飯塚病院呼吸器内科のブログ
by res81
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福岡県の飯塚病院呼吸器内科のブログです。

呼吸器内科スタッフ10名+呼吸器腫瘍内科スタッフ1名+後期研修医3名(H30年4月現在)+特任副院長1名で、日々楽しく頑張っています。
大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。

飯塚病院呼吸器内科では、後期研修医やスタッフを募集しています。ご興味のある方は
iizukakokyu@gmail.com までご連絡ください。

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GOLD2011の予後予測能 


スタッフのTBです。

昨日は「九州臨床画像解析研究会」に多数の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
個人的に大変刺激になり、早く論文を書きあげねば・・・とお尻に火が付きました。

でも、論文を書く前に、一本読んでみました。

2011年にCOPDの国際ガイドラインであるGOLDが改訂され、重症度評価・分類法が変更になりました。その検証論文です。デンマークから。

Prediction of the Clinical Course of Chronic Obstructive Pulmonary Disease, Using the New GOLD Classification: A Study of the General Population
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012; 186: 975-981.


<Rationale>
・GOLD 2011によるCOPDの新分類は、肺機能・症状・急性増悪の頻度の3つが評価軸となっている。
d0264356_11225976.png


<Objectives>
・新分類法によるCOPDの予後予測能を検討

<Methods>

・コペンハーゲンで行われたCOPDについての疫学調査:2つ、6628例

<Measurements and Main Results>

・平均追跡期間:4.3 years
・検討項目:急性増悪、入院、死亡
・分類に基づく予後;
 group A…最初の1年での急性増悪:2.2% 1年/3年死亡率:0.6%/3.8%
 group B…最初の1年での急性増悪:5.8% 1年/3年死亡率:3.0%/10.6%
 group C…最初の1年での急性増悪:25.1% 1年/3年死亡率:0.7%/8.2%
 group D…最初の1年での急性増悪:28.6% 1年/3年死亡率:3.4%/20.1%
Groups B/D(症状が強い群)では、心血管疾患と癌による死亡率がA/Bと比較し5-8倍だった
d0264356_11231215.png

  (本文より参照)

<Conclusions>
・GOLDの心分類は、急性増悪のリスクを上手く予測できる。
・驚いたことに、group Bの方がGoup Cより予後が悪かった!
・症状が強い群では心血管疾患と癌による死亡が多いため、そちらの精査・加療が重要だろう。


とても重要な結果だと思います。
COPDの三大死亡原因である、呼吸不全・心血管疾患・癌のリスクがこの分類で分かりそうです。

しかし北欧は疫学系が強いですね・・・
社会保険制度と密接に関連していると思われます。
# by res81 | 2012-11-23 11:35 | COPD | Comments(0)

「九州臨床画像解析研究会 in 飯塚」のお知らせ

スタッフのTBです。

突然なのですが、今週末11/22(木)に当院で行われます、
「第23回九州臨床画像解析研究会」のお知らせをさせて頂きます。

当科では、大阪大学、久留米大学、大分大学、順天堂大学などの様々な大学にご協力を頂き、最先端の研究・臨床をしておられる先生方と交流させて頂いております。
そして年に2回、5月と11月に、各分野でトップクラスの先生方を当院にお招きさせて頂いております。
我々の臨床研究についてもご相談させて頂いており、毎度たくさんの素晴らしいアドバイスを頂戴し、日々のモチベーションを高めております。

講演会では、基礎~最先端までの幅広い内容を大変わかりやすくお話して頂いております。これだけのメンバーが揃うことは滅多にありませんので(特に飯塚で!)、大変贅沢な会です!今回はちょっと早めで申し訳ないのですが、17時より講演会を開催いたします。

フリーな講演会ですので、ご都合が合えば是非ご参加ください。大歓迎です。


今回の内容は下記の通りです。
第23回九州臨床画像解析研究会
日時: 平成24年11月22日(木) 講演会は17時00分より        
場所:麻生看護大学校 別館2階 講堂(飯塚病院敷地内)

    福岡県飯塚市芳雄町3-83 TEL:0948-22-3800(代表)

総合司会: 飯塚病院 呼吸器内科 部長 海老 規之

講演1(17:00~17:40)

司会:大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学教室  講師 
    本多 修 先生
演題:『 ARDSの新しい診断基準と治療  』         
演者:済生会熊本病院 呼吸器内科 
    一門 和哉 先生

