飯塚病院呼吸器内科のブログ
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医3名(H30年4月現在)+特任副院長1名で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

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咳嗽シリーズ① 咳嗽の機序

スタッフのTBです。

最近咳嗽について再勉強しましたので、実際的な所を少しずつアップしていきたいと思います。

とは言え、病的咳嗽がなぜ起こるのか?、を知らずしてその後の話はできませんので、本日は咳嗽の機序について軽くまとめます。

咳嗽とは
「気道内に貯留した分泌物や吸い込まれた異物を気道外に排除するための生体防御反応」

・・・当たり前と言えば当たり前、ですね。

では、咳が起こる機序を図示します。
Lancet 2008; 371: 1364–74より。
d0264356_417371.png

咳を起こす発端となる神経受容体は、迷走神経の終末枝です。図のの部位に分布しています。咽頭や喉頭では「上喉頭神経」と名付けられていますが、これも迷走神経の分枝です。
(以下追記 20150609)
   ↓
ここに加わった刺激は電気信号に変換されて、延髄孤束核の咳受容体に届けられます(図の点線部分)。また、大脳皮質にも信号が届けられ、相互作用が起こり遠心性に喉頭筋や呼吸筋に刺激が伝達され(図の実線部分)、咳嗽が生じます
ここでポイントですが、迷走神経の刺激がなくても、大脳皮質自体は咳中枢に刺激を送ることができるため、咳を起こすことができます。習慣性咳嗽(くせになっている)、心因性咳嗽(緊張すると咳が出る)などの原因はこれです。

次に、気管支のミクロ解剖と、咳を起こす経路を図示します。
またLancet 2008; 371: 1364–74より。
d0264356_4162935.png


微妙に経路が異なりますが、最終的には迷走神経が刺激されて咳嗽が起こります。
咳受容体として、以下の2つが想定されています;
 A. Aδ線維(迷走神経)の終末受容体(rapidly adapting receptors: RARs)
   ・機械的な刺激に直接反応
 B. 無髄神経線維C線維の神経終末
   ・炎症時に放出されるメディエーターや粘液がC線維終末を刺激
     →タキキニン・カルシトニン-gene関連ペプチドを分泌(特にサブスタンスPがメイン)
       =軸索反射
     →RARsが刺激される
             (THE LUNG perspectives 2013;21:329-333)
     (追記終わり)

病的咳嗽の機序を以下にざっとまとめます。
A. 気道壁表層(粘膜)を刺激する病態
①刺激亢進:生理的反射・・・異物、ガス、過剰分泌などが原因
②炎症によるもの:非特異的な機序
 →炎症により無髄神経線維(C線維)がタキキニン・カルシトニン-gene関連ペプチドを分泌(軸索反射)
  (特にサブスタンスPがメイン)
 →咳受容体(Aδ、迷走神経)が刺激される
 →延髄の咳中枢へ


 この範囲は正常の反応と言えると思います。

B. 咳受容体の感受性亢進
気道表層の神経であるC線維もしくはAδ線維が過敏になった状態を言います。 
*咳受容体感受性亢進と気道過敏性(=喘息)とは、意味が異なりますのでご注意を。

(20150609追記)
C線維の活性化によるAδ線維受容体の刺激が、咳受容体の感受性亢進機序の大きな役割を担っていると言われています。

[C線維の活性化の機序による分類]
(C線維に存在するトランスポーターや受容体を介した刺激経路で分類しています)
●transient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)の活性化を介する
 ・アナンダミドトランスポーター:NOによる活性化
  気道炎症=アトピー咳嗽、喉頭アレルギー、GERDなど
 ・EP2,FP受容体:COX2→プロスタノイドによる活性化
  気道炎症=アトピー咳嗽、咳喘息、喉頭アレルギーなど
 ・ブラジキニンB2受容体:ブラジキニンによる活性化
  ACE阻害薬、GERDなど
●TRPV1の活性化を介さない
 ・TTX抵抗性Naチャネル
  多くの慢性咳嗽に関与
 ・TRPA1:タバコ煙、排気ガスなどで活性化
  GERD以外の多くの慢性咳嗽に関与
 ・ASCIs:プロトンにより活性化
  GERD
      (THE LUNG perspectives 2013;21:329-333)
*Aδ線維はATP受容体を介して直接刺激されることも報告されており、
  アトピー咳嗽などで重要な経路とも考えられています
  (日薬理誌 2008;131:429-433)

 (追記終わり)
①炎症(アレルギー性?):アトピー咳嗽、非喘息性好酸球性気管支炎
②下部食道の迷走神経刺激→咳受容体感受性亢進:GERD
③ACE阻害薬によるサブスタンスPの増加
④その他に、後鼻漏による咳嗽、喉頭アレルギー、
        かぜ症候群後持続性咳嗽(いわゆる感染後咳嗽)、
        などでも咳受容体感受性亢進の報告あり

