2002年ー


Yousem先生らが発表した「Bronchiolocentric interstitial pneumonia」に始まります。いやいやACIFじゃないじゃん!っていうツッコミが聞こえてきそうですが、流させてください(笑)。


ちょうど時を同じく、特発性間質性肺炎のnovelな組織パターンとして「Centrilobular fibrosis」という名のもとに、気道周辺の線維化病変を来した患者さんのcase reportも報告されています。


そして、2004年に、Churg先生らが「Airway-centered interstitial fibrosis」として報告しています。やっとここで、ACIFが出てきました(笑)


この頃から気道周辺の間質を主体とした線維化を来たす疾患群のcase reportがパラパラと報告されだし、2005年には、今まさに長大病理でご指導いただいている福岡先生が「peribronchiolar metaplasia」通称「PBM」を報告されています。


このような報告を受け、2013年の特発性間質性肺炎のガイドラインでは、Rare histologic patternとして、つまり、まだ確立した病名としてではなく、あくまで病理組織パターンのひとつとして「Bronchiolocentric patterns of interstitial pneumonia」という項目のなかで、この病態が紹介されています。


直近では、本年2016年のChest誌に「Airway-centered fibroelastosis」として5例報告がなされています。よく見てくださいね、ACIFとは微妙に異なりますから。ACFEと言うんでしょうか?笑 呼び方はさておき、この報告では、elastosis、つまり弾性線維の増生が強調されて報告されています。そして、どちらかというと急性の経過を呈していたようです。


そんなこんなで、気道周囲の間質を主体とした線維化病変は、いろいろな用語で表現されており、この領域に縁がない人だと、やっぱり混乱してしまうかもしれません。ただ基本的には、みている病態はほとんど同じもので、表現型や評価者の捉え方が少し異なるだけのような気もします。ひとまずこういう疾患概念が、いま確立されていこうとしているのだな、ということを知っていればいいのではないでしょうか。

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ちなみに、ぼくが今回主にACIFという用語を使っているのは、今お世話になっている長大グループでよくこの用語が使用されているからです。


さて、気になるのは臨床像ですが、どうやら中年の女性に多い傾向があるようです。喫煙者が多いわけではないですが、原因として、過敏性肺炎(粉塵やカビなど吸入抗原の影響)や逆流性食道炎による誤嚥の影響が疑われたたり、膠原病(膠原病に関連した気道病変)や喘息を基礎疾患にもつ方もいるようで、なるほど、この辺は気道周辺の病態ということで納得です。ただ、はっきりとした原因を同定しえないこともあり、idiopathic(特発性)と表現せざるを得ないこともあります。参考文献7をもとに、この病態のetiologyを表現してみました(↓↓)。

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ちなみに、上甲先生が執筆された論文もおすすめしたいひとつです(参考文献8)。rareな間質性肺炎のきれいな画像と病理像が提示してあります。ACIFのところを参照させていただきました。PBM-ILDや他の写真もぜひご参考ください。

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そもそも病理学という学問は、病気の現場を直接観察することができるという、特に臨床一筋でやってきた自分にとっては、なるほどこういうことが起きているのかと気付きを与えてくれる、何とも興味深い(学生のときはあまり気づきませんでしたが・・・笑)学問です。やはり事件は現場で起きていますから、現場検証って大事ですよね!ただ一方で、見えすぎてしまうがゆえに、いろんな病名が提唱され、結果臨床に混乱をもたらす側面があるのもまた事実かと思います。臨床的には似通った病態であったり、そもそも病気とするほどでない変化に関してまで、病理学的観点からいろいろな呼び方がされることがあるからです。今回取り上げたACIFもそういった側面がないわけではありませんが、この病態に関しては、今後近いうちに、ひとつの疾患として確立されていくであろうことを見越して、今回のテーマに取り上げてみました。