コメンテーター: 大分大学医学部 総合内科学 第二講座 小宮 幸作 先生

講演2(17:50~18:20)

司会:大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学教室  
    梁川 雅弘 先生
『 飯塚病院におけるCOPD診療の取り組み 』         
演者:飯塚病院 呼吸器内科 飛野 和則

講演3(18:20~19:00)
司会:大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学教室 教授 
    富山 憲幸 先生
『COPDの画像診断-Volumetric CT dataを用いた評価-』         
演者:久留米大学医学部 放射線医学教室准教授
    藤本 公則 先生



ARDS、COPDと、「4文字症候群」の組み合わせです。
いずれも身近かつ、診断・治療に難渋する事がままあります。
ご講演をとても楽しみにしております。

お問い合わせは、iizukakokyu@gmail.comまでお願いいたします。

ご興味のある方、お待ちしております~
# by res81 | 2012-11-18 18:40 | 科の紹介 | Comments(2)

慢性咳嗽へのgabapentinと、地方会とウフィーチ会(&ラーメン)

スタッフのTBです。

最近のLancetに、難治性慢性咳嗽に対してgabapentinの効果を検討した初めての報告がありました。

Gabapentin for refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Lancet 2012;380:1583–89


<Background>

・難治性慢性咳嗽は症状が強く、QOLを落とす。
・難治性慢性咳嗽における中枢性感作(侵害刺激によりニューロンが過敏化し通常より強く反応する)と神経障害性疼痛の病態は類似していると考えられ、gabapentinのような薬剤の効果が予想される。

<Methods>

・スタイル:randomised, double-blind, placebo-controlled trial
・対象:
 外来患者(in Australia)
 8週以上持続する難治性慢性咳嗽
 他に活動性呼吸器疾患が無い
・無作為に2群へ:
 *Block randomisation(一定人数ごとのブロックを作り、その中で無作為に割り付ける方法)、性別で層別化
 ①gabapentin (maximum tolerable daily dose of 1800 mg)
 ②placebo
 ⇒10週間投与
・Primary endpoint:
 咳関連QOLの変化(Leicester cough questionnaire [LCQ] score)
 ⇒ベースライン~治療8週後までで比較(ITT解析)

<Findings>
・対象は62例:gabepentin (n=32) or placebo (n=30)
         *10例が途中離脱した
・LCQ scoreは、Gabapentin群で優位に良好
 LCQ scoreの差;Gabapentin–placebo=1.80
            (95%CI 0.56–3.04; p=0.004)
 Number needed to treat (NNT)=3.58
・副作用
 Gabapentin群で10例(31%)…嘔気と倦怠感が主
 Placebo群で3例(10%)

<Interpretation>
・難治性慢性咳嗽に対しGabapentinは有効で忍容性あり。
・Gabapentinが効くことから、やはり中枢性感作が大きく関与している可能性が高い。


慢性咳嗽に対して、鎮咳薬は既存の物ばかり使用し、後は気道の炎症をおさる事に考えをめぐらしておりました。
確かに、中枢性感作が病態に関連していても全く不思議はないですよね。
この発想が出ない自分が情けない…と思ってしまいました。

勉強になりました。


さて、昨日・本日と、呼吸器学会九州地方会が行われております。
昨日は当科の若手医師4人が発表してくれました。
全員立派に発表されたとのこと。お疲れ様でした!

そして、伝統の夜の勉強会「ウフィーチ会」で、当科から司会とプレゼンを1名ずつ努めさせて頂きました。大幅に時間を超過してしまいましたが、実に温かくも活発な討論で、大変楽しく勉強させて頂きました。

最後に当科の(当院の?)大ボスから若手にラーメンを奢って頂き、非常に充実した1日でした~~
# by res81 | 2012-11-17 10:41 | 咳嗽 | Comments(0)

軽度の線維化を伴うIIPsのCTの経時的変化

スタッフのTBです。

明日から始まる呼吸器学会九州地方会参加のため、若手を中心に皆忙しく働いております~

さて、韓国からの話題です。

High-Resolution CT Findings in Fibrotic Idiopathic Interstitial Pneumonias With Little Honeycombing: Serial Changes and Prognostic Implications
AJR 2012; 199:982–989