C. 気道平滑筋の収縮
①平滑筋収縮による平滑筋内の知覚神経刺激:喘息、咳喘息
*咳受容体感受性の亢進は無いか、軽度と言われています

D. その他の迷走神経を刺激する病態
①下部食道の迷走神経刺激:GERD
②耳への刺激:耳にも迷走神経が分布!耳かきで咳が出ることがあります。

E. その他
①大脳皮質による咳中枢刺激:心因性、習慣性


ややこしかったでしょうか?
次回以降は、実際的な咳の臨床についてまとめていきます~
# by res81 | 2013-07-05 05:36 | 咳嗽 | Comments(4)

COPDと肺気腫と慢性気管支炎と気管支拡張症と・・・その②

どうも、スタッフ228です。誕生日が〜・・・

さて、前回、ぼくは、「喫煙+咳嗽喀痰(あるいは呼吸困難)➡COPD」という風に、簡単にCOPDと診断して満足してしまう流れは、あまり好ましくないなぁと感じていて、気管支拡張症とか案外隠れていて、気管支拡張症にも何か原因があるんだよ、という認識が大切、みたいなことを記載しました。

が、これは、あくまで当院のような比較的大きな病院で働いている一呼吸器内科医の意見に過ぎないのかな、ということに最近気付きました。

地域の病院では、まだまだCOPDの認識が薄く、COPDと診断されずに、むしろ「慢性気管支炎」として、対症療法のみが施行されているような症例のほうが多いようです(吸入療法2:54-61, 2010)。つまり、きちんとCOPDの診断を受け、長時間作用型抗コリン薬やβ刺激薬といった気管支拡張薬を投与されていない方が多い現実があるようです。スパイロメトリーがさほど普及していない現状が背景にはあるようです。

なんとなくCOPDと診断されていることもあれば、むしろ逆にCOPDなのにその診断がついていないこともある・・・ということでした。

結論として、「喫煙+咳嗽喀痰or呼吸困難➡まず呼吸機能検査+レントゲンもしくはCT撮影」といったところでしょうか。

それでは、前回の続きです。
リウマチの気管支拡張症があり、慢性気管支炎がある、でもCOPDではなかった症例でした。

COPDとその周辺疾患に関して、改めて、いろいろ勉強してみると、いい図表がありました。
Murray and Nadel's Textbook of Respiratory Medicine , Fifth Edition
という教科書からです。

d0264356_2229228.png


このグリーンの部分が、COPDです。
COPDやら肺気腫やら慢性気管支炎やら、そういった言葉の概念を理解するのに素敵なイメージだと思いました。研修医の先生たちなんかに、伝えたいとこでもあります。

本症例はこの辺でしょうか(赤丸)。

d0264356_22304440.png


ぼくは、さらにここに、気管支拡張症(BE)も加えたいと思います。無理矢理ですが。

d0264356_22355677.png


今日は、このイメージを焼き付ける!!
ことにして、ちょいとここで一旦切ります。
まだまだこの流れを継続していく予定です。
# by res81 | 2013-07-02 22:36 | COPD | Comments(0)

Hamman's sign

スタッフのTBです。

知識の整理のため、Hamman's signについて軽くまとめてみました。

----------------------------------------------------------------------
Hamman's signとは、心収縮中期(心音の I 音,II 音の間)にクリック音が聴取され、
縦隔気腫や左気胸で聴取される所見
です。

この雑音は、"crunching" "bubbling" "popping" "crackling"
"clicking" "popping"、などと表現されています。
かなり特徴的な雑音で、私自身も"ペコペコ"サインと命名していました。
一回聞くと忘れることはありません。
特に左気胸の患者さんに左側臥位になってもらうと、よく聞こえます。
この音は患者さん自身が最もよく聞こえており、問診上も有用です。
「横になるとポコポコします?」なんて感じで問診しています。

Louis Hammanが1937年に初めて著しました。
  (Tr Assoc Am Physicians 1937; 52:31 1-19)

最初は縦隔気腫の所見であると報告され、その後気胸でも聴取されると報告されました。
  (Ann Intern Med 1939; 13:923-27, JAMA 1945; 128:1-6)

Hammanは、
「縦隔の空気が心臓に接する位置に溜まると、心拍動によりこの音が発生する」
と説明しました。
しかし、Hamman自身がまとめた7症例のうち、
Xpで縦隔気腫が確認されたのは2例のみで、
残りは2例が左気胸、3例は気胸も縦隔気腫もなし
、でした。
それでええんかい・・・?