そういえば、自分の担当患者さんで、喘息と言われたことがあり、上肺野優位の気道病変を主体とした間質陰影が強い、ややご年配の女性患者さんがいらっしゃいます。夏型過敏性肺炎で知られるトリコスポロンアサヒ抗体が陽性ですが、夏よりも冬場のほうが調子が悪くなることが多いということで、できる限りの抗原隔離と喘息治療を行いながら経過をみていますが、もしかしたらACIFが進展した病態をみているのかもしれません。


みなさんの患者さんのなかにも、もしかしたらこういった病態の患者さんがいらっしゃるかもしれません。この病態が分かったからといって、線維化した肺を元に戻すことができるわけではありませんが、そういった患者さんのなかには、過敏性肺炎(職業歴や居住環境の確認が大事!)や逆流性食道炎、膠原病や喘息が潜んでいる可能性があり、それに対して介入を行うことで、肺の線維化の進行を予防することに繋げられるかもしれません。場合によっては、喘息と思っている患者さんのなかに、この病態の方が隠れているかもしれません(実は喘息でなかったという・・・)。そういう意味でも、この病気のことを、ぜひぜひ知っておいてほしいなと思う今日この頃です。


参考文献:
1. Yousem SA, Dacic S. Idiopathic bronchiolocentric interstitial pneumonia. Mod Pathol. 2002;15:1148-5.
2. de Carvalho ME, Kairalla RA, Capelozzi VL, et al. Centrilobular fibrosis: a novel histological pattern of idiopathic interstitial pneumonia. Pathol Res Pract. 2002;198:577-83.
3. Churg A, Myers J, et al. Airway-centered interstitial fibrosis: a distinct form of aggressive diffuse lung disease. Am J Surg Pathol. 2004;28:62-8.
4. Fukuoka J, Tranks TJ, et al. Peribronchiolar metaplasia: a common histologic lesion in diffuse lung disease and a rare cause of interstitial lung disease: clfinicopathologic features of 15 cases. Am J Surg Pathol. 2005;29:948-54.
5. William D Travis, Ulrich Costabel, et al. An official American Thoracic Society/European Respiratory Society Statement: Update of the International Multidisciplinary Classification of the Idiopathic Interstitial Pneumonias. Am J Respir Crit Care Med 2013;188:733-748.
6. Pauline Pradere, Clement Gauvain, et al. Airway-Centered Fibroelastosis. A Distinct Entity. Chest. 2016;149:767-774.
7. Lilian Tiemi Kuranishi, Kevin O Leslie, et al. Airway-centered interstitial fibrosis: etiology, clinical findings and prognosis. Respir Res. 2015;16:55.
8. Johkoh T, Fukuoka J, Tanaka T. Rare idiopathic interstitial pneumonia (IIPs) and histologic patterns in new ATS/ERS multidisciplinary classification of IIPs. Eur J Radiol. 2015;84:542-6.
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by res81 | 2016-10-29 23:17 | 間質性肺炎 | Comments(0)

臨床と病理の架け橋シリーズ③ 細胞診講習会 〜中皮腫の診断〜

こんにちは、スタッフ228号です。
前の記事でAj先生も書いてくれていますが、昨日細胞診の講習会に出てきました
まさに病理と臨床の架け橋ですね!笑


講習会では当院病理科の大屋先生から教訓的症例を提示いただき、続いて日本医科大学の前田先生から、中皮腫の病理診断についてご講演いただきました。ということで、中皮腫に関して少し。


中皮腫・・・・


その診断には悩まされることもしばしばあります。


胸水から反応性中皮が検出されている。中皮種の可能性も否定はできなさそう。確定診断には胸腔鏡下に全層生検が必要、でも患者さんの全身状態は悪くてその検査はちょっと敷居が高い・・思い切って中皮腫として治療介入してよい!?


原因不明の胸水。画像所見ではあまり目立った所見がなく、胸水検査でも診断に特異的な所見はなし。反応性中皮が少しありそう。そうこうしていると一時的に胸水が自然に減少。胸腔鏡検査で胸腔内の観察を行い、異常所見があれば生検も行いたいけれど、でも、自覚症状も乏しいし、患者さんもイタい検査は嫌がっている。経過観察とするか・・・


こんなとき、あと一押し「中皮腫」っぽい所見があれば〜なんて思うことがあります。


でも、細胞診だし、これ以上の情報収集は無理か・・・


いやいや、細胞診はそこで終わりじゃありません、あきらめたらそこで試合終了です!!たかが細胞診、されど細胞診!!


