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飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ13名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+専攻医4名+特任副院長1名(R5年4月現在)で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、専攻医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
ktobinoh2@aih-net.comまでご連絡ください。

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日本肺癌学会Preceptorship Programに参加して

こんばんは。国内留学中でご迷惑をおかけしておりますYです。
国内留学については、書きたいことが多すぎてまとまりませんので、またの機会に書かせてください。

先週末、肺癌学会が初めて企画されたPreceptorship Programに参加してまいりましたので、今回はその報告をさせてください。

この企画では、次世代を担う全国およびアジア各国の若手医師のためにと、肺癌診療の最前線で活躍されている先生方が集まってくださいました。2日間みっちりと、全て英語で行われます。香港のTony Mok先生、韓国のMyung-Ju Ahn先生を初め、学会の壇上で拝むことはあっても、ともにディスカッションをでする日がくるとは思いもしませんでした。総会の演者全員を2日間、一部屋に詰め込んだような贅沢な状況でした。

講演では病理、放射線診断・治療、内科・外科治療について最新情報のほか、まだ研究途中のデータや、今後の方向性も交えた講義や意見交換が行われました。またPro-Conディベートでは①EGFR遺伝子変異症例への一次治療にオシメルチニブを使うかどうか、②N2例の手術適応、②EGFR遺伝子変異例への免疫療法の適応 についてグループ対抗で議論が行われました。ディベートのためにグループの先生方と深夜までとことん話し合った時間が、何よりも豊かでした。肺癌診療の切り札が増えるなかで、どう選択していくのか、考えさせられる時間でした。

肺癌もさることながら、個人的には、Tony Mok先生による、リーダーとしてのキャリア形成のお話に感銘を受けました。「TKIの講演をするより何倍も準備が大変だった」と言われていましたが、確かにMok先生からキャリアに関するお話を伺うのは新鮮でした。呼吸器腫瘍のリーダーになるには、という話ではありましたが、どの分野にも共通することと思いますので、少し共有させてください。

リーダーシップとは「人を動かす力を持つこと」だと言われていました。そのためには①どう考えるか、②どう仕事をするか、③どう発信するか が大切です。①考え方については、まず前向きに考えること(Forward thinking)。それも楽観的ということではなく、将来を見据えて考えるというような意味に感じました。現在何が標準であるかにとらわれず、今後何が大切になってくるかを見据えて行動すること。そのためには勇気、感情的知性と落着き、論理的な計画性、そして献身的な姿勢を怠らないことです。もう一つは批判的に考えること(Critical thinking)。与えられたことを漫然と引き受けてただ指示に従うのではなく、そのやり方が本当に正しいのか?本当に向かうべき方向なのか?常に問い続けることです。

②どういう仕事をするか。とくに研究や論文執筆の際、いかに新しいことを発信していくか、そのために先ほどの考え方をもとに、意見を論理的に述べること人と違うことを気にしないこと人間関係を大切にし(例えば学会などで知り合った先生とも)こまめに連絡を続けることが大切です。

そして③どう発信するかですが、せっかく取り組んだ仕事も発信しなければそこまでです。発表や講演などで相手に伝えるとき、ただ事実を連ねるのではなく、「物語を相手に届ける」ことを意識します。印象的でメッセージ性のあるタイトルをつけようという点から始まり、発表の構成、アイコンタクトやジェスチャーなどの非言語的コミュニケーションや参加者の惹きつけ方など、すぐに取り入れたい知恵が詰まっていました。

Mok先生は著名な先生ではありますが、目線が常にベッドサイドにあるところに、何よりも共感しました。会場内で議論が白熱しだすと「それをして臨床がどう変わるのか」「患者さんのためになるのか」と幾度となく指摘してくださいました。肺癌についても(根治や根絶のみを目指すのではなく)「医師としての仕事は、患者さんがより長く、よりよく生きられるよう最善をつくすこと」というスタンスも、大変納得できるものでした。

充実の2日間の最後には、恐縮ながら敢闘賞をいただきました。参加前後の試験成績から計算した「伸び率」で表彰してくださったのですが、つまりお恥ずかしいことに、事前試験の出来の悪さの象徴です。おそらく最も経験年数も浅く、趣旨にそぐわない参加者だったかもしません。好奇心から参加してしまいましたが、講師陣かと思うような参加者の方々に交じらせていただき、刺激を受けたことは間違いありません。

この企画は肺癌学会の会員宛にメールで何度か募集があったのですが、これを知ることができたのも、飯塚病院呼吸器内科に入ったときに学会に入会させてもらったおかげでした。あらためて、いろいろなことに触れる機会を与えてくれる(=学会費も出してもらえる)当科に感謝しております。

当科は、得意分野を伸ばす好きなことをとことん頑張らせてもらえる)ことが素晴らしいということを以前、このブログでも語ったかと思うのですが、まだ得意・好きとは言えない分野にも、広く触れる機会を持たせてもらえることも、我々若手にとっては貴重なことだと思いました。飯塚の皆様、いつも本当にありがとうございます!
日本肺癌学会Preceptorship Programに参加して_d0264356_22581616.jpg


by res81 | 2017-11-27 23:09 | 学会・研修会 | Comments(0)
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