飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医3名(H30年4月現在)+特任副院長1名で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

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ヨーロッパ嚥下学会(ESSD)の様子(慢性呼吸器疾患と嚥下障害)

アイルランドよりこんばんは、スタッフのYです。

ヨーロッパ嚥下学会も中盤になりました。実はこの学会、ラグビー好きには聖地ともされるAVIVAスタジアム内にある、記者会見のようなスペースで開かれています。

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なんと昼食やポスターの会場は、スタジアムを見下ろせる通路で、解放感たっぷりです。ポスターは学会期間中は貼りっぱなしなので、日々見てもらえて、作った甲斐があります。

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これまで行かせていただいた呼吸器関連の国際学会は規模の大きさに圧倒されていましたが、飯塚病院で毎年行かせていただいているうちにいつしかそのスケールに慣れていたところもありました。ヨーロッパ嚥下学会では講演は一部屋でのみ行われており、日本では地方会でも何部屋も同時進行で発表が行われることを思うと、案外こじんまりとした会だなと初めは驚きました。
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けれど参加してみてすぐにわかったのは、だからこそ議論が活発に行えて面白いということです。多職種多国籍の方々が一部屋に朝から晩まで一緒にいるので、自然と生まれてくる一体感のような、だれが演者で誰が聴講者かという境界線も感じにくいような、距離の近さでした。
集中治療や慢性呼吸器疾患領域における嚥下障害の話題も多く、とくにCOPDにおける嚥下障害の評価やケア、そして栄養管理などについてまとまって学べたのは貴重な機会でした。


集中治療領域では、ICUにおける嚥下障害の頻度の多さと嚥下評価や嚥下障害を起こさせない工夫の必要性を詳細に学びました。気管挿管時に予想以上に咽喉頭の損傷があり、20-90%に抜管後嚥下障害がみられます。うち80%では誤嚥を来し、その83%は不顕性誤嚥であるということですので、ベッドサイドでのスクリーニングでは気づけない可能性も高く、注意が必要そうです。しかし抜管後の嚥下障害は24時間以内に劇的に回復する例が多く、嚥下評価のタイミングは難しい(抜管後早期の評価を基準に絶飲食を長期化させてはいけない)とのことでした。集中治療領域における鎮痛鎮静や循環動態の管理にはガイドラインがあるのに嚥下障害については定まったものが何もなく(一日も早く抜管することが嚥下障害にはよいということは共通しているものの)、症例ごと、施設ごとに丁寧な対応が重要になります。


また気管切開後、人工呼吸器からのウィーニングに関しては一般的に行われていますが、カニューレ抜去に向けたウィーニング、つまり分泌物や嚥下を照準としたカニューレ離脱への試みについては私自身あまり積極的に考えられていなかったことを気づかされました。とくに、気流が絶たれた声帯へ空気を流すことは重要で、気管カニューレのカフ上部用の吸引管から酸素を流す方法は訓練になるのみならず、人工呼吸器を使用しながらも発声を可能にさせるコミュニケーション手段(精神面への配慮)としても注目されており、活用してみたいと思いました。

慢性呼吸器疾患に伴う嚥下障害に関しては近年関心も高いものの、多因子が関与しており全身状態不良のことも多いため訓練に難渋します。COPDでは嚥下の前後に吸気が入りやすいことが知られており、これは当科でも共同研究をさせていただいているテーマです。またCOPD、頭頚部癌治療後では嚥下時の肺気量が通常より多いため、嚥下障害が出るようです。頭頚部疾患治療後(中には10年程経過した患者でも)どの程度息を吐いた時点で嚥下をするか(嚥下時の理想の肺気量)を訓練で習得することができ、実際にQOLがかなり改善しているようです。実際に動画でその変化を目の当たりにし、今後COPDにも応用できればと願うばかりです。


講演後に演者の先生方に、日常臨床や自身の研究で感じている葛藤や疑問も恐る恐る相談してみたところ、大変あたたかく相談に乗ってくださいました。いかに臨床場面で注意深く観察するか、現場にあるもので頑張るか、という姿勢に、臨床に限りなく近い学会であることを感じました。実は3年間に学会で来日されていたアメリカの言語聴覚士さんの話を聞いて呼吸と嚥下の協調性に興味を持ったことが今の研究へのきっかけだったので、このタイミングでまたお会いでき、とても励みになりました。

国際学会でありながら気さくに人と出会える暖かさに感謝して、控えている発表を頑張りたいと思います。

曇りがちなアイルランドですが、今日は晴れていたので、今回同行させていただいている先生方と玄関で記念撮影できました。
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by res81 | 2018-09-28 23:41 | 学会・研修会 | Comments(0)
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