病理所見の所見用紙のコメント「反応性中皮過形成」を見て満足せずに、臨床の立場として、これを見たら、以下のふたつに関して、病理の先生に聞いてみましょう〜


① 免疫染色


② p16遺伝子の欠失(ホモ接合性欠失)


① これは、講習会でも大事だな〜と痛感したひとつのことです。細胞診で免疫染色、というのが、やや結びつきにくい印象ですが、そんなことはないんですね!細胞診でも、細胞転写法セルブロック法を行えば、免疫染色は当然できるんですね!なので、反応性中皮をみた場合に、臨床側から免疫染色について、その必要性を問うてみるのはありかと思います。同じ「反応性中皮」でも、これは反応性でいいでしょ、という場合もあれば、中皮腫かもしれないなぁという場合もあるからです。特に後者の場合は、ぜひ免疫染色をしてもらいましょう!「反応性中皮」という言葉の裏に隠れた微妙なニュアンスを聞いてみることが大事だと思います。臨床側のマナーとしては、セルブロックの作製をお願いするにあたっては、どんなに少なくとも最低100mlは必要ですので、胸水穿刺時に、原因がはっきりしなさそうで、セルブロックを作ったほうがよい可能性があるのであれば、100ml以上は検体を採取して提出しておくようにしましょう!


免疫染色に関しては、こちらもご参考に! 悪性胸膜中皮腫病理診断の手引き


② p16遺伝子は癌抑制遺伝子として知られており、その欠損のため、細胞増殖を抑える機能が失われ、細胞が増殖(癌化)してしまうわけですね。家族性メラノーマや弧発性の肺癌(非小細胞肺癌)、グリオーマ、メラノーマなどで変異が確認されているようです。なので、他の癌との鑑別には使えませんが(その鑑別には免疫染色を使う)、反応性中皮ではほとんど検出されないため、反応性中皮 vs 中皮腫細胞 の鑑別に特に有用なわけです細胞診の標本から、p16遺伝子の欠失をFISH法で確認すればいいんです!!


講演会では、実際に、臨床情報+細胞診(+免疫染色)+p16遺伝子欠失で早期診断し、外科切除を行うことができた症例を提示していただきました。現時点では、細胞診のみで確定診断を行い治療方針まで決めるということは現実的には難しいと思いますが、細胞診が早期診断の一助となる可能性は十分ありそうです。病理レポートで「反応性中皮」というコメントをみた場合に、病理の先生方とディスカッションして、免疫染色やp16 FISHを行うべきか、検討することを心がけたいと思います。


中皮腫とp16遺伝子欠失に関しては、呼吸 2014; 33: 754-61. に詳しくまとめてあります。


ちなみに、中皮腫では労災補償以外にも救済処置があり、その認定は組織診断を行っていないと難しいイメージがありましたが、最近では認定された症例の約10%近くは、細胞診のみで認定されているそうです。なので、胸水穿刺以上の精査が難しいような場合でも、細胞診で免疫染色(+p16遺伝子欠失)まで行い、あきらめずに申請してみるのもありだと思います。


ちなみにちなみに、可溶性メソテリン関連ペプチド Soluble Mesothelin-related peptide; SMRP の血清診断としての有用性が報告され、昨年2014年9月に保険収載されたことも記憶に新しいです。これもひとつですね!


ただ、(株)LSIメディエンスの方に聞いてみても、p16 FISHやSMRPの検査依頼は、あまりないようです。p16遺伝子欠失は予後に(p16遺伝子欠失がないほうが予後がよい)、SMRPも予後や治療反応性の指標になる可能性も示唆されているため(Int J Biol Markers. 2011; 26(3): 160-65. J Clin Oncol. 2010; 28(20): 3316-22.)、もう少し検査依頼があってもいい気がします。ぼくたち臨床医の頭のなかに、こういった検査に対する認知度がまだまだ低いのもあるのかもしれません。



ということで、今日のメッセージ!!