<OBJECTIVE>
・線維化・軽度の蜂巣肺を伴う特発性間質性肺炎(fibrotic idiopathic interstitial pneumonias; IIPs)のHRCTの経時的変化から、予後因子を明らかにする

<MATERIALS AND METHODS>
・retrospective study
・病理学的に線維化を伴うIIPsと診断され、
 CTで蜂巣肺が5%未満で、
 最低2年間経過観察された症例
 ⇒154例;UIP 101例、f-NSIP 53例
・baseline CTでCT所見の分布と進展度を検討
 ⇒少なくとも6ヵ月間隔で、CT所見の変化を評価:検討対象は132例

<RESULTS>
・最初のCTにいおて、網状影とすりガラス状陰影(GGO)の進展度で、UIPとf-NSIPの間に有意差あり
・経時的変化
 蜂巣肺の進展度:UIP +5%、f-NSIP +3% (p = 0.08)
 網状影の進展度:UIP +3%、f-NSIP +8% (p = 0.03)
 GGOの進展度 :UIP -2%、f-NSIP -10% (p = 0.009)
・全病変の進展度のトータル
 UIPで増加傾向(+6%)⇔ NSIPで減少傾向(−4%)(p = 0.04)
・多変量解析では、全病変の進展度のトータルが独立した予後不良因子

<CONCLUSION>
・軽度の蜂巣肺を伴うfibrotic IIPでは、経時的にCTを撮影すると蜂巣肺と網状影が増加し、GGOが減少する傾向がある。
・フォロー開始時CTにおける「全病変の進展度のトータル」が予後因子であった。


呼吸機能や年齢、性別なども含めた解析ですので、信用できそうです。

軽度な線維化を伴う場合、CTでの全病変(網状影、蜂巣肺、すりガラス状陰影)の面積の総和が重要な予後因子、という事になります。単変量解析の結果も考慮すると、特に「最初のCTでの網状影の広がり」に注意が必要な様です。

f-NSIPのGGOが減って蜂巣肺となっていく経過が本文中Figureにあります。日常臨床でもしばしば経験します。何とかできないか、日々模索しております・・・
# by res81 | 2012-11-15 19:18 | 間質性肺炎 | Comments(0)

肺クリプトコッカス76例のまとめ

スタッフのTBです。

中国・上海における肺クリプトコッカス症のまとめがありました。

Clinical analysis of 76 patients pathologically diagnosed with pulmonary cryptococcosis
Eur Respir J 2012 40:1106-1114


<Purpose>
・中国における肺クリプトコッカス症の臨床的特徴をまとめる

<Materials and Methods>
・対象
 2001-2010の間に、Shanghai Pulmonary Hospitalで病理学的に確定診断された76例
・方法
 retrospective review 

<Results>
・性別:男性54例・女性22例
・免疫状態:正常 41例(53.95%)、低下 35例(46.05%)
・症状:無症状 41例
・病歴:80%に真菌の暴露を示唆する病歴あり
・画像(CT):末梢優位(85.53%)
       結節が多い(55.26%)
       肺炎(浸潤影)がそれに次ぐ(23.68%)
       両者の混合が3番目(21.05%)
・診断:43.42%が最初は誤診された
    ⇒PET陽性者で癌と診断(28/46例)

・治療:51例が抗真菌薬治療を受け、25例は経過観察
    ⇒71例が治癒
     4例が改善(=奏効率98.68%)
    *HIV陽性患者1例が、クリプトコッカス髄膜炎のため死亡した

<Conclusions>
・中国でのクリプトコッカス症は、真菌曝露と関連している。
・多くの症例は無症状で末梢優位の肺病変。
・FDG-PETでuptakeがあると、肺癌と誤診されやすい。
・免疫正常者では、全例が改善した:fluconazole単剤でも経過観察でも!
 ⇒免疫正常者では、自然軽快する症例がある


病理学的に確定診断された症例のみ集積していますので、
癌と誤診された方が結構多くなってしまうのは致し方ないと思います。
自然軽快する症例も、「切除のみでよくなった」という事が多いのでしょう。

画像所見などは大変勉強になりました。
病変が両側に存在する症例は19%くらいで、片側のみ、特に右側のみが多かったようです。

興味のある方は是非本文を読んでみてください~~
# by res81 | 2012-11-13 17:41 | 真菌症 | Comments(0)