飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

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ジャーナルパトロール:論文ななめ読み① DYNAGITO試験(Lancet Respir Med 2018; 6: 337–44)

スタッフのTBです。
本日も脳の筋トレです。

  論文は
   時間を決めて
      数を読む  
  (TB、心の一句)

筑波大学の落合陽一先生もおっしゃってますが、
我々臨床家にとっても重要と心にしみております。

とにかく数をこなすには、斜め読みのスキルが重要です。

私の方法は、各月の各雑誌の掲載論文を分野ごとに整理し、
それぞれの分野の論文を

①Abstractから論文の構成を理解
②Conclusion付近(特にLimitation)から結論と問題点を把握
③M&Mの患者選択基準から臨床応用可能性について検討

の順序で読みます。

細かく読む必要がありそうなものにチェックをし、ひとまず終了。
1日1時間で5-6本読めれば週に25本以上はいく、という計算です。
いかがでしょうか?

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さて、このシリーズでは
「論文の結果が果たして我々の日常臨床に応用可能なのか?」
最も重要なポイントである"患者選択基準"にfocusして検討してまいります。

では、Lancet Respir Med 2018年4月号に掲載されたDYNAGITO試験について。
-------------------------------------
DYNAGITO試験は、LAMA/LABAがLAMA単剤に対してCOPD増悪抑制効果を示すか、を検討した初めてのRCTです。
先ほどの読み方に従って進めます。
早く読むため、英語と日本語のごちゃまぜですがご容赦ください。

①Abstractから構成を理解
Design: Double-blind, randomised, parallel-group, active-controlled trial
P: COPD with a history of exacerbations
I: tiotropium-olodaterol 5 μg-5 μg
C: tiotropium 5 μg once daily
*Patients using inhaled corticosteroids continued this therapy
O: Rate of moderate and severe COPD exacerbations
*From the first dose of medication until 1 day after last drug administration
 (52週)
Results:
・9009 patients were screened from 818 centres in 51 countries
 →Recruited 7880 patients (日本人461例) 
  mean age 66・4 years [SD 8・5]
  5626 [71%] were men
  mean FEV1% predicted 44・5% [SD 27・7]
 →3939 received tio-olo vs 3941 tiotropium
・The rate of moderate and severe exacerbations
  tio-olo 0.90 ≦ tiotropium 0.97
 *Rate ratio (RR): 0.93, 99%CI 0.85-1.02; p=0.0498
 →Not meeting the targeted 0.01 significance level
  (あえて厳しめにしたとのこと)
・Adverse events was similar between treatments.

②Conclusion付近
・Tio-olo did not reduce exacerbation rate as much as expected compared with tiotropium alone.
・However, there were larger improvements in some subgroups of patients, such as those receiving triple therapy at baseline, and in exacerbations that required oral corticosteroids.  
(増悪抑制効果は、Tio-Olo合剤がTioを大きく上回ると予想していたが、そこまでではなかった。trial前にICS-LAMA-LABAを使っていたような患者では良さそうだけど…という感じ)

③さて、Inclusion/Exclusion criteriaを詳しく。日常臨床で判定可能か否かで〇×をつけています。
<Inclusion criteria>
・40歳以上→〇
・COPD→〇
・10 pack-years以上の喫煙歴→〇
・気管支拡張薬使用後のFEV1/FVC<70%かつFEV1%pred.<60%
 →〇(中等症~重症狙い)
・中等~重症の増悪を過去1年に1回以上(全身ステロイド、抗菌薬、
 もしくは両者を要する. 入院の有無は問わない)→〇
・Trial前4週間は安定している→〇
・レスピマットが使用できる→△(確認が難しい…)

<Exclusion criteria>
・血算・生化学・Cre(正常上限2倍以上)などの異常→〇
・喘息→△(完全な除外は難しい)
・アレルギー性鼻炎・アトピーがある人は喘息の除外を行う
  →△(完全な除外は難しい)
・甲状腺機能亢進症→〇
・致死的不整脈→〇
・活動性結核→〇
・悪性腫瘍(5年以上再発がないことが確認されてない)
 *皮膚の基底細胞癌・扁平上皮癌はOK
  →〇
・症状のある気管支拡張症→〇
・6カ月以内に気道インターベンションを行った肺気腫
  →〇
・6カ月以内の心筋梗塞→〇
・嚢胞性線維症→〇
・アルコール・薬物依存症→〇
・開胸肺切除後→〇
・経口または内服β刺激薬使用→〇(日本には多い)
・4週以内に内服ステロイドの用量調整あり→〇
・PSL≧10mg/日以上もしくは20㎎/隔日服用→〇
・4週間以内に抗菌薬使用→〇
・3カ月以内にPDE4阻害薬使用→〇
・治験薬を1か月もしくは半減期の6倍以内の期間に使用→〇
・β刺激薬もしくは抗コリン薬、レスピマットの添加物
 {ベンザルコニウム塩化物(BAC), EDTAなど}に過敏症あり
  →〇
・妊娠中または授乳中の女性→〇
・妊娠の可能性のある女性→〇
・他のスタディに参加している→〇
・服薬制限に従うことができない→〇

という事で、日常臨床で接する多くの中等症以上のCOPD患者さんには適応できそうです。
アドヒアランスは永遠の課題ですが。

<Trial中のポイント>
・ICSを使用している患者はそのまま継続
・ICS/LABAを使用している患者は同力価のICS単剤へ変更
・レスキューとして、Open-labelのサルブタモールを供与
 (他の薬剤使用は禁止)

④気になった部分掘り下げ
<triple theapy群の患者で増悪抑制効果が高い>
・ベースラインでLAMA/LABA/ICS使用患者が3132例と最多!
 ちなみに次はICS/LABAの2036例…やはり日本とはちと違う
・ベースラインtriple therapy群では、増悪抑制効果は
  tio-olo>tio(Rate ratio 0.847, 95%CI 0.766-0.936)
・他のベースライン治療法(LAMA/LABA、各単剤治療)の患者では、
  増悪抑制効果はtio-olo≒tio。
 ➤ triple therapyは日本でこんなにいないでしょうし、
  そのような患者さんをあえてstep downしないでしょう

<ICS使用患者が多すぎる>
・ベースライン治療に何らかの形でICSが入っている患者は
 5534/7880=70.2%(スゴイ!)
・これらの患者群では年間増悪回数は tio-olo ≒ tio
 (0.97 vs 1.07, Rate ratio 0.911, 95%CI 0.841-0.988)
 ➤triple therapy群が引っ張っているのでしょう

<吸入療法を何もしていなかった患者では?>
・ベースラインで吸入薬使用歴なし435例の検討では、年間増悪回数
 tio-olo ≧ tio(0.47 vs 0.62, RR 0.757, 95%CI 0.523-1.095)で惜しい

<両群の治験中止率に少し差がある>
・tio-olo 12.4% vs tio 16.5%
 ➤ベースラインでtripleの人やLABA/LAMAの人もいるので、
  そりゃそうかも、という感じ

⑤理解
・吸入薬未使用患者さんでは、tio単剤よりtio-oloでスタートの方が
 年間増悪回数抑制効果が見込めるかも
・LAMA/LABAのダブルが既に入っている場合、tio-oloにでもtioでも
 増悪率も変わらず、治療中断率(両群とも12%程度)も変わらない
・triple therapyが入っている場合、tio-ICSにステップダウンはダメ

 いかがでしょうか?

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by res81 | 2018-05-26 11:41 | ジャーナルパトロール | Comments(0)
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