病理レポートで「反応性中皮」という単語を見つけたら、臨床情報も交えながら、免疫染色とp16 FISHに関して検討しましょう!





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by res81 | 2015-03-09 00:26 | 中皮腫 | Comments(0)

病理の勉強会に参加しました!

みなさん、お久しぶりです。
スタッフのAj+228号です。ブログ委員をやっています!どうぞよろしくお願いします!

3月7日(土)
細胞診の講習会に参加しました。

当院の検査技師さんから参加する機会を頂きました!

この講習会は福岡県細胞学会主催となっている会です。
今回LSIメディエンス 理・細胞診センター所長 前田先生に、
「臨床に呼応した細胞診のあり方」について、悪性中皮腫を中心にお話頂きました。

当施設ではROSE(rapid on-site evaluation)を、気管支鏡施行時に用いております。
まだまだ勉強不足で十分な診断は出来ていませんが、この取り組みのおかげで臨床だけでなく病理分野にも視野広げ、
患者さんのためになればと日々頑張っているところです。228号先生は、病理学教室に6か月国内留学していたため、心強いです!
さらに!!放射線科にも国内留学をしたスタッフもおり、病理!画像!それぞれ勉強してきた先生が集まっているので、とても頼もしいです。

今回の講演は、普段とは違う視点から中皮腫を学ぶことができ、とても勉強になったととも刺激になりました。。
なかでも、前田先生がおっしゃていた
「病理は、悪性の有無だけでなく、どこが原発なのか?これを追及するとともに、予後まで推測できるように頑張っていくべきです。
もちろん、診断がつかないこともある。そこは、鑑別不能とし、臨床所見・画像所見を参考にし、診断に迫る必要がある。」

この言葉にはすごく感銘を受けました。臨床をしている私たちも、もっともっと頑張らなければと刺激されました!!
分野の違う勉強会に出ることはとても大切ですね。
今回、このような機会を頂いた検査技師さんに感謝です。これからもよろしくお願いします。いつもたくさん教えて頂きありがとうございます。

また、質疑応答も活発で、皆さんプライドをもって仕事をしているのだなと、すごく感銘を受けました。

それぞれの分野の皆さんの努力のうえに診療は成り立っているのですね。改めて感じた日でした。

熱く語ってすみません。写真もなく、絵もありません。ごめんなさい。

最後に、3月5日にスピリーバの喘息適応記念講演会も行われました。これについては、今度じっくり書きますね。

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by res81 | 2015-03-07 20:56 | 学会・研修会 | Comments(0)

2014年当科の取り組み:迅速細胞診

はじめまして。新米スタッフの1128です。
一昨年から後期研修医としてお世話になっており、今年度からスタッフとして採用していただきました。
TB先生や228先生のようにスマートにはいきませんが、ご容赦ください。

今年度から気管支鏡検体に対して迅速細胞診を行うようになりました。
開始したばかりで確定診断までは至りませんが、検査技師さんに指導していただきながら学んでいます。

実際にはこんな感じです。
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呼吸器科医の迅速細胞診に関する論文です
CHESTより
The role of the pulmonologist in rapid on-site cytologic evaluation of transbronchial needle aspirationy.
Chest. 2014;145(1):60-5.