そして、左気胸でこの音が聞こえる、との報告が相次ぎます。
  (Dis Chest 1969; 56:31-36、Lancet 1939; 2:1208-11、
   Am J Med 1955; 18:547-56、Dis Chest 1957; 32:421-34、
   Br Med J 1961;1:1342-46、"Fraser"にも記載あり)
これらの気胸のほとんどが軽症で、診断自体も苦慮するくらいだったそうです。
Lancet 1939; 2:1208-11には、人工的に左胸腔に25ml空気を入れると雑音がした
と記載されています(スゴイ)。

おそらく、心臓に接する部分にある程度までの量の空気(多すぎてはダメ)があると、
心拍動により音が生じる
のだろうと思われます。
  (Chest 1992; 102:1281-82)
d0264356_6431191.png

Chest 1992; 102:1281-82より。軽症左気胸でHamman's signを聴取した症例。

ちなみに、気胸全体では、1%以下で肺雑音があると報告されています。
聴こえる音のほとんどはHamman's signなのでしょうね。
  (Boston:Little, Brown and Co. 1968:160-61)
# by res81 | 2013-06-20 06:49 | 身体所見 | Comments(0)

COPDと肺気腫と慢性気管支炎と気管支拡張症と・・・

再びスタッフ228号です(誕生日が・・・)。

さて、そんなこんなで、重大イベントが終わりましたので、少し勉強もしていきたいと思っています。
今日のテーマは、最近感じていたこと。
巷では、COPDやら肺気腫やら慢性気管支炎やら気管支拡張症やら、そういった言葉たちが混在しており、きちんと概念が理解されていないような印象を受けるときがあります。治療にも支障をもたらしている、とまで言ったら大袈裟ですが、混在していて違和感を感じるときがあります。そんなこんなで、その辺を少しまとめてみたいと思いました。

ひとつのきっかけは、ある60歳代の女性。関節リウマチがあり、気管支拡張症、慢性気管支炎をわずらっています。リウマチによる気道病変で間違いなさそうです。今までも何度か、その急性増悪で入院しており、今回もまた急性増悪で入院となりました。さて、既往をみてみると、COPDの記載が。たしかに何十年も前に数年多少の喫煙歴があるようですが、少なくともCT 上は気腫や気管支の壁が肥厚している感じはありません。呼吸機能検査では、一秒率も低下していません。はて、COPDはいずこから・・・??ちなみに、救急の場では、COPD急性増悪の疑いで、ステロイドの全身投与が開始されました。続いて、処方されている薬をみてみると、長時間作用型β刺激薬吸入(気管支拡張薬)+吸入ステロイドの合剤が。もちろん、喘息の指摘はありません。。。。

では、確認していきます。

* COPD *
【原因】タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患。
【診断基準】
①気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで1秒率<70%
②他の気流閉塞をきたしうる疾患を除外すること(気管支喘息、びまん性汎細気管支炎、先天性副鼻腔気管支症候群、閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、間質性肺疾患など)。

きちんと診断しようと思ったら、②が必要になるため、画像検査は必須になります。
その鑑別が必要なのかと言われると、やや答えに苦しみますが、COPD は主に喫煙を契機とした全身性の炎症性疾患で、喘息は主にはアレルギー性のTh2気道炎症によるもの、びまん性汎細気管支炎、副鼻腔気管支症候群、気管支拡張症などは慢性気道感染症という観点からその機序がアプローチされていたり、つまり基本的には病態が異なるので(治療方針も多少変わるため)、やはり鑑別は必要と思います。気管支拡張症なんかは、リウマチなどの膠原病が潜在している可能性もあれば、非結核性抗酸菌症(NTM)がいる可能性もありますし。
ただ、治療という点で考えれば、いわゆる喫煙者のCOPDなのかどうか診断が確定していなくても、閉塞性換気障害を呈する場合は、気管支拡張薬の適用がありえます。

日常臨床で、たまに遭遇する誤解は、喫煙者で息が苦しければ、それだけでCOPDと診断されている点です。もちろんCOPDの基準を満たす方もいますし、喫煙していて息苦しい時点で基準は満たさなくともCOPDっぽいとは言えると思います。ただ、オーバートリアージになってしまい、安易に処方された抗コリン薬吸入で尿閉になってしまい、泌尿器科にかからなければならなくなった方をみたこともありますし、実はCOPD ではなくて他の疾患だったということもありますので、少なくとも専門家としては、こだわりたい点かなとは思います。

ちなみに、今回の症例では、1秒率が低下していませんので、定義上はCOPDではありません。もともと長時間作用型β刺激薬吸入+吸入ステロイドの合剤も処方されていましたが、呼吸機能検査上、有意な気道可逆性があるわけでもなく、気管支拡張薬の有効性もさほど期待できないように予想されます。

と、ここで、ひとつの疑問が。
気管支拡張症の方って、そもそもCOPDになるんでしょうか??

続きはこちら・・・
# by res81 | 2013-06-18 18:13 | COPD | Comments(0)

祝☆ご結婚!!

スタッフ228です(誕生日が2月28・・・)。
つい先日、ここ最近で最も重大なイベントがありました。
某後期研修医先生の結婚式であります!!
証拠写真を載せておきますが、おそらくこの写真からは、誰の結婚式なのかよく分からなくなっているかと思われます(笑)
本物の新婦もおりませんし、真ん中の二人の結婚式でもありませんので、あしからず・・・(笑)

d0264356_17595480.jpg


二次会は、呼吸器内科ほぼ総出で、盛り上げ役に徹しました!!
けっこう好評だったと思ってるんですけどね〜
きっと、主役の二人はもちろん、参加された方々も楽しんでくれたはず・・・と信じたいです。
# by res81 | 2013-06-18 18:01 | 科の紹介 | Comments(0)