Introduction
Rapid on-site cytologic evaluation(以下ROSE)のメリットとしては、気管支鏡検査において検体の情報を提供することができる。検体が適切な場合は手技の終了が可能であり、また、不適切な場合は、手技の修正やターゲットの修正が可能となる。しかし、ROSEは時間・資源の問題から広く普及していない。この問題を克服するために、呼吸器科医が細胞診のトレーニングを受けることが望ましい。

background:
細胞診検体に対するROSEは肺/縦隔リンパ節のTBNAにおいて補助的な技術である。今回の目的としては、細胞診のトレーニングを受けた呼吸器科医が病理医と比較し、TBNA検体を適切に評価できるかどうかを検討した

method
2010年4月-2011年6月の間で少なくとも1つは肺門/縦隔のリンパ節腫大や腫瘤のある患者84例に対してTBNAを施行した。TBNAはベテランの呼吸器内科医2名が担当し、各病変から4回穿刺を基本とした。3ヶ月間の細胞診のトレーニングを受けた呼吸器科医と病理医がROSEを行い、細胞診検体をパパニコロウ分類のC1-C5に分類した。一致率に関してはκ統計量で評価した。また最終診断からROSEの感度・特異度・正診率を算出した

result
84例のうち男性が60例で女性が24例であった。合計362例のTBNAが施行された。観察者間一致率(table3)に関しては、全体で81%(κ:0.73)であり、悪性(C5)においては92%(κ:0.81)と高値であった。またROSEの感度/特異度/正確さに関してはtable4の通りであり、呼吸器科医と病理医のROSEの正確さに有意差を認めなかった。
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Discussion
一人の病理学者ではバイアスが生じてしまう。また呼吸器科医の教育システムの再現性が困難である。呼吸科医の教育カリキュラムの中に細胞診のトレーニングを入れることも一つの方法かもしれない。

conclusion
トレーニングを受けた呼吸器科医は細胞診検体を適切に評価できる。呼吸器科医がROSEを行うことにより、手技のコストも下げることができるかもしれない。またROSEへの病理医の関与が難しいという問題を減らすことができる。

今後もROSEを継続して、手技時間の短縮や正診率の向上につながればと思います。
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by res81 | 2014-04-12 21:50 | 気管支鏡 | Comments(0)

臨床と病理の架け橋シリーズ② ちょっとしたすりガラス影の奥深さ

スタッフ228です。
早いもので、もう新年も一ヶ月を過ぎようとしています。
いろいろブログに記載したいネタはあるのですが、いざ載せるとなると、ちょっとパワーがいりますので、ついつい後回しになってしまい時間が過ぎてしまい・・・(. .)> すみません、言い訳です。がんばりますので、どうぞよろしくお願いします。

ということで、今日は、架け橋シリーズ第2弾です(やっと第2弾・・・笑)!!
あまり学術的な内容ではありませんが、ちょっとした感動というか発見を共有できればと思っています。

症例は、元重喫煙者の80歳男性で、左肺下葉に扁平上皮癌をきたした方。
手術適応があり、左肺下葉の切除術が行われています。
ちなみに、検診異常で発見されており、自覚症状はほぼありません。

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赤矢印が扁平上皮癌でした。
続いて、非癌部をみていきたいと思います。

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どうでしょう?みなさんは、癌の病変以外にこのCTの異常所見はとりますか?
ちょっと拡大してみます。

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すると、上肺野では、小さい嚢胞みたくなっている部分や胸膜直下の小さい結節(micro-nodule)が分かります。
下肺野では、背中側にあわ〜いすりガラス陰影、線状影がみられます。重力の影響もあるかもしれませんが、重力だけではない感じがします。

さらに、もう少し下肺野のほうをみていきます。

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1:脾臓がみえてきました。少し線状影が強くなってきた気がします。
2:むむっ!!小さい穴の集簇がみられます(*1)写真では連続性が確認できませんが、気管支とのつながりがありそうなので、拡張した気管支でもよさそうです。胸膜からは若干距離もありますし、蜂巣肺(honeycomb)と言うのは、ちょっと無理がありそうです
3:すりガラスと線状影、穴みたいな構造も少し見受けられます。
4:上葉(舌区)には嚢胞がみられます。

ということで、胸膜直下、特に下肺野背側優位に、ちょっとした陰影(すりガラス〜線状影)がある、という感じ。
2011年のIPFのガイドラインに当てはめると、possible UIPくらいでしょうか。

UIPかもしれないし、そうじゃないかもしれない・・・

では!!

左の下葉を切除検体とも照らし合わせてみてみます!!

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どうでしょう??
すりガラスぽかった部分は、肉眼では少し白っぽく見えます。
(幾分ズレがありますが、ご容赦ください)
穴があるようにも見えます・・・

この部分の病理をみてみると・・・

な、な、なんと

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けっこう線維化がしっかりあって(ピンクの部分は、もともとは肺胞組織だったものが、その構造が破壊され膠原線維や平滑筋に置換されたものです)、線維化に囲まれた細気管支〜肺胞の拡張、つまりhoneycombがみられます!!

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この部分なんかは、fibroblastic focusがっ!!
fibroblastic focusは、幼弱な線維芽細胞から成る微小病変で、しばしば線維化病変と正常肺との移行部にみられ、線維化がactiveな状態であることが示唆される所見です。
fibroblastic focusがたくさんある場合(複数形はfibroblastic foci)、それだけ線維化の進みが速い可能性があり、予後とも関連すると言われています。

ということで、病理学的にみると、けっこうしっかりとしたUIPパターンなんですねぇ

ちなみに、CTでNSIPっぽいと思っていた症例(すりガラス陰影が主体)のうち、約3割は後々IPFみたく変化していった、という報告が知られています。Radiology. 2008; 247(1): 251-9.
 
つまり、間質性肺炎の初期のすりガラス陰影って、実際はUIPの初期像なのか、NSIPなのか、それともそれ以外の間質性肺炎なのか、その同定が難しいことも多いっていうわけですね。



・・・・ちなみに、この方は、特発性肺線維症 idiopathic pulmonary fibrosis (IPF)といってよいのでしょうか?

病歴上は、明らかな誘因はなさそうなので、特発性でよさそうですが。
80歳と高齢ですし、自覚症状も乏しい。IPFの典型例ではなさそうです。
術後も特に問題はなく経過しています。術後急性増悪もないようです。

臨床的に問題がないとすれば、無理にIPFと診断しなくてもいい気もします・・・
もちろん引き続き術後の経過をみていく必要はあるわけですが。

もしかすると、喫煙や癌による非特異的な線維化、なんかもあるのかもしれません。

結論、IPFなのかは分かりませんっ!!
(とりあえずIPFの範疇に入れておくことになるかと思いますが)



ちょっとモヤモヤした感じで終わりを迎えようとしていますが、今日のメッセージとしては「ちょっとしたすりガラス陰影が実はUIPパターンだったりする」ということです!!

この症例の病理像をみたとき、ぼく自身はけっこうな衝撃でした。
え?こんな程度の影で、こんなに線維化があるの?へぇ〜〜〜
みたいな
なかなか伝わりづらいかもしれませんが・・・笑



外来では、ちょっとしたすりガラスが、経過を見ていても全然変わらない人もいれば、少しずつ進んでいく人、けっこう速い経過で進んでいく人がいたり・・・

進んでいく人っていうのは、たぶんUIPパターンを呈していて、のちのちhoneycombがCTでも顕在化してくるんでしょうね、おそらく

今回は病理学的な立場からみてみましたが、CTでの経過をみてみたい方は、われらがTB先生が以前に記載したこちらのブログ記事もみてみてください〜

いやぁ、すりガラスって、ほんと奥が深いです







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by res81 | 2014-02-03 23:04 | 間質性肺炎 | Comments(0)

臨床と病理の架け橋シリーズ① Micropapillaryの脅威

スタッフ228です
病理学の修行に出て、はや3ヶ月が経ちました
学問的な発見もさることながら、いろいろな方ともお会いでき、
刺激的な毎日です
少しアウトプットもしていこうと思い、新シリーズを立ち上げました!
「架け橋」なんてかっこいい言葉を使いましたが、
要は、ぼくが修行に出てきて学んだことで、へぇー(←古いっ)と思った
ことやちょっと感動したことなんかをアップしようかと思っています

さて、記念すべき1回目は、肺腺癌の話です

肺癌を担当される方であれば、ほとんどの方が知っていると思いますが、
2011年に腺癌(Adenocarcinoma)の分類が変わりました
d0264356_0235791.png

それまで一般的に使用していた「BAC」という言葉がなくなるんだ、
ということが知れ渡りましたが(実際には未だに昔のBACとか言いながら
使い続けていたりしますが)、実際に病理をみたことがないと、いまいち
ピンとこない方も多いのではないでしょうか?
早期の腺癌であれば、まず手術が第一だし(外科任せ)、逆に進行期の
腺癌では、遺伝子だったり化学療法の内容を考えることも多いため、
形態学的にどうのこうのは、そこまで意識しなくても日常臨床は行える
ことが多く、実際にぼくもいまいちピンときていませんでした

この分類についてもまとめたいなとは思っていましたが、今回は、
この中でも特にぜひ知っていただきたいMicropapillaryについて、
記載することとしました

Micropapillary、つまり微小乳頭です
腫瘍細胞が微小な乳頭状に増殖している様を表しているわけですが、
まずは普通のpapillary(乳頭状)から
d0264356_1163130.png

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papillary、伝わるでしょうか?
図は自作です!
写真は論文から、無理矢理拡大したのでやや見づらい点、ご了承ください…

続いて、Micropapillaryどうぞ
d0264356_0384658.png

d0264356_03957.png

やはり写真が見づらくて申し訳ありません
なんとなく違いが伝わるでしょうか?
Micropapillaryって、なんかパラパラ散らばりそうじゃないですか?


ここで、一例症例を提示します
d0264356_040851.png

矢印のところに肺癌、肺腺癌が見つかりました

手術で左肺上葉が切除されました
病変部付近のCT、肉眼所見、組織検体(H-E染色)を提示します

d0264356_0424232.png

CTや肉眼写真も無理矢理拡大したので、ややぼけてます
部位も若干ズレていますが、ご了承ください…

さて、病変部の拡大像です!!
d0264356_044336.png

これぞ、まさしくMicropapillary!!

問題はこの次です
腫瘍細胞に免疫染色で色をつけてみました
d0264356_046666.png


すると、、、、
d0264356_0465435.png

あれ?こんなところに腫瘍細胞が…

↓の青丸のところで見つかりました!!

d0264356_0474833.png

こ、こんなにも離れたところに!?

しかも、1カ所だけではありません!!
(さらには、別の標本からもちらほらと見られました、なんと!!)
d0264356_0502445.png

CTで見ても、まったく分かりませんっ!!
当然、術後に周辺肺を観察することで、判明したのです

なんといっても、Micropapillaryはパラパラしていますから、
どうやら非常に散らばりやすい
ようです

実際に、他の癌種では、すでにMicropapillaryは予後不良因子であることが
知られており、最近になり、肺癌でもそれが言われています
(先のクラス分類の論文にも明記してあります)
Micropapillaryの成分が含まれている場合は、もしかすると認識している以上
に散らばっているかもしれないわけで、ともするとそれが術後の再発のリスク
にもなりうるかもしれません
I期で完全切除が望める場合でも、実はMicropapillaryだと再発率が高かったり、
5生率も60-70%とする報告すらみられます

たちが悪いことに、術前には分かりませんので、どうしても病理評価が重要に
なります
Micropapillaryの成分が含まれる場合には、病理医はより慎重に周辺肺を評価
しなければなりませんし、臨床医も補助療法を考えるにあたって、頭に入れて
おくべき点のように思います

先の症例では、実際に外科の先生にも顕微鏡を覗いていただき、この散らばり
を見ていただきました
その上で、補助療法について検討いただきました

ということで、新シリーズ、記念すべき第1回、
ぼく自身もとてもびっくりしたMicropapillaryについてお話しました
臨床医としても、たとえ腺癌の分類がいまいちピンとこなくとも、
Micropapillaryの成分が多いときは要注意、ということをぜひぜひ
覚えておきましょう!!

それではー
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by res81 | 2013-11-09 01:25 | 肺癌 | Comments(0)